LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

04/04/03   吉祥寺 ディスクユニオン吉祥寺店

出演:る*しろう(インストアライブ)
 (井筒好治:g、菅沼道明:ds、金澤美也子:key)

 2ndアルバム「8・8」の発売にあわせインストア・ライブが行われた。彼らのライブは聴くの初めて。
 あの密集した吉祥寺店内の、どこでやるのかと思ったら。パンク・コーナーの前、ブラックものの横。展示台をのけてスペースを作ってた。
 ライブは18時から。サウンド・チェックが15分くらい前に始まり、気の早い客が何人か、ライブ・スペースへ集まる。

 「まだ、リハーサルだよ」
 照れる金澤。
 「こんな大きい音出してもいいの?」
 スタッフに確認しつつ、曲の一節を演奏してバランスを確かめてた。
 ギター・アンプの音が直撃するらしい。「耳にがつーんと来る〜っ」って、大きなアクションで音のでかさを井筒へアピールした。
 「横へ向けてくれ」と頼んでいたが、変更したのかはよく知らん。

 本番は18時きっかり。観客は30〜40人くらいいたと思う。
 鍵盤の前にスタンバイした金澤は、BGMで流れる吉田達也の音楽に合わせて身体を揺らす。
 寸前にBGMが変わりら、すなおにる*しろうの音楽へ頭が切り替わった。
 その前に流れてたのは宇多田ヒカルのシングル集。あまりの落差が面白い。

 「司会はいないの?」
 金澤はスタッフに尋ねる。結局、バンドのメンバーから司会役をまかされた彼女は、ノーマイクで軽く喋る。

 挨拶もそこそこに途中でイントロを弾き、一曲めへなだれ込んだ。
 パイプ椅子に赤い布をかぶせて座り、はだし姿で演奏する。

<セットリスト>
1.ソレイユ
2.おんばしら
3.鳥
4.マジックカーペットライド

 YAMAHAのキーボードから流れるのは、すべてピアノ音源だった。
 ガムテープでペダルを固定し、軽やかに鍵盤を撫でる。金澤の指、細いなー。
 たまたまだと思うが、"ソレイユ"では右手の小指をぜんぜん使わぬ音使いが、妙に印象に残った。

 サウンドはほとんど即興要素がなく、チェンバー・プログレの印象が強い。
「ドラマー以外はプログレに詳しくないのよ」
 金澤が謙遜する。
 ベースがいない変則編成だが、違和感はさほどない。
 ユーモラスかつ快調に突っ走り、ころころ拍子が変わる痛快さが気に入った。

 ポップな印象の"ソレイユ"が終わる。
 コーダの余韻もなにもなく、最後の音をたたきつけたとたんに
 「・・・という曲でしたっ」
 ってまとめるスタイルが可笑しかった。

 続く"おんばしら"は菅沼の地元(だっけ?)で行われる、祭りをモティーフに作曲したそう。
 でっかい木柱を担いで走り回り、死人がたまに出る祭りって説明してたかな。
 演奏前になぜか金澤が「奇祭、でいいんだよね?」ってしつこく確認してた。
 
 ここで菅沼のソロを挿入。
 場面が切り替わる瞬間、金澤は両手でスパッとドラムを指差した。
 彼のドラミングは手数で小節を埋め尽くすタイプじゃなさそう。

 だけどタムや各種シンバルを組み合わせたリズムは、単なる連打じゃない。
 スタック・シンバルやチャイナ、ウッドブロックを盛り込んで、けっこう長く叩いてくれた。

 もろに即興っぽかったのは、ライブ全体でここくらい。
 あとはインプロ風の箇所がいくつかあっても、かなりの部分は譜面に聴こえた。
 今、新譜を聴きながら書いてる。ところがCDは即興っぽい箇所が多いんだよ。

 タイトな演奏だし初めてる*しろうの音を聴いたから、譜面っぽさを勝手に感じたのかも。
 実際に譜面を立ててたのは井筒のみ。金澤も菅沼も複雑な構成をものともせず、爽快に弾ききっていた。
 
 「いま、ちょっと(世情的に)タイミング悪いのですが・・・」
 顔をしかめて金澤がひとしきり次の曲、"鳥"の説明をした。ジャケットにも書かれた、鶏がテーマだそう。
 この辺から、耳がだいぶバンドの音に慣れてきた。
 店の中でこもってるのか、音はかなり団子になっていた。みしゃっと丸まった音が気持ちいい。

 ドラムがパワフルに叩くと、キーボードの音が打ち消され気味だった。
 井筒のギターは着実にメロディを奏でる。
 激しくひいてる途中で顎から一筋、汗をしたたらせた。

 メロディとユニゾンで、金澤が吠えたのも"鳥"から。
 演奏にほとんど打ち消されたが、かまわずシャウトしてた。

 ライブはさくさく進み、最後の曲。
 高円寺のプログレ喫茶で「タルカスみたい」と言われ、それまで聴いたことなかくて慌てたそう。
 「実際にはXXXのイメージで(すみません、聴き取りそびれました)作ったのに。・・・でも、言われるのは聴いてみてなんとなく分かった」
 と金澤が笑いながら曲紹介してた。

 ELPの"タルカス"は10年以上聴いてない。内容忘れてるなあ。
 どのへんがイメージだったのか、よくわかりませんでした。
 
 キーボードの低音リフレインがいかした、痛快な曲。いちばんプログレっぽかった。
 サビ部分では3人がてんでに歌う。全員がノーマイクで、やっぱりかすかにしか聴こえず残念。

 MCを曲ごとに挟みつつ、あっというまにライブは終わり。
 しめて25分間のステージだった。
 アンコールの拍手も飛んだが、残念ながら無し。
 井筒はすっと裏へ消え、金澤はおもむろに靴下をはいていた。
 
 曲によってはビートにあわせ踊りながら、鍵盤を弾きまくる金澤のプレイが、まずは印象に残った。
 じっくりライブハウスで聴きたいバンドだ。
 ・・・って、実際は4/6にさっそくワンマン・ライブある。でも仕事で行けないんだよな〜。

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