LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

04/3/20   荻窪 グッドマン

出演:クラシック化計画 
 (翠川敬基:vc、塚本瑞恵:p、菊池香苗:fl、沢田直人:fl)

 奇数月の第3週に行われる「クラシック化計画」へ。
 最近は積極的にクラシックを聴くことがなく、こういうライブは貴重な機会だ。
 しかしこれで3日間の翠川3daysへ皆勤したことになる。いいかげん呆れられた気もするなあ。

 みぞれが降る寒い日で、バス通りはかなり渋滞。余裕見て行ったのに、演奏ぎりぎり前に滑り込んだ。
 今日は午後の開演。14時半過ぎに始まった。

<セットリスト>(*)
1.Friedrich Daniel Rudolph KUHLAU: from six divertiments #6
  〜クーラウ:"6つのディヴェルティメント"からcis-moll〜
2.Paul Taffanel: Andante pastoral et Scherzettino
  〜タファネル:アンダンテ・パストラールとスケルツエッティーノ〜
3.Grieg: Cello Sonata op.36
  〜グリーグ:チェロ・ソナタ〜
 (休憩)

4.Handel: Sonata g-moll #2 HV360
  〜ヘンデル:ソナタ2番・ト短調〜
5.Felix Mendelssohn-Bartholdy: Piano Trio #1 op.49
  〜メンデルスゾーン:ピアノ・トリオ1番〜 
(*)Thanks to Furaさん
 
 まずは翠川敬基が簡単に挨拶。第一部はデュオ形式だった。
 塚本瑞恵のピアノを元に沢田直人、菊池香苗、翠川の順。

 冒頭に演奏された作曲家二人は初めて名前を聞いた。
 furaさんの詳細なセットリストを元に、ネットで調べてみる。あるもんですね、情報は。恐るべしインターネット。

 クーラウはドイツ生まれで、19世紀初頭にデンマークで活躍した宮廷音楽家。
 ベートーベンと親交があり、「フルート音楽のベートーベン」と呼ばれたとか。なんだそりゃ。こんな異名、本人は嬉しかったんだろうか。
 今日演奏されたのは6種類の曲で構成された組曲から、最後の曲を。

 なお"ディヴェルティメント"ってのは"嬉遊曲"と訳される。
 モーツァルトの時代に盛んだった、5〜6楽章の自由形式な器楽組曲だそう。

 かなり起伏に富んだメロディを、ストレートなフルートの響きで突き抜ける。硬軟使い分けた旋律だった。
 白熱灯ふたつのシンプルなライティングの中、フルートとピアノの音が踊った。

 次のタファネルはフランスのフルート奏者。19世紀末が活動の主体かな。パリ・オペラ座の主席フルート奏者を務め、のちにパリ音楽院で教授になったそう。
 今日演奏されたのは、1907年にパリ音楽院の卒業試験用に作曲された。

 確かニ楽章形式の曲。
 菊池が奏でる旋律はきれいだが、ぴりっと緊張した雰囲気を感じた。ホンキートンクなピアノの鳴りが気になったのもこの曲。

 クラシック化計画の感想で幾度も書いてるが、とにかくこのライブはクラシックなのに寛げて聴けるのが好き。
 あまりぴりぴりせず、リラックスしようと努めてた。
 だけどまだまだ、頭の芯が冷静に聴いている。

 前半最後は翠川のチェロ演奏。
「昨夜のライブ、でかい音で難聴になっちゃったよ〜」
 と、ぼやきながらステージへ登場した。
 本日の題目「チェロ・ソナタ・イ短調Op.36」は、あまりコンサートで演奏されない曲だと言う。
 
 グリーグって名前はピンとこなかったが、帰って調べたら思い出した。
 19世紀末、ノルウェーの作曲家。劇音楽「ペール・ギュント」 の作者か。
 この曲、中学のときに授業で聴いたよ。といってもメロディはもう覚えてない・・・。

 ダイナミックな演奏で、音量は絞りめ。小さく鳴る響きもきれいだった。
 ピチカートも使い、曲調はバラエティに富んでいた。ひとつながりのソロを聴いてるみたいで面白い。
 いったん休憩が入る。

 後半は長めの曲を2曲。まずはヘンデルの"ソナタ2番・ト短調"から。

 余談ですが。こういうメジャーな作曲家のほうが、ネットで情報入手しづらいんですね。検索かけても、これはというページに出会えず。
 日本ヘンデル協会のHPもあったが、作品リストは見当たらないんだもん。
 
 ここまではクラシックのメロディをゆったり聴けていた。
 そして、ほんとうに音楽に没入を味わえたのが、最後に演奏されたメンデルスゾーンだった。

 いちばん分かりやすい曲だったからかもしれない。
 が、塚本、菊池、翠川での音楽は素晴らしかった。

 演目「ピアノ・トリオ1番」はバイオリンの譜面をフルートに置き換えて演奏された。
 1839年の作曲。けっこう有名らしい。・・・クラシックに疎いと、こういう時困るな。
 
 それぞれの楽器が絡み合って、美しいメロディを紡ぐ。
 今日のライブは楽しみつつも、どこか緊張して聴いていた。
 ところがここでやられた。もう途中から、椅子にへたり込んで聴いてたもの。

 クラシックの音楽をうまく描写する知識も筆力も、ぼくにはない。
 良かったか、あんまり良くなかったかしか書けない。
 結論は・・・良かったです。
 
 このあと飲みに行っちゃって、細かい記憶はどっかいっちゃったせいもありますが。とにかく楽しめた。
 寛いだ雰囲気でクラシックを味わえる、貴重なひとときだった。

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