LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

04/1/31   代官山 J trip art GALLERY

出演:ズビズバ
 (Vo:吉田達也 / 芝崎幸史 / 高橋秀樹)

 ズビズバは吉田達也率いる、男性3人の"変拍子&ポリリズム・アカペラアンサンブル"。
 1996年にTZADIKから出たCD聴いて、一度はライブを見てみたかった。

 吉田はルインズの海外ツアーなどで、津山篤らとズビズバを披露してる。
 だけどCDオリジナル・メンバーによるライブは4年ぶりとか。
 芝崎は「リハビリや」と言って、譜面(歌詞カードか、あれは)と首っ引きで歌ってた。

 会場は30畳くらいのこじんまりしたフリー・スペース。
 高橋秀樹のユニットの個展、"まほまほファミリー企画展"の一環でライブが行われた格好だ。
 展示物としてズビズバの"譜面"があった。

 譜面台にどさっと置かれた台には、音叉や指揮棒も載っている。
 スコアに音符はなく、カタカナで歌詞の羅列のみ。曲によっては、リズムだけ書かれてた。

 レパートリー一覧(ここ*excelファイルです)の紙に書かれた、歌う辛さを「しんどい」って表現した分類が面白かった。
 手書きで数字が書いてあったが、あれがセットリスト代わりだろう。メモっときゃよかったなー。

<セットリスト>*不完全*
ZUBI ZUVA I
ZUBI HYMN
CHERENKO
?
BREATHING
EUROPE
DOMODOMO"井戸端"
BITA VITA
DARA CELL
(UNCORE)
ZUBI ZUVA I

 当日のセットリストはこんな感じ。あと、2〜3曲やった気がする。前半3曲は自信あるけど、あとは曲順が違うかも。
 CDに未収録曲もやったはず。

 スタートは19時30分くらい。フロア中央にマイクを一本立て、譜面台を置く。
 観客は床に腰を下ろして聴く。
 脚立や蚊帳に入って聴いてもいいよ、と高橋が薦めた。実際に脚立へ上って聴いてるお客も。

 まずは練習代わりに、とズビズバのテーマ"ZUBI ZUVA I"から。芝崎が中央に立って、歌詞カードを持ちながら歌う。
 吉田は指揮棒で激しくリズム取りつつ、身体を揺らしてファルセットを響き渡らせた。
 向かって左に吉田、右が高橋ってのが定位置。
 初手から飛ばす吉田に対し、高橋は控えめ。ステージの隅へ一歩ずれ、こそこそっと歌ってた。

 いちおうマイクは立っているが、プラグを挿してない。たんなる飾りだ。
 「目印がないと歌いにくい」ためらしい。
 壁に声が反射して、聴きづらくない。観客は20人強とこじんまりしたスペースだったし。

 ただ、吉田ほど声量ないため、ほかの二人はバランスがちと辛かった。終盤ではシャウトも決まってたが。
 ボディアクションが一番派手なのはやっぱり吉田かな。
 リズムを刻む指揮棒で、ときたま譜面台をひっぱたくほど。身体をぶいぶい揺らし、ほとんど譜面を見てなさそう。

 「ズビズバの聖歌です」と吉田が言い放って"ZUBI HYMN"へ。
 ほぼすべてファルセットで歌い倒す吉田。すごいな。
 曲中にペットボトルで喉を潤してたものの、いまさらながら喉の強さに恐れ入った。

 3曲目か4曲目では、歌う前に音叉でピッチを確かめる。
 とはいえ冒頭は音程もかなり不安定。びしっと合ったのが4曲目あたりからだった。
 どんな曲か覚えてないが、白玉を多用する作り。3人がびしっとハモって痛快だった。

 "BREATHING"は過呼吸でハイになる曲だそう。
 文字通りブレスをひたすら続けるパターン。一発芸ほどではないにせよ、さほど長くないので、退屈することはない。
 ただし歌うほうはしんどそう。

 曲が終わると吉田はぼおっとした顔で虚空を見つめ、しばし立ち尽くしてた。
 高橋は思い切りリズムを間違えてたと告白する。吸うのと吐くのを間違えてたようす。
 「まあ、大勢に影響はない」って言い切ってましたな。 
 
 欧州4ヶ国の都市を連呼する組曲"EUROPE"も聴き応えあった。
 高橋は「ちょっと技を使いたい」って、譜面を準備済み。
 ちょうど第一楽章が終わったとこで、ステージ裏へ消える。
 ルームエコーを思い切り生かして"ベ〜ル〜ン♪"と声を強く響かせた。

 CDで唯一、高橋の作曲"DOMODOMO(井戸端)"では、高橋が歌う前にこぼしてみせる。
 リリース記念で新宿アルタ前(ビデオで映像が残ってる)にてライブを行ったとき、「全曲演奏」企画だったのに忘れ去られたとか。
 「打ち上げでちょっと演奏した」と聴いて笑ってしまった。いかにもありそう。

 "DOMODOMO(井戸端)"は「どーもどーも」「いやいやしかしなんだな」「まあまあそれはさておき」と3人で輪唱風に喋りつぐ曲。
 演劇チックで目の前で聴くと面白さが増す。
 CD収録版より、ぐっと尺を長くしたイメージ。ラストはたしか芝崎が一声叫んで終わった。
 
 MC役は適当にその場で決めてた様子。
 まじめに高橋が説明してる後ろで、でかい声で延々と吉田や芝崎が打ち合わせしたり。
 芝崎のMCへとぼけた合いの手を高橋が入れたり、とギャグも織り込む。

 "BITA VITA"をやったのは終盤だっけ?
 生で聴くと迫力がすごいなー。

 最後は"DARA CELL"。マイクを意識したアクションが可笑しかった。
 曲の合間に芝崎が低音でリフを入れるとき、きちんとマイクに一瞬、口を近づける。
 面白がって吉田も同様のアクション。
 しまいに一本のマイクをすばやく分け合う、ステージ・スタイルに仕上げた。
 マイクが単なる飾りだから、よけい可笑しい。

 ステージは30分強かな。
 即座にアンコールの拍手が飛んだ。
 なにも決めてなかったらしく、しばらく時間がかかる。
 おもむろに登場して、「出来が気に入らなかった」という"ZUBI ZUVA I"を再演した。

 今度はばっちり。タイトに決まった。
 これを入れても40分弱。ネタ的にも体力的にも長時間やるバンドじゃないのかも。が、やっぱり物足りない。
 まあ、物足りないくらいがいいのかも。次はいつかな。楽しみ。

目次に戻る

表紙に戻る