LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
03/12/28 入谷 なってるハウス
出演:MUMU
(植村昌弘:ds、中根信博:tb、坂元一孝:Key)
月に一回のステージ。そのうえ新曲をほぼすべてのライブで発表。
活発に動いた2003年MUMUの、総決算ライブが行われた。
今年の新曲群をすべて再演する企画。しかも新曲1曲付き。
特別企画まで予告された豪華版ライブで、なってるハウスはきれいに満員となった。
<セットリスト>
1.03/10/16
2.02/2/25 #1
3.99/5/23
#2
4.亜 #3
5.苛 #1
6.Yoda's Theme (from "StarWars
Episode5")
(休憩)
7.亜
#4
8.03/10/2
9.03/11/14(新曲)
10.意 #1
11.99/5/23 #1
12.亜
#5
いつものようにMUMUのHPからセットリストを引用してます。
今年は5回、彼らのライブを聴いた。個々の新曲はライブのレパートリーでなんども再演しており、耳馴染みある曲が多い。
とはいえしっかりと曲を覚えてるわけじゃない。
たとえば前回ライブで初演した「植村流ファンク」の"03/10/16"。
ライブ終わっても「あれ?"ファンク"ってやらないの?」と思ってたくらい。実際は冒頭で演奏されたのに。
各曲の演奏はばっちり。トロンボーンもきちんと鳴り、今までMUMUを聴いた中でも、有数の音響バランスだった。
植村はハイハット以外にシンバル4枚を使い分ける。
すべて生音で、きれいに聴こえるんだ。
たとえば1曲目。
裏拍で刻むライド・シンバルの鳴りが、すばらしくきれいだった。
この曲ではエンディング間近、威勢良くツインペダルでどかどかバスドラを鳴らしてたっけ。
今夜のライブは最新型MUMUの集大成といえる。
ドラムが複雑怪奇なパターンを軽々と叩き、キーボードがオルガンっぽい音色で和音を提示。
そのうえでトロンボーンが軽やかなメロディを吹くという。今のMUMUアレンジを堪能できた。
ソロっぽいフレーズは中根のトロンボーンくらい。坂元はまったく前に出ない。
リーダーの植村すら、ドラム・ソロの場面が皆無。
ひたすらストイックに音を組み立てた。
広がる音像が心地よい。坂元はキーボードの音色をほとんど変えない。
音色アレンジはシンプルなのに・・・まったく飽きない。
3人だと忘れるほど、いっぱいに音が溢れた。
さて、ステージ進行はいつもの通り。
一曲目を無言で開始、2曲目の前にMC。4曲続けて演奏し最後に1曲、という構成だった。
毎回思うが、あまりに事務的な進行でおかしくって。
植村が前日にテレビで「2004年、誕生日別運勢占い」を見てたエピソードを紹介する。
「あ、ぼくの誕生日がいちばん悪い」と直感的に予想、見事に当たって(?)がっくりきたそうだ。
前半レパートリーではロマンティックなバラード、"99/5/23
#2"が大好き。
2003年の新曲群は、植村のメロディ・メイカーぶりも忘れちゃいけない。
CDでじっくり聴きたいよ。リリースしてくれないかなぁ。
リズムの手数も多いが、4/4や3/4をかなり分かりやすい形で提示する。
野外イベントでやったら踊れるはず。ま、彼らは絶対出演しないでしょう。
植村のリズムはタイトですごい。流れるようなシンバルやタム回しがきれいだ。
曲によってはかなりアクセントをずらし、奇抜なノリを出す。
特にテーマ部分はどの曲も、何拍子かまったくわからない。
各種シンバルを使い分け、鳴り音の違いをうまくアレンジへ盛り込んだ。
特別企画は、やっぱりスター・ウォーズネタ。
「帝国の逆襲」から「ヨーダのテーマ」を坂元のアレンジで演奏する。
なおこの曲は、植村への遅いクリスマスプレゼントだそう。
中根が「この曲を皆様へ・・・」と言いかけたとたん、植村が自分の顔を指差す。
すかさず中根が「植村君だけのために演奏します」と言い換えてたっけ。 前回のカバーと同様に、「上手くできるかなぁ」と中根がつぶやくのが不思議だ。
MUMUの曲よりよっぽどシンプルだと思うがな。
なぜかこの曲だけ、トロンボーンからマイクをはずして演奏された。
「ヨーダのテーマ」は昔、散々聴いたので懐かしい。
シンセ・ストリングスっぽい音色でキーボードが弾く上へ、静かにトロンボーンがメロディを載せた。
二人だけなのにばっちり雰囲気が出る好アレンジだ。
前回のカバー曲では客席へ降り、完全な観客状態だった植村。
今夜はマレットで静かにシンバル・ロールを入れていた。
ワンマンで長丁場の演奏、と期待したがステージはさくさく進行。前半は45分くらいだったと思う。
このハコは客電の電源が入り口付近にある。
わざわざ植村自身がステージ終了後すぐ、客電をつけに行っていた。
休憩は短めで、すぐに後半セットが始まった。
やはり一曲目は何も喋らず、いきなり演奏から。
後半セットの4連発前に、ひとしきり中根が曲紹介した。
今夜の新曲は植村が「2003年を振り返った、沈鬱な曲」だそう。
もともと若干の希望を持たせた曲想だが、TVの占いで「来年は最悪」と言われたことを受け、
「次は『希望』をカットしよう」
と植村がボヤいてておかしかった。
今夜は「希望あり」バージョンで演奏される。
その新曲は、たしかに沈鬱っぽい仕上がり。
冒頭は空白の多いリズム・パターンを、キーボードとドラムがユニゾン気味に叩く。
メロディも重たくて、速さはミドル・テンポ。
執拗にキーボードが単音を連打してた。
希望ってのはたぶん、ぐぐっとトロンボーンが歌い上げるとこだろう。
後半2曲目が静かめかな。
キーボードがきれいな和音を響かせるやつ。たしか。
ほんとうは細かい一曲ごとの感想も書きたいけど・・・いかんせん、印象がごっちゃになってます。
最終曲"亜
#5"の前で簡単な告知。「何かない?」と中根に促された植村。
一年を締めくくる挨拶に加え、「皆さん、選挙に行きましょう」って、そっと告げた。
"亜
#5"はトロンボーンのメロディがメロウな、暗めでスロー気味の曲。
MUMUのレパートリーって、明るい曲もアップテンポもあるのに。
何でこの曲で締めるかな〜。らしいっちゃ、らしい選曲だが。
後半も50分強ってとこ。
アンコールは無し。植村が客電をまたもやつけに行く。
さすがにワンマンでたっぷり聴くと、満腹感あった。時間のわりに音の情報量が多いせいか。
いま、MUMUはとんでもなく充実してる。
曲もばっちりだし演奏もタイト。"今"のMUMUを見せ付けたライブだった。