LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
03/11/28 西荻窪 Binspark
出演:MUMU
(植村昌弘:ds、中根信博:tb、坂元一孝:Key)
仕事終わらせて店内へ入ると、すでに最初のバンドが演奏中だった。
「必殺するめ固め」ってバンドらしい。メンバーは男二人。
エレキギターをひたすらかきむしり、もうひとりはサックスをひたむきに吹く。
ギターはエフェクトで歪み、ときにハウリングを響かせた。
一方のサックスはアルトとソプラノを曲ごとに持ちかえる。エコーをたんまりとかぶせ、ダブっぽい効果を。
轟音で吠えるかっこいい演奏。
フラジオを多用しノータンギングで暴れるアルトより、まっすぐに長音符を吹くソプラノのほうがぼくの好み。
バンドチェンジの合間に席に着く。
Binsparkは久々だが、内装がずいぶん変わってた。壁一面にLPジャケが飾られる。
テーマがあるかな?バンドチェンジのとき、きょろきょろ壁を眺めてた。
MUMUの出番は9時ごろか。
ザッパの「ピーチズ・エン・レガリア」が高らかにBGMで鳴る中、MUMUはステージへスタンバイする。
照明が落ちた。ライブの始まりだ。
・・・と思いきや。
「すいません、明かりください」
と、植村の指示。
譜面が見えないみたい。結局、最後までライティングは変化なし。
明るいシンプルな照明だった。
<セットリスト>
1.99/5/23#1
2.03/10/16(新曲)
3.亜#5
4.03/10/2
5.役人#4
今回もセットリストはMUMUのHPから引用しました。
一曲目は初手から変則パターンの譜割で始まる。
途中でミスったのか、「ごめんっ」って植村が演奏を珍しく中断。仕切り直す一幕もあった。
トロンボーンがかなり長いソロを取る。
ピッチがちょっと低く聴こえ、いまいちもどかしい。
植村のドラミングは今夜も快調。ほとんど譜面を眺めず複雑なパターンを叩きまくる。
タイミングあわせか、たまに坂元と視線を合わせてた。
その坂元はフレーズにあわせ(?)口ずさみながら鍵盤を弾く。
一曲目が終わったところで中根の挨拶。
淡々と曲紹介する。MUMUではおなじみの、ストイックな進行だ。
さて今夜のライブの目玉が、新曲の"03/10/16"。
植村がファンクをやる、という予告だった。
いきなり2曲目でその新曲は披露される。
ひとひねりどころか4ひねり半くらい工夫を凝らした、植村らしく面白い曲だった。
しょっぱなはジャストでタイトな4/4から。ジャストってすでにファンクから離れてる気が。
キーボードがややっこしいアクセントを入れる。ぼく程度の耳では、パターンがさっぱり読めない。
刺激たっぷりのリズムが続く。同じパターンを続ける≒ファンクかな、と思いきや。場面はがらがらとさらに変わった。
中盤でキーボードとドラムがユニゾンでビートを提示、トロンボーンの長いソロを挿入する。
畳み込む植村のリズムがかっこいい。
このリズムの拍子は、5/8か5/8+8/8に聴こえたなぁ。ビートの端っこが引っかかる感じ。
3拍子っぽいリズムの応酬もあり。なんでもあり。
踊れるかどうかは・・・ライブにて、ご自身の耳でご確認ください。ぜひ。
むちゃくちゃ気持ちいい曲なのは間違いなし。
しかしファンク=黒人音楽と捉えるなら、かけらも要素は無かったな〜。
続く"亜#5"はきれいな旋律が魅力。中根が朗々とトロンボーンを吹いた。
こういう曲を聴くと、植村にポップスを書いて欲しくなる。
今のMUMUを象徴する、メロディ・タイプの名曲だと思う。
"03/10/2"は前回ライブで披露したという新曲。
高速ビートと、白玉での和音が交錯する。
どかどか両足ペダルでバスドラを踏み、スネアを叩きつけるさまはデスメタルっぽい。
一転してキーボードが提示する和音は、すごく響きが心地よい。
ラストは初期からのレパートリー、"役人#4"。
新曲群のあとで"役人#4"を聞くと、アンサンブルのアレンジ推移が目立つ。
比較的アンサンブルがキーボード寄りなのが初期のMUMUだとしよう。
しかし今はメロディの比重が、トロンボーンに移りつつある。
中盤ではトロンボーンがいっぱいソロを取ることが多い。
PONに比べてMUMUはメロディ寄りだと思う。が、最近のMUMUはさらに旋律の魅力が増している。
植村の派手なドラム・ソロの場面が、どっちみち少なくて残念。
"役人#4"をクールに決め、約40分のステージが終わった。アンコールはなし。
今年の彼らは積極的にライブを行い、12回ものステージをこなした。さらに年末に一回控えてる。
さすがに毎回は行けてない。だけど聴くたびに音が進化してて楽しい。
次のライブは、なってるハウスでワンマン。余興もあるとかないとか。
今年の集大成ライブになるのかな。