LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

03/9/27   西荻窪 アケタの店

出演:清水くるみ(p)+是安則克(b)

 さて、今夜2本目のライブ観戦。
 気分転換に駅前を一回りし、深夜0時前に店内へ戻ってきた。
 先ほどライブを済ませた明田川はピアノの調律をし、共演者の山崎弘一(b)も寛いでいる。

 清水はのんびりおしゃべり。共演の是安は移動途中だった。
 遅れるからピアノ・ソロでやる予定・・・のはずが、0時半前くらいにウッドベースを抱えて、是安が現れた。手早く準備する。

 望月英明(b)も遊びに来て、「今日は3ベースだ〜」とミュージシャンらは盛り上がっていた。
 明田川も壁際に座り、雑談に加わる。

 ライブは0時半を回ったころ。
 「大御所がいっぱいいるからやりにくい」とぼやきつつ、清水はピアノへ向かった。

 が、すわったとたん表情が引き締まる。
 挨拶も何もなく、いきなり鍵盤が鳴らされた。
 清水くるみのライブは2回目。先日、スタパでのオールナイト・イベントで聴き、ぜひじっくり聴きたくって。

 とにかくピアノの音に背筋が通ってる。
 美しい旋律はしゃっきり鳴り、凛とした緊張が漂った。
 アドリブにあわせ小さく口ずさみながら、清水はピアノへきりっと対峙した。
 
 是安はウオーキングでリズミカルにピアノを支える。
 PAを通しているが、音は控えめ。
 ときおりスラップ気味に弦をはじかせ、さりげなくあおる。
 規則正しい譜割りだが、ゴムのように柔軟なベースだった。

 左手は巻き込むように弦を押さえ、弾くさまはベースを抱き寄せるがごとく。
 ゆらり、ゆらり。ベースが音にあわせて揺らぐ。
 顔は自然、ぎりぎりまで指板に近づいた。
 前のライブで音を聞き取るような仕草は、こういう弾き方だったせいか。

 前回のライブで気に入った硬質できれいなメロディは、今夜も2曲目に演奏された。なんて曲だろう。
 とにかくステージ進行はストイック。
 曲が終わり、拍手がやむのも待たずに次の曲へ。

 もちろんMCもまったくなし。是安と曲順の打ち合わせをしてる様子もなかったが・・・。
 次々繰り出す曲を、是安は惑わず弾ききった。一応譜面台はあったが、さっぱり見てる様子なし。
 曲が変わっても譜面を入れ替えるそぶりは、第一セット目にはなかった。

 1時半ころかな。休憩で一息つく。
 10分位して第二セットへ。
 今度はほぼ完全なメドレー形式。拍手する隙もない。
 コーダからすみやかに次の曲に移った。

 後半2曲目だったかな。是安がイントロに耳を傾け、テーマが出たときに合点顔。
 いちどベースを床に置き、バインダーから譜面を選ぶ。
 一枚の譜面を抜き、台へおく。おもむろにベースを抱え、演奏を再開した。

 だが是安はほかの曲だと、やはり暗譜で弾く。
 清水もとうぜん同じ。後半一曲目だけ、ピアノの上に譜面を置いてたようだ。

 メロディは華麗だが、リラックスというより聴いてて元気が出る。
 爽快な音の風が吹いた。
 後半もまったくMCをいれず、超然とピアノを弾く。
 
 ベース・ソロもところどころはいるが、この切り替えも絶妙だ。
 清水の音が弱まったとこで、ぐっとベースが前へ出てくる。
 ピアノは和音で静かにバックアップ。

 ひとしきりソロが続くとピアノの音数が次第に増えて、するりとピアノ・ソロへ切り替わる。
 さりげなさが素敵だ。

 結局第二セットは40分くらいやってたか。どちらのセットも6〜7曲づつだと思う。
 2時半近くなったところでクライマックス。
 さくっとメンバー紹介をして、ステージを降りた。

 芯が通った緊張感があるものの、音はあくまで美しく、やわらかい。
 是安の確実なバックアップも心地よい。
 深夜、耳がしゃっきり風通しよくなるライブだった。

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