LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

 03/9/23   江古田 Buddy

出演:HAYAKAWA
(早川岳晴:b、橋本ジュン:g、増田隆一:g、北澤篤:ds、植村昌弘:ds)

 今夜はやけに早く演奏が始まった。
 19時半を10分ほど回ったころ。前ぶれなくミュージシャンが袖からゆったり登場し、楽器を構える。
 すぐさま客電が落ちて、でかい音があふれた。

 まず順番に増田と橋本の長いギターソロ。
 増田はエフェクターで音を歪ませ、ワウペダルで揺らす。どちらかといえば硬質なタッチ。
 いっぽう橋本も、これまたハードな音色。比較的まっすぐな音だったか。

 ドラムも威勢いい。植村のドラムがすごくパワフルだった。
 北沢は着実に刻む。1曲目は植村が高速16ビートのハイハットを決め、いくぶんスピードを緩めなた北沢が、やはりハイハットをせわしなく叩く。
 
 太鼓はマイクを拾っているが、シンバルなど金物関係はほぼ生音。
 前のほうで聞いてたが、さすがに細かい音色までは聞き取れず。残念。

 一曲終わるとすぐさま次の曲へ。
 イントロで植村はアイスベルをスタンドごと手に持ち、静かに叩く。
 リズムの保持を北澤にまかせ、植村はフィルをどんどん挿入していた。

 エレキベースをぶら下げた早川は、2曲目でじっくりとソロを取った。
 この曲のテーマは、ベースの一弦がポイントになる。
 開放弦で強くはじきながら、早川はゆっくりとステージをのし歩いた。
 
<セットリスト>
1.Pordoi
2.Tochi
3.新曲:その2
4.バリタコ
(休憩)
5.Pedal Tones
6.翼竜の海
7.新曲:その1
8.Emのバラード
(アンコール)
9.triple spiral

 新アルバムの録音を控え、あえて未CD化曲を優先して選曲したそう。
 第一セットでもっとものめりこんで聴いたのは(3)だった。

 2ドラムはポリリズムっぽく猛烈なリズムを刻む。
 ひときわがっしり結合したグルーヴがすさまじい。
 音が集中し、ソロは奔放に広がった。

 「今日のライブで唯一静かな曲。耳を休めてください」
 と、冗談交じりに(4)を紹介する早川。
 たしかにイントロの静かなリズムパターンは、落ち着いた雰囲気だ。

 しかしHAYAKAWAが静寂のまま進むわけない。
 ソロの始まるころには、めっぽう豪快になっていた。
 増田が長いソロを取る。この曲に限らず今夜はソロがどの曲も長く嬉しい。
 曲のシメはドラムの二人。シンバルを同時に連打し、さくっとコーダを決めた。

 少々の休憩を挟み、後半は植村のドラムソロで幕を開ける。
 とびっきりタイトなリズムが、メロディアスにタムを鳴らした。
 スネアに乗せたアイスベルやカウベルも入れ、さわやかにフィルを組み立てた。
 もちろんテンポは上がる上がる。
 軽々と叩く高速ビートがめまぐるしくて爽快だった。
 
 そのリズムに橋本のギターが絡む。
 北澤、早川と加わり、アンサンブルは膨らんだ。

 気のせいか音量が前半セットより上がってる・・・。
 音割れこそしないが、がんがん耳に重低音が飛び込んだ。

 一方でギターは高音を強調した音色を選択する。
 特に増田。カチカチな歪みを作ってた。

 ギター陣やドラムは立ち位置から聞こえるが、ベースのみステージ横のスピーカーの出音が強い。
 ミュージシャンの光景と音のバランスが一致せず、聴いてて可笑しかった。

 「翼竜の海」は最近のライブで数回やったのみ。1st収録曲だが、それまで現メンバーで演奏しなかったそう。
 この曲はベースソロの後ろで、増田がメカニカルなアルペジオのオブリを入れたのが効果的だった。

 ベースは頼もしくソロを取る。時にはハイポジションで早弾きも披露。
 ひっきりなしにつまみで音色を調整し、多彩なフレーズだった。もちろん音は極太。
 ときおり左足をひょいと上げる。軽くバランスとりながら演奏してた。

 (7)では植村が増田とつるむ。
 北澤、早川のリズムで橋本がソロをひきまくってるときだった。

 植村が軽く合図するが、客席を向いた増田は気づかない。
 丸めた紙をぶつけ、植村は増田の注意を引く。

 不適に笑いながら、指で合図。
 ギターと組み、スポットでランダムな連打を刻んだ。

 2拍連打。1拍。4拍連打。
 トリオのアンサンブルにぶつける。
 二人のカウンターが面白くて、ソロよりもそっちばかり見てしまった。

 「最後はしんみりとやります」
 そう紹介して始まったのが「Emのバラード」。しんみりしたかはご想像にお任せします。

 ベースソロでは植村がアイスベルを使っておかずを入れる。リズムは北澤がキープした。
 ここで今夜初の、無伴奏による北澤ソロが挿入された。
 
 増田はおもむろにタバコへ火をつける。植村はドラムセットから降り、なぜかフラッシュたいて北澤の写真を取っていた。
 ジャストで旋律感ある植村とは対照的に、力瘤で叩きのめすようなソロ。これまたかっこいい。
 
 橋本がギターをかき鳴らす。そしてソロへ突入した。
 いつしか全員が爆走する大轟音大会。
 ふっと音が消え、ベースがテーマを奏でる。
 そのとき「あ、この曲ってバラードだっけ」と想い出しました・・・と付記しときます。

 2ステージ終わって、22時くらい。
 アンコールの拍手にはすぐに応えてくれた。

 が。まずステージに登場したのは北澤と植村のみ。
 ツインドラムがイントロだった。
 たっぷりドラムを味わったとこで、アンサンブルがはじける。

 この曲ではとにかくドラムが前面に出た。
 ギターソロが順に終わったところで、8バーズ・チェンジでドラムソロの交換。
 二人ともアグレッシブに叩きまわした。

 最後はどどっと盛り上げてエンディング。
 2ステージ演奏された曲はたいがいコーダがきちんとまとまってただけに、ひときわライブの終わりっぽい演出だ。

 大満足。アルバム録音を控え、がっしりバンドの音が固まってる。
 次のアルバムは来年春くらいに発売だそう。
 より豪快にまとまったサウンドに違いない。

目次に戻る

表紙に戻る