LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

03/9/7   下北沢 Lady Jane

出演:片山広明+早川岳晴
 (片山広明:ts、早川岳晴:b)

 「レディージェーンはひさびさで緊張してます」
 冗談めかして片山が挨拶。
 早川とのデュオも一年ぶりくらいだそう。デュオは聴くの初めてだ。

 片山の魅力である、豪放なフリーとロマンティックなメロディの両方を堪能できた。
 演奏曲はどれも聴きおぼえあるメロディばかり。しかしタイトルが思い出せない・・・。
 おもいっきり不完全ですが、いちおうセットリスト書いておきます。

<セットリスト>
1. ?
2. ?
3.ハレルヤ
(休憩)
4.インプロ〜down down
5.手品師のルンバ
6.My one and only love
(アンコール)
7. ?

 うーむ、ほぼ半分が不明です。すみません。

 片山は譜面を立てていたが、ほとんど見てる様子なし。いっぽうの早川は暗譜だった。
 MCもほとんどない。段取りをぼそぼそ相談する以外、早川は喋らなかったと思う。 

 1stセット冒頭は、フリーで始まった。無造作に片山がテナーを鳴らす。
 じわりとテーマの旋律が溢れた。
 きれいなメロディのバラッド。「For you」を連想したが・・・。さて、なんて曲だろう。
 
 早川はウッドベースでバックアップ。
 爪弾くように低音をふり撒く。
 二人きりの音なのに、音像に広がりがあった。

 続いてちょっとアップテンポに変わる。
 譜面台にミンガスの"So long Eric"の譜面が載ってたけれど、これをやったか不明。ミンガスはほとんど聴いたことないんですよ。

 ウッドベースがスラップびしばし硬質に唸る。フレーズはたゆたうがごとく。
 いっぽうのテナーは猛烈に吹きたて、ぐっとテンションが上がった。
 片山は汗を滲ませる。
 たしかこの曲。中盤でサックスがフリーに軋むと、おもむろに早川は弓を持ち、激しい擦りで応えた。

 二人の演奏は息がばっちり。
 そろって盛り上がったと思えば、互いを引き立てアンサンブルへ移行する。
 とくに打ち合わせはしてない感触。ほとんどの曲はアドリブ部分になると、フリーで突っ走った。

 くるくる変わる役割分担のアレンジがすごく面白い。
 てんでにアドリブを展開しても、ノリはびたいちズレなかった。
 片山はテナーをノーマイクで響かせる。
 野太い音色で吹き鳴らし、ときおり優しいメロディを零した。

 2曲目が終ったとこで、じっくりと片山が汗を拭う。
 その間に早川がエレキベースへ持ち替えた。

 まずはフリーのベースソロ。タイトなフレーズだ。
 ふっと音が和らぎ、"ハレルヤ"のテーマが一本のベースからくっきり浮んだ。
 テナーが思うさま唄う。

 片山はソロを早川へ渡す。じっくりと無伴奏で低音が響いた。
 つとマウスピースをくわえる片山。
 メロディの断片を吹いて早川のソロをもりたてた。

 前半はだいたい45分くらいか。
 じっくり演奏した"ハレルヤ"が、メリハリ効いてしみじみ良かった。

 休憩時間はあっというま。早川のソロで後半が始まった。
 ちょっと迷ったあとエレキベースを選ぶ。

 指ならしっぽく爪弾き、そこからアップテンポにメカニカルなフレーズを組み立てた。

 かぎりなく7/8っぽい4/4拍子。ときに9/8にも聴こえた。4拍目の裏最後を思いっきり短く弾く。
 だがここへかまわず片山はゆったりしたフレーズをかぶせた。
 ほんのりポリリズミックだが、サウンドはばっちり調和が取れている。
 
 一曲終わったところで片山が微笑んだ。
 「フリーから"down down"へ強引につなげました」

 続いて早川の曲、"手品師のルンバ"へ。
 ウッドベースへ持ちかえた。
 「ウッドでやるの?」と、面白そうに尋ねる片山。

 "手品師のルンバ"もフリーな展開。
 冒頭や最後に早川によるテーマが提示され、朗々と片山がメロディを奏でた。
 が、あとはまったく混沌。フリーに突っ込んだ。

 "手品師のルンバ"はかなり早川が前面に立つ。
 ときおり指板へ耳を押し付けるようなしぐさで、ぞんぶんにウッドを弾きまくった。
 
 後半最後が"My One and Only Love"。これも名演だった。
 これまで聴いた片山の少人数セッションはたいがいフリーだし、こういうロマンティックな曲も嬉しい。

 もっとも中盤ではかなりフリーキーな部分も。振り幅広くハイテンションなテナー・ソロだった。
 ひとくぎりついたところで早川を指差す。ベースソロへ。

 曲が終わるとメンバー紹介して後半セットが終了。一時間弱かな。
 大きな拍手の中、ステージを降りずにそのままアンコールへ入った。
 メロディが思い出せないが、たぶんスタンダード曲。

 まずはテナーが無伴奏にて。わずかに即興で吹いたあと、テーマを提示する。
 早川が一瞬、宙に視線を投げて考えるそぶり。
 そしてすっと弦を弾いて加わった。
 ミドルテンポでほんわり盛り上がる。

 二人きりだからこそ、聴きどころが多い。がっぷり組み合った音世界を、たっぷり味わえた。
 早川は音量控えめ。互いにドンパチでなく、貫禄のジャズだった。

 余談です。
 ライブが終ったとこで、店が気を利かせてCO2「Zero」をかける。
 ジャケも見ずに片山が「ギター、加藤(崇之)だよな」とつぶやいたのが印象に残った。さすが、わかるんだ。

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