LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。


03/5/3   西荻窪 アケタの店

出演:明田川荘之ソロ
 (明田川荘之:p、オカリーナ)


 店内へ入ると明田川が「テイク・パスタン」のテーマを五月雨のように弾く。
 暖かいウーロン茶を飲みながら聴いてたら、しみじみ身体が温まった。

 観客は5人かな。0時20分頃、明田川が店内の豆電球をパチパチ消して、ライブが始まった。

<セットリスト>
1.オーバー・ザ・レインボウ〜テイク・パスタン
2.トッカータとフーガ
3.侍一本ブルーズ
4.  ? (3曲メドレー)
5.セント・トーマス
6.タマヤ・ゴールド

 初っ端からすごく充実した演奏。
 しっかり鍵盤が押さえられる。ときおりボンッっと一音だけ押さえられる低音が効果的だ。
 ぼんやりメロディを追っていたため、てっきり「オーバー・ザ・レインボウ」部分は即興のイントロかと。
 
 続けて切ない「テイク・パスタン」のメロディがピアノから零れた。この曲はとても好きだ。
 ライブがえりでへとへとになってたせいか、彼のピアノがすごく耳へ染み込む。
 テーマの合間。ふっと空白を置くタイム感は、何度聴いてもいいなぁ。
 曲の展開によって、テンポも変わってゆく。ソロだからこその演出だ。

 すてきなプレイだった。明田川の唸り声もさっそく出てた気がする。
 いつものように今夜のライブは録音してたので、ぜひCD化して欲しいテイク。 
 これだけで20分くらい弾いてたか。
 次はおもむろに小さ目のオカリナを二つ取り出し、ピアノの上にそっと載せた。

 高速スピードで吹き鳴らす。時に息が続かなくなり、苦しげに吸い込む。
 せきたてられるようにオカリナを持ち替え、めまぐるしくフレーズを吹きまくった。
 足音のビートと合わさって、音量こそ静かだが熱っぽいプレイだった。

 続いて「侍一本ブルーズ」。この曲、久しぶりに聴いた。
 タイトルどおり日本調を漂わせる。
 アフリカン・ベルを掴んで、テーマの合間に長々と振り鳴らした。
 いつものことだが、振り終わって足元に置く時。がしゃっという音がキュートで面白い。

 「侍一本ブルーズ」もじっくりと演奏された。
 なんだか身体が熱くなってきた。

 MCで曲目紹介してくれたのはここまで。あとはまたもや性急に曲を続けてゆく。
 セットリストをしかつめらしく眺め、弾いていたのが珍しい。

 3曲メドレーは、まずしっとりとしたバラード。そこから唐突にクラスターノイズ連発のアップテンポへ。
 最後がジャジーな和音の響きが心地よいミディアムだったはず。
 ミディアムの曲は聴いたことある気もするが、曲名が浮ばない。
 なんて曲だろう。また聴きたいぞ。

 「侍一本ブルーズ」で若干急きたてられた耳を、バラードがそっと撫でる。
 静かに一息ついたところでクラスターノイズへ。
 肘うちからコブシ。高音から低音まで激しく音が暴れる。
 そして印象的なメロディの曲へ、全てメドレーで続けられた。

 「セント・トーマス」は大ぶりなやつと小さいオカリーナ。二つを吹き分けた。
 合間に鍵盤も挿入してたっけ。
 最初は何の曲かわからなかった。小さなオカリーナで旋律が踊り、ふっとテーマが登場する。
 この曲は手数こそ少ないが、やはりきっちりとまとまった演奏だった。

 時計をふっと眺める明田川。
「あと一曲弾きましょうか。
 ドラマーの本田珠也に捧げた曲で、自宅からここへ向かうタクシーの中、10分くらいで作った曲です」
 笑みを浮かべ曲を紹介する。先日のライブでも聴いたが、新曲だそう。

 テーマ部分は明田川の掛け声が入る。
「タマヤ〜」
 ピアノを一打ち。
「ゴールドタマッ」
 すかさず早いフレーズで鍵盤を叩く。

「しまった。この曲はタイコがいるな」
 呟いたあと、もう一度頭から。最初は照れ気味に弾いていた。

 が、アドリブ部分にうつると演奏がぐいぐい膨らむ。
 次にテーマが登場したときは、クラスターをドラムがわりに折込み、「タマヤッ!」と掛け声入れつつ、どがしゃんと力強く鍵盤を叩いた。

 「終わりです」
 ピアノから顔を上げ、にこっと笑う。
 そろそろ夜中の2時になろうかという頃合。
 
 今夜はきっちり構築されたライブだったと思う。
 なぜか厳密に、セットリストを睨みながら弾いていた。
 演奏も締まったアレンジが多く、充実したライブだった。
 
 よく考えたら今年は彼のライブに、毎月のように行っている。
 いいかげん呆れられてるんじゃないか・・・できれば大目に見て下さると嬉しいです。
 聴いててすごくリラックスできるんだもの。

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