LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

03/2/23   西荻窪 BINSPARK

出演:今沢カゲロウ/O−ne/Sleeping Beauty

 ひさびさにライブへ行った。今夜は、以前に聴いたことあるミュージシャンばかりのライブ。
 個性派ぞろいで楽しみにしてた。店内はほぼ満席。

Sleeping Beauty(19:45〜20:05)
(小出亮:g,Vo、アンソニー八百谷:手製楽器、エガワリサ:Vo,音源録音担当)


 彼らを聴くのは3回目かな。昨年11月ぶり。
 ステージ進行に余裕を感じた。かなりコンセプトがこなれてる。
 打ち込みのリズムにギターをかぶせ、アンソニーがおかずを入れるアレンジは前回どおり。
 しかしだいぶ小出がコーラスする比率は上がったみたい。ライブの7割くらいは歌ってた。

 エガワリサのハイトーンは今日も好調。
 黄色のパーカーへ腕をつっこみ、背をそらせながらまくし立てる。
 かなりパンキッシュな勢いだった。
 曲の節目、ギターソロなどでミュージシャンをびしりとアピールするポーズも健在だ。

 このバンド、見てて面白いとこが好き。
 今夜は派手にエガワリサが飛び跳ねていた。
 マイクスタンドをがしがし揺らし吼えたかと思えば、ついにハンドマイクで歌いたおす。
 しまいには小出と蹴りあうアクションまであった。

 おかしかったのがアンソニーの演奏。
 極太の金属パイプをパーカッションにするが、リズムが明らかにずれていた。
 演奏姿は見かけ上、さほど派手な部分はない。

 けれど冒頭からハーディガーディ風の楽器、曲ごとにパーカッションやバグパイプ風の楽器を持ち替え、さまざまなおかずをつけくわえる。
 いつのまにか一人汗まみれ。ステージ中、なんども汗が飛び散った。
 ただしPAバランスの関係で、いまいち音量が物足りなくて残念。

 基本的にメドレーで、7〜8曲くらい演奏したか。
 「ラスト2曲です・・・ちょっと休憩する?(笑)」
 曲の合間、息も絶え絶えなアンソニーを見て苦笑しながら、終盤でちょっと小出がMCした。

 ラストの曲ではエガワリサがステージ左へ移り、低く歌いながらハーディガーディをまわす。
 かわりにアンソニーが中央へ位置換えし、すごく長い棒の笛をランダムに吹いた。
 これもやっぱり、PAが音を拾いきれていなかった。おしいな。
 わずか20分のライブだった。

 ジャンルわけをムリヤリするなら、コミカルなエレクトロ・デスパンクってとこか。かれらのパワーは、見てて元気が出てくる。
 音楽的にはもうちょっとメロディアスなほうが好みだけど、ステージはとても面白い。
 次のライブは3月らしいが、また機会があったらぜひ聴きたいバンドだ。

O−ne(20:15〜20:40)
(NEITA:b,vo、UKI:ds)


 ぼくが聴くのは二度目。01年の6月ぶりになる。
 当時は女性二人のユニットだったが、ドラムがマッハデシリットルのドラマー(♂)に変わってた。

 基本的にストレートなアプローチ。ドラムは手数多く叩きまくるが、ベーシストと戦うほどじゃない。
 変拍子も織り込んでいるが、基調は4/4だった。

 ベースはかなり複雑なフレーズを弾きつつ歌う。
 なのに歌声がさっぱり聴こえず。アンバランスなPAは意図的だろうか。
 かすかに聴こえる歌は面白そうなメロディなので、もうちょいバランス考えたアレンジで聴きたかった。

 ゆがみきった音色のベースが、ステージから降り注ぐ。
 ときたまフレーズをサンプリングし、さらに生演奏を重ねるプレイも見せた。
 MCは妙に覇気がない。調子悪いのかな?

 この編成はルインズをどうしても連想しながら聴いてしまう。
 ・・・と思ったら。
 ラストにルインズのカバー、"OUTBURN"を持ってきた。
 原曲をほぼ尊重したアレンジで、とたんにドラムのリズムが前のめりに。
 タイトだけどキッチリしすぎなドラムが物足りなかったから、この演奏は単純に嬉しかった。

今沢カゲロウ(20:50〜21:30)
(今沢カゲロウ:6弦エレキベース)


 O-neの演奏中、入り口付近で入念にストレッチしてたカゲロウのセッティングはすぐに終わった。
 彼のライブを聴くのは01年の5月ぶり。

 年間250本ものライブをこなす彼だが、つい聴きそびれていた。
 もっとも彼は日本やアメリカをずっとツアーして、毎日のように東京で演奏を聴けるわけじゃないが。

 約2年前のステージを想像したら大違い。ぐっと洗練された進行だった。
 両肩にかける二重ストラップで、ベースは冒頭からいきなり全開。
 細切れフレーズをひっきりなしにエフェクタでループさせ、激しく掛け声を入れる。

 節目でブレイク、とびきりのダンスビートをたった一人で作り上げた。
 スタート・ストップを多用し、超高速のチョッパーやタッピングを無造作に披露する。
 ブレイクの瞬間、右手の指を伸ばしてひらりとネックを押さえるポーズは今でも多用。びしりと決まる。
 メロディよりも幾重にもループを重ねる音像を強調した演奏だった。

 このまま弾き倒すのかと思いきや。
 一曲終わったところで長いMCがはいった。最近は喋りも重視してるみたい。

 演奏さながら、ものすごい早口で喋り倒す。かなりこなれた喋りだ。
 堂に入ってるがゆえに、視線が客席じゃなくて、宙へ飛んで見えたのが惜しい。
 ネタも悪くないし、観客の一体感を強調できたら文句なしに観客をつかめると思う。
 最近じゃ「ベース・ニンジャ」ってキャッチフレーズを自分で使ってるんだ。

 40分のステージながら、10分くらいは喋ってたかも。
 続く2曲目。テンション高く突っ走り、アカペラでボイス・パーカッションを唐突に中断して、
 「LP時代にはA面とB面がありまして。ここまでがA面です」と、喋りだす。
 そんなコミカルな一幕まであった。

 後半はTシャツを脱ぎ、上半身裸でプレイ。
 ハイテクニックに頼らない、いかにも芸人っぽいステージだった。

 終盤はメドレーで数曲。携帯の電子音をピックアップに当て、ループさせる。
 頻繁にリズムを寸断し、ときおりかがみこんでエフェクタを操作するしぐさは完全に独自の世界を築いていた。

 ポーズもびしばし決まり、見ていて飽きない。
 むろん音楽はグルーヴたんまり。前のめりなビートが溢れ出す。
 このままエンターテイナーとして駆け上がって行くんだろうか。

 ステージはあっというま。拍手してたがアンコールないみたい。
 どのバンドも短めのステージで、なんだか拍子抜けだった。
 せめてカゲロウは、もうちょい長くライブ聴きたかったぞ。

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