LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
03/1/25 江古田 Baddy
出演:HAYAKAWA
(早川岳晴:b、橋本ジュン:g、増田隆一:g、北澤篤:ds、植村昌弘:ds)
バディでHAYAKAWAを聴くのは初めてかも。
この日はin Fで鬼怒+勝井+八木セッションもあったが、すかっとしたくって。急遽予定を変更。
彼らのライブは昨年8月のアケタぶり。ひさびさにライブを聴くんだと、自分でも意外だった。
7時40分頃、メンバーがおもむろにステージへ上がる。
「音がでかいですが最後までガマンしてください」と、挨拶がわりに早川がおどけた。
<セットリスト>
1.Pordoi
2.Pedal Tones
3.Tochi
4.(新曲:その1)
(休憩)
5.(新曲:その2)
6. 無題:"Emのバラード"
7.バリタコ
8.シャーマターラのマサカリ
(アンコール)
9.トリプル・スパイラルズ
アルバム"Gwoh-in"のレパートリーはきれいに消え、その後に作った曲がずらりと並ぶ。
1曲目の音が炸裂した瞬間、ずいぶん音がストレートにまとまったなぁと思った。
植村と橋本がシャープなビートを提示し、もにょっとサイケに北澤や増田が絡む。
早川が中心できっちりと、音の手綱を絞るのは変わらず。
広いバディだとヌケのいい響きがのびのびと耳に染み込む。
(1)ではドラムやギターが変わりばんこに弾くアレンジもあり。多層性を意識した音像を見せた。
植村は小さなシンバルを二つ並べる。増田がいるせいか、ついSoh-Bandを連想しちゃった。
いくぶん植村よりの位置に座ってたせいか、彼のドラムがよく聴こえる。
アタックはいくぶん植村のほうがパワフルか。
(3)でドラムを交換する演出があったが、そのときはお互いほどほどのバランスでちょうどよかった。
今夜の好演のひとつが"Pedal Tones"だった。
植村のドラムソロから始まり、橋本が軽く音を重ねるのがイントロ。
バックに植村だけを引き連れた、早川のベースソロも聴きもの。たんまりと低音をばら撒く。
特に前半、ベースの音がバンドに埋もれて聴こえたのでソロが嬉しい。
もっともフレーズが聴こえず低音だけが、ぶいぶい身体に染み込む感触も不思議で面白かった。
ライブ前に唐突に決めたという、ドラムセットのチェンジが見られた(3)では、お互いの椅子の高さがくっきり違う。
植村はずいぶん背が高く見えたし、北澤はすっかり埋もれてたもの。
太鼓の高さはたぶん一緒なんだろうから、椅子ごと替えればいいのになー、と眺めてた。
二人とも平然と叩いてたが、植村の日記によればお互い苦労してたそう。
イントロで早川がソロを奏でると、植村が座るセットのスネアがずっと共鳴する。
橋本が気にしてたが、なにやら囁く植村。どうやら演出らしい。
この(3)はけっこう聴いててしんどかった。
音の芯がずうんと重たく迫る。混沌さが支配し、いまひとつ焦点を定めづらい。
最後はそっとフェイドアウトで終わった。
だが新曲の(4)で、またがらりと音像が変化。ドラムはここで、自分のセットに戻った。
くっきりしたファンク。橋本のギターリフがかっこいい。
植村は鋭い連打でぐいぐい攻め込んだ。
休憩をはさみ、後半は再び新曲で始まる。
まずは早川の無伴奏ソロがイントロ。
今度は9/8のあと4/4のブレイクをはさみ、7/8のリフへ移る構成みたい。
あ、でも拍の構成は記憶頼りなので、間違ってたらごめんなさい。冒頭は6/8のようにも聴こえたなぁ。
ドラム二人は違うパターンを叩き、増田がザクッと刻む。ポリリズムっぽい瞬間もあった。
前半最後の曲と違い、ロジカルな印象だが、こちらも楽しめた。また聴きたいぞ。
後半は流れるように演奏が続く。
(5)は仮題どおり、バラードっぽくゆったりしたテンポ。バンドの構成上さほどリラックスせず、でかい音だったけど。
ここでの早川のソロがとびっきり良かった。
グルーヴィに低音とたわむれる。増田がおかずに入れたキラキラするフレーズも効果的だ。
オーソドックスな北澤のソロを挟み、がぜんテンポが速くなる。
早川は弦を鋭く震わせた。
続いてのソロは橋本。途中で弦を切るがかまわず引き続ける。切れた弦がたわんでネックから垂れ下がった。
「一番静かな曲です」と前置きして始まったのが"バリタコ"。
たしかにテンポはゆっくりめ。しかしリラックスは容易にさせず、どこか重たく睨むような凄みがあった。
本編最後は、おなじみなオリジナルの"シャーマターラのマサカリ"で大団円。
アンコールの拍手がすぐさま飛んだ。
演奏前に曲紹介する早川の後ろで、ドラム二人が身振りを混ぜキッカケの相談をする。
どっちが最初に叩くか譲り合ってる風に見えておかしかった。けっきょく北沢がカウントだったかな。
アンコールは"トリプル・スパイラルズ"。
本編とはがらり変わって快活なムードだった。後ろの壁が照明で赤く染まる。
中ほどでドラムのバトルが始まった。
手数多く奔放に腕がセットを駆け巡る植村と、着実に刻む北澤の対比をきっちり見せた。
植村がシンバルをわしづかみにして連打すると、すかさず北澤もシンバルを掴んで叩いてたっけ。
ひとりきり激しく叩きあったあと、植村がおもむろにカウベルを使って静かな間のフィルを提示。
それをきっかけに、全員がテーマへなだれ込んだ。
普段アケタで彼らを聴いてたから、大きいハコの響きで聴けたのは収穫だった。
披露された新曲群も充実してるし、さらなるライブが楽しみ。現メンバーでのアルバム、リリースされないかなあ。
次のライブは3/17(月)に高円寺ショーボートで。共演はルインズ。
ぜひ聴きたいが平日だ・・・行けるかなぁ。
あそこはステージ低いから、遅れて行くとドラムがよく見えないんだよ。