LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/11/23  西荻窪 BinSpark

出演:MUMU、水玉消防団21、Sleeping Beauty


 雨がぱらつく寒い夜だが、客足は好調。
 立ち見がずらりと並び、40〜50人くらい入ったのかな。
 ライブは30分ほど押して始まった。

Sleeping Beauty
(小出亮:g,Vo、アンソニー八百谷:手製楽器,バグパイプ等、エガワリサ:Vo,音源録音担当)


 彼らのライブを見るのは今年の3月ぶり
 前に聴いた時より、音像やアレンジがシャープになってる気が。
 
 基本はエガワリサによる、打ち込みの高速リズムトラック。
 そこへ小出亮がエレキギターのかき毟りを重ね、アンソニー八百谷がさまざまな楽器で賑やかに応戦する構造だ。

 冒頭はアンソニーがバカでっかい金属の筒を抱え、叩いたりこすったり。
 ランダムなビートでまずは幕開け。
 ステージ中央にかがみこんだエガワがミキサー(?)のスイッチをひねり、せわしないビートが大きい音で流れた。

 エガワはステージ中央にすっくと立ち、半身に構える。
 そのままハイトーンで、力強く叫び始めた。
 歌詞は特にない様子。勇ましくもかっこいい。

 一曲は数分くらい。立て続けに演奏し、小気味よい進行だった。
 きっちり構成され、照明との息もばっちり。
 エガワが曲の合間に手を振ると、見事なタイミングでライトが切り替わる。
 アンソニーや小出のソロのとき、エガワがぴしりとメンバーを指差していた。
 しぐさが決まってて楽しい。もっと指揮してくれないかな。

 リズムトラックに支配される分、即興性は薄い。
 でも急きたてるビートの上で、がしがし突っ走るさまは爽快だった。

 アンソニーは各種楽器を持ちかえる。バグパイプや、手製の長い笛のようなもの。
 首からぶら下げてレバーをまわしてたのは、ハーディガーディかな?
 マイクがオフ気味で、フレーズがよく聴こえなかった。

 小出のギターは時に新鮮なフレーズを閃かす。
 またはバックトラックに溶け込み、鋭いストロークを繰り返した。
 前に見たときより、バンドとしてまとまりがある。

 MCを挟んで、関連バンドのカバーを一曲。
 ボーカル曲だったがかなりパンキッシュに、けたたましくエガワが歌ってた。

 最後はまたオリジナルのインスト。
 エガワがハーディガーディをぶら下げる。弾いてたとしても、マイクがオフでほとんど聴こずじまい。
 アンソニーががんがん金属のパイプをぶっ叩く中、ステージの音量が小さくなる。

 最後はパイプを抱え込み、アンソニーがばたっとステージ中央に倒れた。
 メンバー二人が苦笑しながら見つめる。そのまま終了。
 20分強と、短くあっさりしたライブだった。

水玉消防団21
(天鼓:vo.g、三輪貴生:b、青田晃子:g、高橋結子:dr)


 80年代前半に活動していた水玉消防団が、ボーカルの天鼓の個人ユニットとして復活しているようだ。
 ライブの告知はたまに見かけていたが、音を聴くのは初めて。
 
 バックバンドは全員女性で、若手を集めたよう。ベースとドラムは元Qwangle Wangle。ギタリストはどういう経歴かよくわからない。
 Qwangle Wangleのライブを見たのはもう一年以上前だから、三輪が女性だとすっかり失念してました。字面からすっかり男だと・・・そういや前も間違えてたな(苦笑)

 ちょっと長めのステージチェンジをはさみ、一度メンバーが袖へ引っ込んだ。
 一呼吸置いて、おもむろにメンバーがステージへ登場。
 天鼓を中心に断続的に楽器を鳴らし、探り合いから始まった。

 全体的に演劇っぽいステージだ。
 即興要素も多分にあるが、かなりきっちり構成を決めてるんじゃないか。

 曲の構成があった水玉消防団とは違い、水玉21による今回のステージは、ボーカリゼーション中心。
 時に野太く、時に力強く。天鼓がまっすぐ歌声をぶつける。

 演奏はときどきアンサンブルが危なっかしい。
 ビートがばらつくのでノリにくかった。

 天鼓がオリジナルらしき日本語の歌を聴かせたのは、メドレーで演奏したうちの2曲目。
 あとはほとんど歌詞っぽいものがなかったと記憶してる。

 このステージでも、照明はきっちりポイントで切り替わった。
 タダでさえ存在感あるのに、さらに天鼓が強調される。

 即興の中心は天鼓の歌声。バンドのソロ回しはほとんどない。
 暗黒風味を基調に、重たくステージが進行する。
 メドレーで7〜8曲やったのかな。
 天鼓はコーダの部分で手を上げる程度の、シンプルなサインでバンドを動かしていた。

 終盤部分では拍をちょっとずらしたラップ風の、童謡「あんたがたどこさ」を叩き込む。
 ドスの効いた声で吐き出す「あんたがたどこさ」がすごいかっこよかった。

 しめて40分くらいか。
 まだまだ煮詰める余地ありそうだが、天鼓の存在感に引っ張られたライブだった。

MUMU
 (植村昌弘:ds、坂本一孝:key、中根信博:tb)


 セットチェンジはサクサク進む。観客は満員のまま。
 「よろしければ空いてるとこに座って・・・空いてないか」
 植村が冒頭にボソッと呟いた。

<セットリスト>
1.ワンピース #1
2.02/2/25 #1(新曲:部分/改テンポ版)
3.98/3/10 #2
4.役人#4
5.役人#6
6.役人#7
7.99/5/23 #3

 セットリストは、今回もMUMUのHPから引用しました。

 「ワンピース#1」からスタート。隙間の多いアレンジだった。
 トロンボーンがオフ気味なのが残念。
 ボリューム上がると問題ないが、pで演奏してると聴き取りづらい。
 マイクへ向かって、あと一歩前に出て欲しい。

 対バンとは違い、今度はライトに凝らずこうこうと照らされたまま。譜面が見づらいせいか。

 続いて新曲「02/2/25 #1」。
 HPの日記にも自分でぼやいてたが、複雑すぎてリハが終わらなかったらしい。

 で、今回は一部分だけを演奏という、MUMUにありがちな新曲お披露目となった。
 珍しいのはテンポを下げたこと。イン・テンポだと"まだ"できないそう。
 なぜそういう曲を書くのよ、植村さん・・・。

 前置き入りで始まった曲は、そうとう複雑な構成で、中盤ではめまぐるしくリズムが変わっていた。これでイン・テンポじゃないとは。うひゃぁ。
 およそ数分くらい演奏してた。

 「MC」シリーズよりも重たさは控えめ、いくぶん軽やかだった。
 次のライブでは完全版を聞かせるそう。どのくらいテンポが上がるんだろう。 なお、なぜ02/2/25なのかって説明はありませんでした。なんの日かなぁ。
 
 ここから先はおなじみのレパートリーが続く。
 植村のドラムはパワフルに鳴っていた。

 きっちり構成されたMUMUの曲だが、聴くたびに印象が違う。
 複雑だからきちんと覚えてないせいもあるだろう。
 今回はだいぶ長めに伸ばされてたように感じた。

 たとえば「98/3/10 #2」のリフ。
 普段より長めに繰り返されてた気がする。たぶん。断言できないのが情けない。

 トロンボーンもソロっぽいフレーズを多用していた。
 ドラムとキーボードがえんえんビートを刻む中、のびのびと音がはずむ。

 後半は「役人#7」まで4曲続けて演奏。
 とはいえ別にメドレー形式ではなく、きちんと曲の間を区切る。
 一曲終わるごとにメンバー達が楽器を吹いたり、汗をぬぐったり。
 入念に準備してたのが印象深かった。

 植村のドラミングはどんなに複雑な演奏になっても、冷静にビートをキープする。
 あれは「役人#6」でかな?
 左足でクールにハイハットを刻みつつ、右足と両手ががしがし高速フィルを畳込むさまが、しみじみ凄かった。

 ステージ最後の曲は、大好きな「99/5/23 #3」。爽快なメロディが店内に広がる。
 途中で植村はスティックの鳴りが不満だったのか、両手とも演奏中に交換してた。

 MUMUのステージは40分くらいか。アンコールはなし。
 前述したとおり一曲のサイズを拡大されて聴こえたのに、密度が高い充実したライブだった。
 いつもより長めのステージで嬉しいが、ワンマンでも聴きたい。実現しないかな。

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