LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/10/20   吉祥寺 MANDA-LA2

出演:さかな、鬼木雄二

 客入りはすごく好調。開場を待つ列はずらっと並ぶ。寒いなぁ。
 店内に入ると椅子が、前詰にぎっしり並んでた。このセッティングのせいで開場遅れたのかな。
 なんとか座席を確保したが、座ってるとかなり窮屈。

 でも立ってる人のほうが大変。普段よりスタンディングのスペースを豊富に作ったのに。
 観客は100人くらい入ったろうか。ずらりと立ち見で埋め尽くされた。

鬼木雄二

 彼の音楽を聴くの初めて。普段はサンフランシスコで活動しているそう。
 アメリカ生まれのアメリカ育ちで、日本でのライブは二年ぶりとか。
 あまり日本語は得意じゃないって言ってたが、しゃべりに違和感はない。
 むしろ歌ってるときの英語の発音が、妙にたどたどしかった。なぜだろう。

 てっきりフォークの弾き語りかと思いきや、ほんのりサイケタッチのポップスで楽しめた。
 サポートに白人男性がつき、ギターとコーラスを努める。名前は聞きそびれました。すまぬ。
 もっともPAバランスが悪く、ほとんど彼の歌声が聴こえない。

 演奏は弾き語りではなく、足元のPCからバックトラックを呼び出していた。
 ドンカマとベースとキーボード。ほぼ全ての曲でコンボ形式のオケがある。
 だからアレンジこそきっちりしてたが、カラオケ風でいまいち馴染めない。
 せっかくだから、もっとのびのび演奏して欲しかった。

 1〜2曲目はメドレーで演奏。MCを挟みつつ、3〜4曲やったかな。
 メロディがきれいで気持ちいい。
 ボーカルは線が細め。伸びやかなメロディだけに、もっと張った声で聴きたかった。
 サウンドが気持ちいいだけに、アレンジやPAに不満が残ってしまった。

 ここでゲストの登場。いったい誰かと思いきや・・・勝井祐二じゃないか。
 びっくりした。アルバムに参加してた縁らしい。
 PERE-FURUのツアー中かと思ったが、ちょうど狭間だった。

 ステージ端に勝井が座って"I am a cat"をやったあと。
 "シーズン"って曲をやろうとしたところ、PCの調子が悪くオケが出ない。
 しばし格闘してたが、どうにもならずに構成を急遽変更。
 "リーズン"って曲を、勝井とデュオで披露した。

 エレキギターのストロークに、勝井のディレイを多用したエレクトリック・バイオリンが絡む。
 ぼくは生演奏が好きなので、この曲が一番印象的だった。

 一曲終わったとこで、またPCをいじる。しばらく空白があったが、なんとか復帰し、気を取り直して"シーズン"を演奏した。

 ここから数曲演奏したが、勝井もずっと弾きつづける。
 鬼木を立てて控えめな演奏が多かったが、当然ながら単なる賑やかしで終わらない。
 曲をふっくら膨らませ、味わい深い演奏だった。

 一曲新曲を披露し、最後は"40セカンズ"。ポール・サイモンを思わせる、ニューヨーク風のメロディに聴こえた。切々とした旋律がいとおしい。
 物販でこの曲が入ったアルバムを買っちゃった。
 約50分のライブ。

さかな
(POCOPEN:vo,g、西脇一弘:g、pop鈴木:ds)


 勝井祐二がゲストなので、このままさかなに復帰ライブか?と期待したが、鬼木と一緒に機材を片付けて去ってしまう。ちぇ。

 さかなのライブは向かって右が西脇、左にPOCOPENとおなじみの配置だ。
 冒頭にPOKOPENが「だらだらしないように」と、アドリブでなく原稿を読むMC。
 これにはウケた。おおまじめだろうが、まるで朝礼の訓話みたいな紋切り型の挨拶が並ぶんだもん。

<セットリスト>
1.Lepia
2.Sue
3.Locomotion
4.Fan
5.Little Swallow
6.Rocky Moutains
7.Homeless Phoebe
8.Subway
9.Panamanian Hat
 *惑星&衛星さんのサイトを参照しました。ありがとうございます。

 さかなとして9曲をプレイした。ギターの音に戸惑ってるようす。
 チューニングに納得いかないのか、POKOPENはほぼ一曲ごとにチューニングを繰り替えす。
 喋りながらチューナーでピッチをあわせるもんだから、せわしない感じだった。
 MCはほのぼのしてて楽しめたけど。

 ラスト2曲では「ここからはフランス映画と思って聴いてください」と前置き。なんか深い意味あったのかな。
 
 一曲目からPOKOPENの震えるボーカルが広がり、あっというまにさかなの世界に会場が満たされる。

 POKOPENがベース部分、西脇がメロディ部分とギターのフレーズを分担が基本だが、時に役割分担が入れ替わる。
 リズム弾きからするっとメロディが紡がれ、もう一人がすかさずストロークで支える切り替えが素敵だった。

 三曲目はざらっとしたアレンジで演奏。隙間を生かし、ぶっきらぼうな感触もあった。

 "ファン"は「勝井さんにあやまならなきゃ行けない曲」とPOKOPENが説明。
 なんでもメロディとコードが変わってるらしく、録音の時にどう弾いていいか勝井がひそかに悩んでいたそう。
 この曲や、続く"リトルスワロウ"はしばらくライブでやってなかったとか。
 どちらも好きな曲なので、演奏してくれて嬉しかった。
 
 ゆったりムードの"ファン"も、メロディが流れ落ちる"リトルスワロウ"もどちらもリラックスして聴いていた。
 しかし。曲が終わったとたんにいきなりチューニング始めるんだよなぁ・・・。

 (6)の前で、ちょっと長めのチューニング。
 西脇がギターをいじってる最中、POKOPENがワンフレーズちょこっと弾き語り。
 むかしさかなでやってたレポートリーみたい。
 
 で、この(6)が名演だった。ブルージーな演奏が基調ながら、三人の演奏が深く広々と拡がる。
 トリオ編成なのに、すごく厚みあるアンサンブルに聴こえた。
 
 (7)ではワンフレーズ弾きかけたとこで、西脇から「キーがあってないよ」とツッコミはいり中断。なんか今夜は不安定だ。
 
 POKOPENは「いままでギターを買って、10回くらいしか弦を変えたことないよ」って笑ってたけど、そういうもんなのでしょうか。ギター弾かないからわかんないや。

 最後の(9)もウエスタン調で面白い演奏だった。
 MCやチューニングで時間押したせいか、1時間ちょいのステージ。

さかな+鬼木雄二

 第三部は共演ライブ。とはいえ2曲だけだし、アンコールみたいなもんか。
 それぞれが選曲した洋楽をカバーする趣向で、さかなが選んだのはレナード・コーエンの曲、"Heart with no companion"。
 もっともロン・セクスミスのバージョンで練習したとか。
 いまいち和音感が奇妙で、濁った音飾で弾かれた。

 鬼木の選曲はフレイミング・グルーヴィーズの"You Tore Me Down"。こちらはヨ・ラ・テンゴのバージョンが下敷きらしく、「カバーのカバーだ」って言ってたっけ。
 "You Tore Me Down"は聴くの初めて。ライブのシメに意外と似合う曲だった。
 一転してしゃきっとしたアレンジだった。

 終わったのは10時過ぎ。アンコールの拍手が飛んだが、時間が押しすぎて残念ながらライブは終了。もっと聴きたいなぁ。

 さかなの世界はすごく個性あるから、始まってすぐにサウンドへに浸れるのが嬉しい。
 派手さはないものの、popのドラミングもすごく効果的だった。
 ポイントポイントで入れるフィルの絶妙なことといったら。

 なによりPOKOPENの味わい深いボーカルをきっちり楽しめた。
 12月のライブはマン2でワンマンとか。嬉しいな〜。日曜だしぜひ聴きたいぞ。
 そもそもさかなって充分ワンマンでいけるはず。バディくらいの大きめなハコで演奏して欲しくなった。

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