LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
02/9/3 吉祥寺 MANDALA−2
出演:渋さ知らズ劇場
(不破大輔:b、片山広明:ts、泉邦弘:as、北陽一郎:tp、植村昌弘:ds、佐々木彩子:p,key,vo、
関根真理:per、斉藤"社長"良一:g、高岡大祐:tuba、室舘あや:fl,vo、
ゲスト 坂本一孝:key)
渋さ名義のライブを聴くのは去年5月以来、1年以上ぶり。
渋さ知らズとしてはここんとこ大規模イベントや、ピットインなどで観客ぎっしりライブが多く、つい行きそびれてた。
今夜もどれほど観客が多いかとびくびくしながら行ったが、無事に座れて聴ける程度の入り。
ひととおり満員になったが、40人くらいの動員かな。
いやー、ひさしぶりの渋さ、改めて彼らの魅力を実感した。
各メンバーがてんでに面白い音をばら撒くから、視線があっち行ったりこっち行ったり。ひっきりなしに楽しめる。
刺激満載なうえ、音のテンションはぐいぐい上がって行くんだから。
<セットリスト>
1. ?
2.アングラーズのテーマ
3.股旅
4.DADADA
5.行方知れズ
(休憩)
6.イカシビレ(feat.佐々木彩子)
7.ライオン
8.Pちゃん
9.本田工務店のテーマ
10.仙頭
曲順は記憶頼りなので間違ってたらごめんなさい。
冒頭は耳なじみないメロディ。3/4拍子の重たいリズムだが、次の曲とメドレーだったから、もしかしたら「アングラーズ」のイントロかも。
それにしても斉藤のギターはかなりボリューム大きい。はじまっていきなり鼓膜が震えた。
彼はフレーズではなく、エフェクターぎっちりでサイケな音像の提示が多かった。
音そのものは面白いけど、音量がでかい分だけ耳が痛い。
「アングラーズ」では、さっそく片山のテナーが豪放に吼える。
迫力あるのは確か。でも画一的に感じてしまうのはぼくだけか。
大規模な渋さになるほど、片山のテナーはシンプルさを強調してる気がする。
ま、それはさておき。
片山のソロの最中、泉が合いの手で吠える。高岡、室舘もさっそく加わりコミカルな雰囲気だった。
3曲目では泉のソロを前面に出した演奏。矢継ぎ早に繰り出すアドリブの裏で、こんどは片山がカウンターをテナーで入れる。
佐々木はシンセとピアノをフレーズごとに弾き分けていた。
植村のドラムは冒頭ではコミカルなリズムだったのに、いつのまにかフロアタムをひたすら連打する野性的なビートへすり替わる。
一曲の中でも、がらがらアレンジが変化。
このフットワークの軽さが、あらゆる曲で聴けた。
続く「DADADA」はユニークなアレンジだった。
まず、ハンドマイクな室舘の歌声が主役。
ほとんどの楽器は音を止め、バッキングは関根のンビーラが主に取る。
素朴なメロディを彼女が刻み、歌声はひたすら伸びた。
歌詞もない。ただのロングトーン。顔をマイクに近づけたり遠ざけたり。
巧みなマイキングで、室舘は幻想的なムードを作り上げた。
ンビーラへ高岡のチューバや斉藤のギターが加わった。音量は下げ気味で、そっとボーカルを盛り立てる。
そしておもむろにホーン隊によるテーマ。ここでやっと曲名がわかった。
今夜の名演のひとつだった。
前半最後の「行方知れズ」では、まずは植村と不破のデュオをイントロに演奏がスタート。
ソロを取ったのは高岡や北だ。高岡は無伴奏でチューバを吹く。その前に斉藤のギターソロがあったかな。
続いて北によるソロ。曲によってトランペットとコルネット(かな?)を使い分けていた。
バックのリズムチェンジがとにかく聴きもの。
不破と植村がタイミングを合わせ、びしびしテンポを変える。
いきなり倍テンで突っ込むとこが、かっこよかったな。
室舘は楽しそうにダンスを踊っていた。
前半は約1時間15分。ほんの15分ほど休憩を取っただけで、すぐに二部がへ繋がる。
まずは佐々木のバラードから。彼女はピアノに向い歌った。
もっとも単なる伴奏で終わらないのが渋さ知らズ。中盤ではえんえんソロ回しも聴けた。
ただ、渋さの場合はソロ回しとはいわないかな。がんがん他のメンバーがオブリガートを入れ、多層的にアドリブが展開していくから。
2曲目では片山が加わる。さらに飛び入りゲストも登場。植村とMUMUつながりの坂本だ。
「ゲストを紹介します」と不破が言ったのは、ちょうど片山がステージへ上がったタイミング。
「え、ゲストっておれ?」って片山がボケて、観客の笑いを誘った。
坂本はキーボードの前にちょこんと座り、佐々木はピアノに専念。
ここで不破はウッドベースからエレキベースへ持ち替えた。
「『ライオン』をやります」と不破が紹介したとたん、歓声が起こる。
やっぱりこの手の定番曲だと盛り上がるんだな〜。
坂本は中盤でソロを披露。もっと飛ばすかと思ったが、比較的おとなしいフレーズ使い。
最初はカウンターでアドリブを当ててた斉藤が、いつのまにかワイルドな躍動感あるソロで主導権を握る。
結局、坂本の飛び入りはこの一曲だった。残念。
続く「Pちゃん」ではひとひねり。
リズムはアップテンポながら、テーマは半分のテンポで演奏する、重量級「Pちゃん」だ。このアレンジは聴くの初めて。
もっともエンディングでは、テーマはもとのテンポへ戻ってた。
ちなみに恒例のソウルレビュー風リフも、きっちり披露した。
もはやお約束とはいえ、ホーン隊があのメロディを奏でるとワクワクしてくる。
ここらで観客の何人かは立ち上がり踊っていたっけ。
音量はガンガン上がり、耳に響いた。
後半セットでは、植村の活躍がとても目立った。
「Pちゃん」では関根とデュオ、続く曲でもソロをぶちかます。
超高速ビートをマシンガンのように平然と叩き出した。
関根とのデュオが面白かったな。ビートとフィルを巧みに組み合わせ、すごく刺激的なソロだった。
「本田工務店」で駆け抜けたあと、ラストに不破の提案で「仙頭」を短く演奏。
アンコールはなしでステージを降りた。
後半戦も1時間15分。しめて2時間半のお腹一杯なライブだった。
この編成で、ここまで耳鳴りが続くとは。翌日の夕方くらいまで鳴りが残ってたもん。