LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/8/24   西荻窪 アケタの店

出演:HAYAKAWA
 (早川岳晴:b、橋本ジュン:g、増田隆一:g、北澤篤:ds、植村昌弘:ds)


 「今日もウルサくいきます」
 そんな早川岳晴の前置きで始まったライブ。まさに音がでかかった〜。
 観客の入りは上々で20人弱くらい。そのせいか、19時50分には客殿が落ちた。

 ステージ奥の中央に早川がエレキベースを構えて立ち、ステージ左奥には北澤、ステージ中央寄り右側で植村が座る。
 ギタリストはその左右に構える体制だ。

 こじんまりしたアケタのステージなので、2セットのドラムはマイクなし。
 でも、植村のドラミングはパワフルで、がんがん音が響いた。
 橋本のギターもかなり音がでかく、ステージ後方に位置した早川・北澤が音量的に少々厳しい。細かな音が聴こえづらかった。惜しい。
 
 途中のMCで早川が「音量がうるさいでしょ」と笑うと、植村は指を回して「ボリューム下げれば?」ってしぐさをする。
 「おまえがうるさいの」と、すかさず早川は笑いながらツッコんでたっけ。
 早川自身も演奏の合間に、何度か鼓膜をいじってたのが気になった。

 と、いきなり音量の話からはじめてしまったが。
 ライブそのものはむちゃくちゃ面白い。
 ツイン・バンド的な強みを多彩に生かしたアレンジだった。

<セットリスト>
1.Pordoi
2.Tochi
3.バリタコ
4."Emのバラード"
(休憩)
5.Wormhole<ベース・ソロ>
6.シャーマターラのマサカリ(働く人々)
7.アンモナイトの悩み
8.Pedal Tones
(アンコール)
9.294
*セットリストは早川岳晴のHPを参照しました。

 第1セットは未CD化な最近のレパートリー中心、後半はCD化済の曲群と前半後半で分けた選曲。アンコールの曲はわかりませんでした。すいません。

 アップテンポの「ポルドイ」から始まる。じきに耳鳴りがはじまった。
 メドレーで繋げてた「Tochi」から、早くも聴きどころ多し。
 ここで増田は左手でフレットを押さえながら、右手はギターのツマミをいじる奏法でサイケなソロを組み立てる。

 テンポも冒頭はじっくりだったが、中盤のベースソロからリズムが押す。
 北澤が倍テンポで叩き、ぐいぐい盛り上がった。
 ベースソロのときはドラム二人のみで伴奏。
 着実に刻む北澤と、カウベル中心に軽快なリズムを重ねる植村の対比が楽しめた。

 そして終盤。橋本のソロが続く中、早川がおもむろに単音で弦を弾く。
 フェイドアウトぎみに音が消えてゆき、がらりと違うサウンドへ変化する展開がかっこいいぞ。

 続く「バリタコ」でもベースのイントロへドラム二人が加わる音作り。
 ここで早川はエレキベースを持ちかえる。
 イントロ部分のフィルでは、植村が素手でスネアやシンバルを叩いていた。

 アンサンブル部分になると、各メンバーのフレーズが対比的だ。
 リズムキープが基本な北澤に、メロディアスなフィルを絶え間なく叩き込む植村。
 
 増田はブライトなトーンで細かくソロを弾くか、エフェクターを効かせたアヴァンギャルドなフレーズを多用するのに対して。
 橋本のプレイはけっこう豪音直球系。小気味よく音を歪ませて、ロックっぽいソロが多かった。

 その橋本のギター・ソロが効果的に滑り込んだのが、「Emのバラード」。
 中盤で北澤が連打中心なストレートなドラム・ソロをはじめた。
 むくっと橋本が立ち上がり、ギターを構える。
 ハードにギターをかきむしり、ハイテンションさが素晴らしい。

 ちなみに「バラード」といいつつ、それっぽいのは冒頭のテーマだけ。ソロ回しをしてるうち、あっというまに豪快にぶちかます。
 エンディングで植村は激しくツインペダルを踏み鳴らした。

 休憩を挟み、まずは早川の無伴奏ソロから。
 こういう機会はあまりないので嬉しかった。
 インプロではなく曲を演奏していた。曲名は早川岳晴のHPから引用しました。
 
 まずはオーソドックスに、しかしスピーディなフレーズのソロ。
 いつのまにかリフをサンプラーで薄くループさせ、音色はディストーションを響かせた。
 どんどん音色が歪む。ライブハウスの壁が低音に共鳴してビリビリ震える。
 ラストはアンプのツマミをあちこちいじるだけ。ノイジーですごく刺激的な演奏だった。
 こういう音楽でワンステージ聴いてみたいな。

 2曲目の「シャーマターラのマサカリ」からバンド体制にもどる。
 ユニゾンでテーマのメロディを繰り出した。
 なおこの曲、ライブ・エイドでテレビ出演したとき弾いたとか。当て振りだったそうだけど。うーん、覚えてない。

 このあと、たしか「Pedal Tones」で聴かせたアレンジが面白かった。
 まず植村+増田のデュオでスタート。細かな音使いで増田がアドリブを膨らませ、植村は高速フィルを立て続けに叩き込む。
 互いにフレーズを併せず、てんでに突っ込みビートを作り出してゆく。
 ルインズっぽくやるかと期待したが、ちがう魅力があった。

 続いて残り3人でのアンサンブルへ。こっちは橋本のギターをうまく支える確実な演奏だった。
 さらに全員でのセッションへ変化し、ベースのソロではドラムのみのバッキングへ。
 さまざまな組み合わせがありうる編成をうまく利用したアレンジだった。

 ステージ最後の「294」では、ベースソロでのバッキングでドラムの掛け合いが。骨太なベースを向こうにまわし、4小節ごとに高速フィルが飛び交うドラミングの交錯がたまらない。

 後半セットもほぼ1時間演奏。アンコールは拍手にすぐ応えてくれた。
 これまた大迫力な重戦車ジャズ。大音量が歯に染みる。
 
 2時間越えでたっぷり威勢のいい演奏を堪能できた。
 店を出たら、きっちり耳鳴りがしてたっけ。

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