LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/8/15   吉祥寺 Star pin`s cafe

  ”夏憩 〜produced by M-6〜”
出演:nel-lan/rittle/CEL/棗-なつめ-

 たまには知らないバンドの音楽を聴きたくって。ライブハウスのスケジュールをあれこれチェックして、てきとうに行ってみた。

 どうやら音響系バンドのイベントらしい。バンドのメンバーは、たぶん全員が20代前半くらい。
 オーガナイザーがはっきりせず、イベントの主旨がいまいち謎だった。

 バンドの合間にはDJが廻すけど、フロアで踊る人は特にいない。
 響きの面白いテクノをずっとかけてて、面白かった。

nel-lan
(スエナガゴウ:vo,g、ナガオカ:b、オクシュウタロウ:b、さかいれいしう:vo,key)


 本来はイトケン(ds)もメンバーらしいが、本日は欠席。
 心地よい音使いのバンドだった。HPではアンビエント・テクノ風の音をアップしてるが、今夜はもっとリズムをきっちり提示していた。

 ギターを静かに響かせ、ボーカルをそっと乗せる。オフ気味な歌い方は狙ってたのかな?
 
 上のメンバーはHPから引用。ベースが二人いるが、この日はギターが二人だったはず。
 一人はアンプへ屈みこみ、フィードバックさせたりしていた。

 ステージ後方に流されたスライドも面白い。
 老婆の映像が写され、後ろをさりげなく手書きのモンスターが通り過ぎる。
 いったん画面から消え、再び登場した老婆の表情はパーツごとに分割された。
 顎や目玉がバラバラに取り出され、ふわふわランダムに動く。
 シュールな映像が、サウンドと妙にマッチしていた。

 リズムはキーボードから出してたみたい。
 奇麗な音像で、音量は小さめ。もっと大きくてもいいのに。
 途中から、うとうとしつつ聴いていた。

 30分ほどのライブを終わり、ぼそぼそっと短いMC。
 挨拶のみでメンバー紹介もなし。あっけないなー。

rittle

 HPが見つからず、メンバーは不明です。3人編成で、ベースの男とパワーマックの横にプラグを山ほど刺した機材を置く男。
 フロントへ女性ボーカルが立ち、スキャット風に優しく歌う。

 マックからビートを提示し、散発的に低音で補完。
 ときたま低音がずしんと響いて心地よかったが、基本的にはこのバンドも音が小さめだ。うーん、ものたりない。

 アンビエント・テクノ風音像は気持ちいいが、もっと音圧が欲しかった。
 基本的にメドレーで演奏、約30分。

CEL
 
 彼らもHPが見つからず、詳細メンバー構成は不明です。すまぬ。
 サウンド的にはもっとも好みにあってた。

 編成はds、b、vln。バイオリンはアコースティックながら、サンプラーへつないで変調させる奏法を多用。
 弾きまくるときは、サイケなフレーズが多かった。本人が意識してるかわからないが、勝井祐二の影響を多分に感じさせる演奏だ。

 ドラムスはスネアひとつに各種シンバル数枚。タムを使わず、シャープなリズムをシンバルの組み合わせで叩きだした。
 少々シンプルながら、ときたま繰り出すフィルがかっこいい。

 ライブ冒頭はドラムがシンバルを弓でゆっくり弾くノイジーな音からスタート。
 ベースがリフを繰り返し、曲へと変換した。

 演奏はたぶんベースがキーだと思う。即興要素はあるものの、ベースは淡々とフレーズを繰り返す。
 プログレっぽい盛り上がりはあるが、もうちょっとアレンジを派手にして欲しい。
 ベースのフレーズにからみ取られ、サウンドが沈み込んでしまう。

 ドラムとバイオリンのデュオで聴いてみたい。
 二人ともときたま見せるフレーズのセンスが面白く、将来が楽しみな演奏だった。
 バイオリンのPAが小さく、ときに聴こえづらかったのが惜しい。

 約30分の演奏。面白い。このまま即興を追求して欲しい。

棗-なつめ-
(FUMINOSUKE:vo,g、庄司広光:electronics、Potoratch:sitar,per、山田宗弘:g)


 冒頭に10分ほど、別のミュージシャンがアコギのソロを2曲披露した。
 静かなフレーズを繰り返し、次第に変容してゆく。ミニマル要素を取り入れたソロだった。

 入れ替わりで登場した棗-なつめ-はシタールのチューニングに手間取ってたのがおかしかった。あんなにいっぱいコマがあると大変だろうな。

 今夜登場したバンドの中で、唯一異質なバンド。
 これまで地味なアヴァンギャルド系スタイルなバンドばかりのなか、タンクトップにキャップをかぶり、ブルーズマンっぽい服装で登場した。

 アコギを抱え歌うFuminosukeの通る声を聴いた時は、フォークかブルーズをやるかと思った。
 ところがやはり一癖ある。ファルセットを多用し、不安定な音像を提示。
 後ろから庄司がハムノイズで奇妙さを補完する。

 山田のエレキギターとPotoratchのシタールは味付け風だった。
 最初は異質なサウンドが面白くて楽しんでいたが、持ち技がそれひとつなので最後まで間が持たない。
 スローなテンポが多くて、じりじり。アイディアは面白いから、もっと緩急をつけて欲しいぞ。

 エンディングはドローンを各自が出し、じわじわっとひきずる。
 約40分のライブだった。
 
 しかし最近の若手ってステージ構成があまりにそっけない。
 淡々とメドレー形式でライブが進み、MCも特に無い。次に繋げるバンドへの親しみを持ちにくいし、今後の活動予定も不明だ。チラシもほとんどないんだもん。
 全般的にライブというより、ゲネプロを覗いてるかフィルムショーを眺めてるような印象が強かった。
 
 アヴァンギャルドなイベントだから、雰囲気をそろえたのかな。
 それぞれユニークなアイディアを持ってるだけに、芸人の下世話さが欲しくなった。
 
 今日登場したバンドでは、nel-lanとcelは機会があれば又、ライブも見てみたい。
 rittleも存在感を増せば面白そう。
 こういう風にぶらっとライブへ行くのも楽しいな。
 次はどんな音の登場か、先の見えないワクワク感がたまらない。

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