LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/7/20  西荻窪 アケタの店

出演:明田川荘之ソロ
 (明田川荘之:p、オカリーナ)


 さっきまで聴いてたライブのせいで、きーんと鳴る耳をこすりつつアケタの店へ向かう。
 明田川は店内で、綿密にピアノの調律をしていた。
 客席では夜の部に出演していたミュージシャンや、観客で来てたとおぼしき小山彰太が、ビールを飲みながら談笑していた。

 ほかに観客がぜんぜんいない。実質ぼくひとりだけで、さすがに居心地悪い。
 ミュージシャンが全員引き上げてしまい、ひとりお客さんが増えた頃合。
 0時半頃にライブの始まり。
 
 一音一音、くっきりと明田川は鍵盤を叩く。
 ミドルテンポでいろいろフレーズが溢れ、いつしか聴き覚えあるメロディがそっと浮び上がった。

<セットリスト>
1.Over the rainbow
2.テツ
3.りぶるブルース(?)
4. (?)
(休憩)
5.シューリヒト
6.プレースエバン
7.OK是安(?)
8.テツ

 一曲目のメロディはたぶんこれ。間違ってたらごめんなさい。
 もっとも今夜の観客は二人だけ。ぼくの勘違いを指摘される可能性は、悲しいかな限りなく低い(苦笑)

 明田川の深夜ライブは、常に録音されている。
 今夜のテーマは「いままでレコード化されてない曲をやる」ことだとか。
 このところ彼のライブをさぼってたが、比較的聴きなじみのある曲が多かった。
 もっとも(?)がついてる曲名は自信ないです。
 他はMCで曲名を紹介してくれたけど。

 前半はずっとピアノソロのみ。
 エコーは控えめで、アタック強く鍵盤を叩く。
 特長である日本情緒な表現は抑えて、落ち着いたジャズだった。

 唸り声もいつのまにか大きくなる。ただしクラスターノイズはほとんど弾かず、丁寧なアドリブがメイン。

 4曲目は聴き覚えないメロディだった。
 ぐいぐいランニングする、かっこいい曲。
 ここで少し休憩。前半は30分強ほど弾いてたかな。

 10分ほど間を置き、ふたたび明田川はピアノの前へ座る。
 大中小のオカリーナを持ち出し、バロック風の音使いで「シューリヒト」を吹きだした。
 メロディをじわじわ崩しながら、きらきら音が弾む。
 素朴な音色が耳に滑り込む好演だった。今夜、オカリーナの出番はここだけ。残念。

 次の「プレースエバン」も何度かライブで聴き覚えある。東北のジャズ喫茶へ捧げられた曲だったか。
 
 (7)はぱっと頭に浮かんだタイトルで、ぜんぜん違う可能性大。
 低音でランニングしつつ、ときおり高音部をチャラチャラッと鳴らす曲です。
 この曲も好き。

 そして最後は、第一部でやった「テツ」を再演。
 雄大な音使いが奇麗な名演だった。
 ゆったりメロディが拡がりつつ、唐突に風景の切り替わる瞬間がたまらない。

 ところどころ唸り声は入るけど、とうとう最後までクラスターノイズはなし。
 明田川の深夜ライブはたいがい最後にテンション上げて、ガンガン鍵盤をぶっ叩くエンディングが定番。
 静かに終わる構成は新鮮だった。

 終演は夜中の2時に届く頃。しめて約一時間半の演奏だった。

 いつのまにか耳鳴りも収まっている。
 深夜にふさわしい、心地よいライブだった。

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