LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/5/26  下北沢 Shelter

   〜砂上の楼閣 21:スパルタクスの反乱〜
出演:fOUL、SPALTA LOCALS

 今夜はfOULのイベントに、SPALTA LOCALSが参加した形。
 me-miさんがいちおしなバンド、SPALTA LOCALSを見たくてシェルターへ行った。
 開場時間のころはすさまじい雷雨。傘を持ってなく、えらいめにあった。

 シェルターは思ったより狭いハコ。
 スタンディングでキャパ250人くらいかな。ほぼ満員びっしりな動員だった。

SPALTA LOCALS(19:40〜20:20)
(安部コウセイ:vo,g、安部光弘:b、伊東真一:g、中山明仁:ds)


 福岡出身の4人組バンド。
 現在、メジャー1st「悲しい耳鳴り」レコ発「その音は虹のように美しい」ツアー中だ。
 スパルタの立場だと、今夜が全国ツアーのセミ・ファイナルかな。

(セットリスト)
1.パーフェクト・ソング
2.サイレント(新曲)
3.レインボー・プール
4.夜の迎撃
5.春忘却
6.ほたる(新曲)
7.エレベーター・エレベータ
8.Glungy sister
 *作成にあたりme-miさんのご協力を頂きました。
  ありがとうございます。

 10分押しでメンバーがおもむろにステージへ上がる。
 観客へ一言も語りかけず、前触れ無しにいきなりライブが始まった。

 連日なツアーのおかげか、ぐっと音が締まってる。心地よいアンサンブル。
 パンキッシュなにおいを漂わせつつ、一曲めから全開だ。
 高らかにシャウトするボーカルが、まず印象に残る。
 奇麗に吼えるハイトーンは声枯れなくまっすぐ通る。ツアー中なのにすごいな。

 演奏はブレイクを多用した、シンプルなもの。
 ソロ回しは皆無といっていい。あっけないほどに曲がずんどこ進む。
 エンディングへもあっさり。弦をかき鳴らして押したりしない。

 2曲目はロマンティックな雰囲気でミドルテンポの曲だった記憶あり。
 3曲演奏したあとでMCがはいる。ゆったりした、なんともいえぬ間の喋りだったな〜。

 続く2曲も1stアルバム収録曲。
 アレンジがもうすこし多彩なほうが嬉しい。音の個性が確立されてる分、逆に超大作の一曲を聴いてる気分になった。

 クライマックスは、ドラムの連打で始まった「エレベーター・エレベータ」かな。ここでがらりと風景が変わった。

 ボーカルのシャウトは冴え渡る。首を振り上げ、激しく叫んでいた。
 コーラスは一切なし。声一本でバンドの音に立ち向かう。

 他のメンバーは頭をすさまじく振りつつ、テンション高く弾きまくり。
 ボーカルがシャウトした瞬間、するりとベースが滑り込む瞬間がかっこいい。
 ドラムは高く手を振り上げて暴れ、ギターはすっかり汗みどろ。
 ソロよりリフの応酬で盛り立てた。

 スパルタの音には、日本人の情念を搾り出す強さがある。
 だけど土の香りがほとんどしない。望郷感ではなく日本人の脳の奥にある琴線をわしづかむ感じ。
 バンドの意向はともあれ、ダンスを誘うサウンドじゃない。
 むしろ動きそうな身体をがしっと押さえつける迫力がある。
 赤っぽいライティングのせいかな。鈍くさびた銅からにじみ出るような重たさを連想しながら聴いていた。

 最後に「Glungy sister」を朗々と歌い上げた。
 エンディングでかがみこみ、フィードバック・ノイズを撒き散らす。

 自分らの個性をしっかり確率した強みを、みっしり感じたステージだ。
 観客の声援も、尻上りによくなってたな。

fOUL(20:30〜21:40)
(谷口健:vo,g、平松学:b、大地大介:ds)


 彼らのライブも見るの初めて。
 ドラムがシンバルを二つ、頭のはるか上に高々とセッティングしてたのが印象的だった。
 視覚的効果を狙ったんだろうが、そのぶんロールの粒がばらつくのは否めない。

 で、感想ですが。先に謝っときます。すんません。ちょっとぼくの趣味とは違いました。
 メロディがくっきりした音楽が好みなぼくには、単音をえんえん繰り出す歌の連打に馴染めなくって。
 もっともこれが彼らの個性だろう。途中で詩の朗読みたいな歌い方もしていたし。
 
 アンコール最初にやった曲は、ギターリフがキャッチーだったのに。
 ああいうタイプの曲を並べたセットなら、印象は変わってたはず。

 ちなみにところどころのMCで紹介してた曲名は聴き取れず。
 新曲も織り込んだ選曲みたい。

 アンサンブルも、正直荒い。スパルタのほうが締まってた。
 ただしアレンジには気を配っていた。3ピースながら、それぞれの曲で違う音像を作る。
 ボーカルとギターを同時に弾くのに無理があるのかな。
 ギターを誰かに任せボーカルへ専念したら、ステージングに幅が出るのでは・・・と思いつつ聴いてた。

 最初はバンドの個性がわからず、どう聴いていいかとまどう。
 もともとパンキッシュなパワーロックは慣れてないし。

 中盤に演奏した"I am I am"前後から、ライブに馴染んでいけた。
 マイクは三本(ドラムはヘッドセット)ながら、コーラス風の展開が少なかったのは残念。
 最後の曲で、ドラムとギターの掛け合いがあったくらい。

 あれは同じく中盤だったかな。
 ギターのチューニングだかでステージに空白が生まれたとき、ベースがフレーズを遊び弾き。
 ドラムがあわせて、セッション風に盛り上がるのが面白かった。
 あのままギターも加わって、ジャムを始めたらいいのに〜。

 ステージは全部で10数曲くらい。約1時間と短めなステージだった。
 
 このバンドも首降りが前提の演奏みたい。
 首の関節がもともと調子悪いぼくには、なんとも辛いノリだ(苦笑)

 すごい動員だから、根強いファンが多いと思ったのに。
 それほど観客が大騒ぎしてなかった。
 モッシュが始まるかと、客席後方へ避難しなくてよかったかも。

 本編は約50分で、アンコールは二曲。
 思いのほかあっさりしたライブだった。

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