LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/5/25  新宿 タワーレコード(インストア・ライブ)

出演:スパンク・ハッピー
 (菊地成孔:vo、岩澤瞳:vo)


 ずいぶん集まったなぁ。150人くらい観客がいたか。
 タワーレコード7階のイベントブースは、びっしり人で埋まる。
 比較的男の観客が多かったみたい。
 5/17にみるくで行われたライブを見逃して、スパンクスは去年の12月ぶり。

 開演前はモニターに「Angelic」のPV、さらにBGMも2ndシングル「Angelic」をリピートする。
 PVがシンプルな構造なので、何度も見続けるのはちとつらい。
 まだかなー。
 けっきょく5分ほど押して、インストア・イベントが始まった。

(セットリスト)
1.ジャンニ・ヴェルサーチ暗殺
(MC)
2.冬のノフラージュ
3.インターナショナル・クライン・ブルー
4.アンニュイ・エレクトリーク
5.Angelic
(MC)
6.拝啓ミス・インターナショナル

 まずは司会が現れる。通路奥に待機した岩澤が、ひょこっと一瞬顔を出し覗きこむのが見えた。
 
 司会の口上で二人が登場。
 大入りな観客で、岩澤は嬉しそうに笑っていた。
 
「エゴラッピンです」
「花*花です」
「ラブサイケデリコです」
「センチメンタルバスです」
 デュオ・ユニットの名をかたっておどけるMCからスタート。いまいち固い。
 
 ほんの数分喋ったあと、すぐに歌へ進んだ。
 菊地がステージ後ろにあるCD−Jのスイッチを押す。
 音が流れた瞬間、へらへらしていた菊地の表情がきりっと鋭くなった。

 今回のイベントは、しめて50分くらい。あっさりしたもの。
 曲順も「冬のノフラージュ」以外はCDと同じ。
 もっととっぴな選曲を期待して、拍子抜けした。

 菊地はメイクで顔色はわからないけど。いくぶん表情がふっくら。
 もっとも喋りはいまいち覇気がなく、なによりビートにあわせて身体がほとんど動かない。
 前はビートにあわせ、ひっきりなしに身体を揺すってたのに。
 体調か、バック・トラックに飽き気味なのか。どっちだろ。

 そのぶん岩澤の成長が著しい。
 視線は堂々とし、「冬のノフラージュ」以外では、菊地のキュー無しに歌う。
 もちろん歌詞を書いた譜面台もない。

 歌にあわせ腕を動かす余裕もあるうえ、なにより音程が正確無比。
 ほとんどリバーブのない歌声は、ぴたりとメロディに吸い付き、かけらも揺れない。
 まるで口パクかと誤解するほど。すごいな〜。

 (1)のエンディングで、菊地はCD−Jをいじる。スクラッチ風にぐしゃぐしゃと操作して、演奏を止めた。
 
 期待のMCは菊地のテンションがいまいち低く、破壊的な迫力に欠ける。
 スパンクスを街頭テレビの力道山に例えた菊地へ、「だれ?」と岩澤がボケていた。
 ブラック・ジョークはあいかわらず。
「二人とも私生活はボロボロだ〜」と笑い、岩澤が菊地をいたわると「薬が効くまで待って」って苦笑する。

 他に覚えてるMCではこんなのがあった。
菊地「スパンクスはどのくらい売れて欲しい?」
岩澤「BoysUMenくらい」

 即座に答えた割に意外な名前が出たな、と思ったら。
菊地「あなた、後ろを見てそのまま言っただけでしょ(笑)」
(後ろにでかいポップが飾ってあった)

 さて、歌はそこから4曲立て続け。
 「冬のノフラージュ」だったかな。CD−Rが音飛びして、すかさず菊地がCD−Jを操作。次のブロックに飛ばし、同時に岩澤へ歌いだしのキュー。
 ちょっと緊張感が漂った一幕があったけど。
 あとは淡々と歌が続いてゆく。破綻がどこにもないステージだった。

 「アンニュイ・エレクトリーク」で菊地がすっくと立ち、今まで前を留めてたスーツのボタンをはずして歌いだす。
 瞬間、岩澤が嬉しそうな表情をしたのは気のせいかなぁ。

 「Angelic」のカラオケは、菊地のコーラス入り。CDと同じだ。
 岩澤は菊地が歌う部分になると、ずっとウケてた。なんだったんだろう。

 菊地はささやき声を加工せずにマイクで拾う。
 両手で抱え込むようにマイクへもたれかかり、がしがしスタンドの高さを神経質に調整しながら歌っていた。

 MCをはさみ、最後の曲は「拝啓ミス・インターナショナル」。
 イントロで二人はふかぶかと観客に頭を下げる。
 拍手の中、歌い始める岩澤。・・・だけど。

 いっきなり歌詞がめろめろになり、菊地が苦笑しながらCD−Jを止めた。
 このハプニングで初めて「おー、岩澤は生で歌ってるんだ」って実感できたかもしれない。
 
 菊地がCD−Jの頭だしをするあいだ、岩澤がたどたどしくも微笑ましいMCで場をつなぐ。

 イントロが流れだすと、再び二人がふかぶかとお辞儀。
 段取りをとことんパロディにする、こういう演出がいかにもスパンクスっぽくて好き。

 アンコールの声もあがったが、さすがに応えず本編が終了。
 これでしばらくは彼らのライブがない。
 「ストリートライブをやりたい」と菊地が漏らしてたが、実現しないかな。
  
 イベントのプレゼントは、サイン入りポストカードと二人との握手会。
 うーむ、初体験。菊地の手は、えらく暖かかった。

 サイン入りカードを渡すだけのはずが、動員が多すぎたか準備したカードが途中で切れ、最後の何人かへはその場でサインを始める。
 最後に「アルバムは年内に出します」と菊地が宣言、イベントが終った。

 あっけないっちゃあっけない。
 通常のライブと同じクオリティの演奏が聴けたし。「Angelic」の生歌も聴けたし。よかったな。
 さあて、アルバムの発売を楽しみにしましょう。

※ちなみに2ちゃんねるに、5/17のセットリストが載っていた。
  せっかくなので転載します。
1.ワールド・ハロー・ソング
2.ジャンニ・ベルサーチ暗殺
3.コポロラリア
4.冬のノフラージュ
5.インターナショナル・クライン・ブルー
6.アンニュイ・エレクトリーク
7.ANGELIC
8.DRIP DRY EYES
9.ホーチミン市のミラーボール
10.FRENCH KISS
11.拝啓ミス・インターナショナル
〜アンコール〜
12.新生スパンクスのテーマ

(4)〜(7)の進行が、今夜のインストアと同じなんだ。

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