LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/5/12   西荻窪 BINSPARK

出演:MSN、SHERPA、MUMU
 
 今日もライブへ行ってきた。ここんとこ皆勤のMUMUが目当てだ。
 めずらしくMUMUが今夜は先頭バッター。客席はびっちり埋まる。
 そろそろ新ピあたりでライブやって欲しいな。

MUMU(19:20〜20:00)
(植村昌弘:ds、中根信博:tb、坂本一孝:key)


 まずはセットリストから。MUMUのHPから転載しました。

<セットリスト>
1.99/5/23 #3
2.MC #1
3.MC #2(新曲)
4.MC #3(新曲)
5.MC #4(新曲)
6.役人#9
7.98/3/10 #2
8.役人#4
9.亜#1

 今回は比較的じっくりMUMUの演奏を楽しめた。
 どの曲も長めにアレンジされてたような気がした。気のせいかなぁ。
 トロンボーンが吹きまくり、ソロっぽい瞬間もいくつかあり。書き譜のイメージが強いMUMUには珍しい展開だ。
 特に「亜#1」は途中で植村昌弘と坂本一孝が刻みに入り、ひたすら中根信博がトロンボーンを吹く瞬間が楽しかったな。

 ライブは個人的に大好きな曲「99/5/23 #3」からスタート。
 飛翔するような広がりあるメロディと、坂本のグリサンド連発がかっこいい曲だ。
 トロンボーンの音色がちょっとつまり気味な気もするが、音はでかすぎず小さすぎず。良好なPAで、いきなりじっくり演奏してくれた。

 つづく「MC」は、前回披露した「#1」の続きとして3曲の新曲を投入。
 もっともどれもこれも1分くらいの短い曲ばかり。これが植村が日記で言ってた「ハードコア」なMUMUかな。
 がしがしにリフが突き進み、音を鋭く叩き込む。

 一曲一曲区切りをつけてたが、今後はこれをメドレー形式で演奏して欲しいぞ。
 もっともかなりの難曲ぞろいだし、無理かなぁ。

 凄腕ぞろいのMUMUなのに、演奏前で「心の準備はいいですか〜」と中根がメンバーをからかい、終演後は「もう一度は演奏したくない」とおどける。
 植村曰く「この4曲を仕上げるのに、リハ4時間、3万円かかった」とか。
 こんだけ複雑な曲を、たったそれだけの時間で仕上げられるのも脅威だけど。

 そこから先は前回披露の新曲「役人#9」を初めとして、おなじみな曲が続く。
 タイトに変拍子がつるべ打ちされ、ぼおっと音に酔いながら聴いていた。

 今夜はシンバルの音が心地よい。植村がそっと叩くたびに、シャアァンと軽やかに鳴っていた。

 最後は冒頭にも触れた、中根のトロンボーンを前面に出した「亜#1」。
 とても楽しいライブだった。
 
 次回は7月。新曲も一曲増えるそう。
 今夜はMUMUをよく知ってる人が多いのか、中根がMCで曲紹介しても特に反応なかった。いっつも植村特有のドライな曲名に、失笑が漏れるんだけど。
 
 あとのバンドが詰っており、アンコールはなし。
 P.O.N.のライブではアンコールの恒例という、伝説の「倍速モード」演奏も聴いてみたい。トロンボーンがしこたましんどいか。

SHERPA(20:20〜21:05)
(船橋陽:ss、堀越勲:Key、河崎純:b、立岩潤三:ds)


 ドラムがポチャカイテ・マルコのメンバー。即興がテーマなバンドみたい。
 約45分一気に演奏していたが、どうやら数曲をメドレーにしていた模様。
 
 プログレとフリージャズの中間みたいな演奏だった。
 本人らが意識してるか不明だが、フリージャズっぽいセンスがぼくの好み。
 だけど方法論にまで具体化しておらず、もどかしいところもある演奏だった。

 まずは探りあうように、小さな音が断片的に提示される。
 しばしフリーに進んだ後、サックスの船橋がささっとメンバーを見渡す。
 そして高らかにソプラノ・サックスで、テーマを吹き鳴らした。

 以降はグルーヴをほんのり感じさせつつ、インプロが続いていく。
 ぼくが惜しいなと思ったのはこの点。
 インプロの主導権がだれなのか良く見えず、なおかつメンバーで音のリーダーシップもよくわからない。
 そのため残念ながら、即興が散漫に聴こえてしまった。

 だけどテーマを匂わせつつ音が収斂し盛り上がっていくとこがいい。
 ぜひ冒頭の探りあいを短くして、このグルーヴを鷲掴みにして欲しい。
 演奏は45分だったが、そのうち20分くらいは楽しい音を聴かせてくれたもの。

 ソロらしきものはほとんどなく、サックスが時々提示するテーマの周りを、他の楽器が漂ってる感じ。丁丁発止のやり取りはさほど感じられなかった。
 ビート感も希薄で、パルス的なリズムだった。
 
 途中でドラムが演奏を止め、残りの3人だけでしばしプレイ。
 そして時間が2/3ほどたったころ、おもむろにドラムが刻み始めた。
 サックスがひたすらテーマを吹いて、音が昇華し爽快なひとときが生まれる。
 旋律の途中、えらく中途半端なとこでサックスがブレスを入れてたけど、あれはわざと?

 ベースは冒頭部分で弦を引っ叩いたり、ボディを叩いたりのパーカッシブな奏法がめだった。
 ドラムが音を止めてたぶん、リズムキープに一役買っていたと思う。
 
 キーボードは手数多くクラシカルでフリーなフレーズを多用する。キーボードとサックスのバトルなんて、かっこいいと思うんだけどな。

 一度演奏はピークを迎え、ブレイク。ベースがきっかけで再度雪崩れ込んでいった。
 ここから先は文句なく面白かった。

 将来が楽しみな音楽だ。クラブ仕様なジャズの雰囲気も匂わせる。
 ぜひインプロの引出しを多くして、いかした音楽を聴かせて欲しい。

MSN (Machine & the Synergetic Nuts)(21:20〜21:55)
(Mahi-Mahi:ss、SD:ds、S`Hiroyuki:b、Noriya:Key )


 4つのバンドのメンバーが集まったバンド。もっとも一過性のユニットじゃなさそう。次のライブも決まった。
 まずマヒマヒはイトケンのZuppa di pesceのメンバーで、SDはthermoのドラム。
 あと二人は今夜初めて聴くが、S`Hiroyukiは"Open chord"、Noriyaは"Fly as pie"というバンドのメンバーらしい。

 もろにプログレなサウンドだった。このバンドも変拍子がバシバシ飛ぶ。
 ソロは控えめで、次々にキメの多いフレーズを繰り出された。
 吹きつづけなマヒマヒは、かなりしんどそう。

 約40分、ノンストップで突き進む中、驚くべきことにマヒマヒ以外は全て暗譜。すごく複雑な構成なのにな。すごいや。
 かれらも数曲メドレーにしてたみたい。

 ステージングを見てて楽しかったのはS`Hiroyuki。灰色っぽい服装に身を包み、激しく身体を動かしながらベースを弾き倒す。
 ドラムへ近づきビートをあわせ、ブレイクにあわせ跳躍する。
 かれが一番楽しそうに演奏してたな。

 ソロ回しこそないものの、次々に音像が変わっていくので飽きない。
 4人ともテクニックがしっかりしており、ゆったりと複雑な演奏を楽しめた。

 3バンド聴いてみたけど。バンドの順番って、まるきり逆のほうが良かったんじゃないかなぁ。MUMU好きなぼくの贔屓目ですが。
 きちんと構成されたバンドで始め、フリーなバンドでつなぐ。
 そしてソロっぽいとこもキメも多いバンドでシメ。きれいなつながりだと思うけど。
 ま、いいや。なんにせよ、楽しいひとときでした。

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