LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
02/5/6 渋谷 LA-MAMA
出演:John Zorn`s cobra東京作戦〜川口義之部隊〜
(青木慶則(HARCO):サンプラー、ds、植村昌弘:ds、プロンプター、加藤崇之:g、
川口義之:sax、ボーラン他、斎藤哲也:key、斉藤良一:g、高岡大祐:tuba、他
田中邦和:sax、棚谷祐一:key、不破大輔:b、ライオン・メリィ;key、
巻上公一:vo,プロンプター)
ひさびさのコブラは、栗コーダーカルテットの川口義之部隊。
メンバーからいって渋さ知らズファンも来てるはずだが、予想以上の大盛況。立ち見がずらっとならぶ大入りだった。
なお、チラシに告知あったZAK(ミキサー)は出演中止になった模様。
思うにここ数年、コブラの間隔がかなりあいてるから、開催のたびに「コブラを見たい人」と「出演者それぞれのファン」が集まって大混みになるのでは。
以前みたいに月イチとは言わないまでも、もうちょい頻繁にやってくれたら、多少客数がバラケてのんびり楽しめるのに。
さて、今夜の見どころのひとつが、植村昌弘のプロンプター。
コブラには常連の植村だが、巻上公一のHPにあるコブラの記録では、過去二回、プロンプターをやったことあるみたい。
(95年6月24日【植村昌弘部隊】と98年8月2日【大熊亘部隊】)
ぼくがコブラを聴き始めたのは99年からだから、両方とも未体験。
普段の音楽性やミチのコンセプトを踏まえて、植村のプロンプターは面白いものになると期待してた。
開演は19時10分頃。巻上の口上のあと、ゲームが始まった。
第一部のプロンプターは全て植村がつとめる。
結論は、ちょっと空回りぎみなゲームだった。
一曲が約10分くらいで、4ゲームほど。比較的長めに演奏を聴かせる。
植村自身の進行センスや全体の構成を意識したプロンプターぶりで、サインもかなり選択していた。
ところがミュージシャンの数名がルールに慣れていないのと、植村自身が多少戸惑ったか進行が上滑り気味。
視野的に厳しいのか、ライオンメリィのサインはほとんど見えてなかったようだ。
演奏そのものもメロディはほとんど出ず、ノイジーなフレーズが飛び交う単調なものだった。
とっちらかった演奏ぶりから、視覚的に面白いので退屈しなかったけど。
「音楽」としてはあと一歩踏み込んで欲しかった。
さりげなく植村をサポートしていたのが巻上。
最初のゲームでは、積極的にサインを送り音像を整理してた。
ボーカルでもいろいろ参加するも、ミックスのせいかいまいち声が聴こえづらい。惜しいな。
もっとも3ゲームめくらいになると、かなりミュージシャンのサインをスパスパ通し始める。
乱立したゲリラに押され、プロンプターの意思が見えづらい部分もあったが。
サウンド・メモリーするときに植村は何度かメモを取っていたけど・・・何を記入してたんだろう。
以前「だれでも参加できるコブラ」を聴いた時も、参加したプロンプターがメモってたけど。フレーズの記入かな。
あれでリズムが一瞬、途切れがちなのが残念だった。
と、冒頭からきつめの感想ばかりだけど。
コブラそのものは文句なく面白い。
特に斎藤良一や高岡大祐が積極的にサインを送っていた。
印象に残った聴きどころは・・・。
2ゲームめでの斎藤+加藤崇之のツイン・ギターソロ。けっこうノイジーで迫力あり。
加藤はギターを弾くのと、エフェクターをいじってノイズを出すのと同じ比率で演奏してた。
3ゲームめだったかな。不破大輔と巻上のシャウトっぽい歌から始まったゲームは、加藤の絶叫へ引き継がれる。
叫ぶさまを真似るように加藤自身からサインが飛び、全員でシャウト。大爆笑の絵柄だった。
確か同じゲームで、高岡のチューバソロ。周りが面白がって、がんがんボリュームを上げさせ、真っ赤な顔して吹きまくってたっけ。
何ゲームかやったところで、休憩前にもう1ゲーム。
高岡とライオンメリィのほのぼのデュオが始まる。誰のサインがきっかけだっけな・・・。
全員が音楽に合わせて両手を上げ、左右に揺れ始める。実にのどかで大笑いな光景が繰り広げられたとこで、第一部が終った。
休憩を挟んだ第二部は、プロンプターを巻上がつとめる。
植村には申し訳ないが、やはりさすがの貫禄。一気に音が締まった。
ちなみに休憩時間中、巻上がテーブルでカードの整理や並べ替えをする。
やりやすいカードの並びや位置があるみたい。
まるで楽器のチューニングを見てるようで興味深い。
さまざまにカットアップでテーマを入れ替える、ジャズっぽい即興が多かった。
コブラ初参加の不破は、サインはときおり送るものの主導権はさほど取らない。
高岡と組んだ、低音環境の登場を楽しみにしてたが夢と終った。
そういや不破が指示した田中邦和や川口、高岡のホーン隊を抜き出した即興は、いかにもな音作りだった。
とはいえ後半も、さほどメロディが前面には出ない。コブラでありがちな、なにかの曲をパロディっぽく織り込むシーンはなし。
加藤がクリスマス・ソングを一節弾いたくらいかな?
後半最初のゲームで、張り切ったのは植村。
ドラムスもそこそこに、積極的にサインを送りまくる。
すっくと立ち、バスドラを四つ打ちしながら、他のミュージシャンにユニゾンさせたり、カウンターで即興をぶつけたり。
これが見事にキマり、タイトな演奏になっていた。
中盤で炸裂したのが青木慶則。
斎藤か加藤の即興から、全員演奏でロックっぽいフレーズが響く。
青木はすっとゲリラになり、マイクを引っつかんで絶叫をはじめた。
フレーズが変わっても、そのままシャウト。
しばしカットアップで盛り上がったが、あまりに続けたせいか巻上に斬首されていた。
巻上のプロンプターぶりも、いつもながらにパワフル。
演奏に合わせて身体を揺らし、踊るようにカードを振り下ろす。
カットアップを猛スピードで繰り返し、ジャンプから着地ざまに演奏を切り落とす。かっこいいなー。
後半も5〜6ゲームかな。
ミュージシャンがステージを降りる時、青木がサンプラーで「Thank
you very much for your collaboration」という男の喋りをループさせる。
ほかのミュージシャンが去ったところで、サンプラーを止めて最後にステージを降りた。
アンコールは再び植村がプロンプター。
第一部とはうって変わったスマートな指揮ぶりだった。
まずは斎藤と加藤で初回フレーズの取り合い。ジャンケンで勝った加藤がギターを鳴らした。
そこから巻上のソロ。ホーメィを聴かせる。
そういや巻上が口琴でソロの時、高岡がゲリラとなり口琴でデュオ。あまりにシンプルな音像に、すかさず川口が斬首したのは、アンコールだったろうか。
アンコールを終え、拍手の中ミュージシャンが去っていく。田中のリクエストで、青木が再び「Thank
you very much for your collaboration」の喋りをループ。
こんどは流しっぱなしで自らも去る。
客伝がつき、PAでボリュームが下がる。演劇的な終り方でよかったなぁ。
ミュージシャンによってはコブラのルールが入っておらず、かなり戸惑いながら演奏するシーンも多数あった。
主導権は主にゲリラが取り、指揮系統が混乱したのも否めない。
そんななか積極的にゲームを引っ張った斎藤や、初参加でうまく即興を組み立てた不破はさすがだ。
次のコブラは9〜10月頃だとか。またあいだが空くな〜。
そろそろ、キャパの多いとこでの開演も検討して欲しい。
すごい動員で、落ち着いて聴けないのは辛いもん。