LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/4/7  吉祥寺 MANDALA-2

出演:ラブジョイ
 (bikke:vo,g、近藤達郎:key,cho、服部夏樹:g、
  松永孝義:b、植村昌弘:ds)


 ラブジョイが東京でライブするのは、昨年9月ぶり。ここマンダラ2でさかなと共演して以来になる。
 ワンマン・ライブでどの程度動員するか読めなかったが、ふたを開けたら大盛況。立ち見もびっしり。
 ちなみに前回共演した、さかなのポコペンらしき人も観客で見かけた。

 ライブは定刻をちょっと回ったころに始まる。袖からおもむろにメンバーの登場だ。
 いきなり立て続けに二曲、演奏された。

 前半セットはMCほとんどなし。
 3曲目の前で、一言だけ曲紹介。「ワンダフル」って告げ、すぐ演奏を始めるとこ、よかったな。

 今回のPAはとても聴きやすい。前回ものたりなかったキーボードもかなり強調され、アレンジの骨格を支えてた。

 逆に今回はギターがほとんど目立たない。
 ソロは取るものの、リフはあまり聴こえずじまい。ぼくが上手側で聴いてたせいかな。
 何曲かではギターを持ち替え、膝置きでスライド・ギターも弾き分けていた。
 
 聴きものだったのが松永孝義のエレキベース。
 どっしりグルーヴを支えつつ、着実に味わい深いオブリを入れる。
 
 ドラムの植村は、日記によれば叩き方をあれこれ変えてたみたいだけど。
 僕の耳程度では「シンプルなドラミングだなぁ」くらいしかわからなかった(苦笑)
 前半はアンサンブルを重視したドラミングだが、派手なフィルを叩き込むテクニックはいつもどおり。シンバルを多用していた。

 逆に後半ではシンバルのロールが妙に荒いし、リズムがばらついていた気がする。たぶん、いろいろ実験してたんだろな。
 複雑なリズムパターンを組み込む冷静なビートがかっこいいぞ。

 だが、肝心なのはやっぱりボーカルのビッケ。
 ジーンズにTシャツのあっさりしたスタイルでギターをぶら下げ、すっくと背を伸ばして立つ。
 喉をふるわせるまっすぐなボーカルが、すばらしくキュートだ。

 ラブジョイの音楽はいかにもおっとりしてオーソドックスな日本のポップス。
 ふちがみとふなとにも共通項を感じた。京都のポップスって、こういう素直なメロディが多いのかな。

 前半セット(ビッケ曰く「A面」)はほかに「オレンジ」「妙」など8曲くらいを演奏。
 ちなみに「オレンジ」はビッケにとって「ラブジョイの3年前のヒット曲」だそうな。これ、まだCD化されてないはず。じっくり聴いてみたいなぁ。

 前半セットは「バリのうた」でしめた。約50分のステージ。
 ほんわかした雰囲気につつまれ、あっというまに終ってしまった。

 短めの休憩をはさんだ後半ステージも、ステージの感触はかわらない。
 とっぴな小細工はなく、ラブジョイの音楽性一本で押し通した。
 
 後半でもMCは少なめ。雑談でチューニングの合間つなぎ風の、あっさりした喋りだった。
 にしても。のびのび歌ってるビッケがMCになると、いきなりほんわか大阪弁になるギャップが妙に面白かった。

 近藤達郎のキーボードは、後半セットでさらに冴え渡る。
 特にピアノの演奏が最高だった。ダイナミックに鍵盤を連打するフレーズの爽快なこと。
 シンセで味をつけるセンスもいいけど、粒の大きい生ピアノの音に惹き付けられた。

 ビッケのギターはときおりオカズを入れる程度だったみたい。
 ただ、どの曲か忘れたけど。演奏が盛り上がってふっとブレイク。ビッケのギターだけが残ってストロークを決めるアレンジの瞬間がいかしてたな〜。

 第二セットでは「桜のころ」「enough for me」などを演奏。
 以前ビッケが組んでいたという、水銀ヒステリアの曲をやったのも後半だっけかな?

 全般的に、曲のエンディングはあっさりめ。
 ソロ回しも特になく、あっけないほどコーダを迎えてしまう。

 ところがステージ終盤の「ゼロ」。この曲では、さすがの盛り上がり。
 全員がぐいぐいテンションを上げ、ビッケの喉も張りつめ高らかに歌い上げる。今夜一番の名演だった。
 中盤のソロ部分でも、オフマイクでビッケはずっとくちづさみ続けてた。

 ステージのライティングは、明るめの光が基調。
 でも「ゼロ」のエンディングかな。
 下手の上方から逆行のピンスポットで照らし出し、周りは暗闇に落ちていく中、ピアノのリフだけが静かに響く演劇的なシーンもあった。

 「世界台所大事」で、本編は終了。前回のライブで披露された新曲だ。
 いきなり演奏を始めようとしたビッケを、服部夏樹が「あっさりすぎない?」と止め、「質問コーナー」が唐突に始まる。

 もっとも、観客から飛んだ「次のアルバムリリースは?」の質問に戸惑い、あっさりコーナーは終了。 
 ちなみに次のアルバム発表は未定。あと8年以内には発表予定らしい。・・・寡作すぎるよぅ。

 ともあれ最後の曲「世界台所大事」。音が弾む好演だった。
 ギターを下ろし、ハンドマイクでビッケはのびのび歌う。
 ステージアクションらしいものは特にないけれど。
 さりげなく歌にあわせ動かす腕が、音楽のイメージにはまっている。
 この曲でもビッケはサビの歌詞を、演奏の間もずっとオフマイクでくちづさんでたっけ。

 後半もだいたい50分くらいか。すぐさまアンコールが飛ぶ。
 待たせずに出てきて「天国を仰ぐ島」を演奏した。
 こんどもビッケはギターを持たず、ハンドマイクで歌う。

 この曲はバリでの思い出を歌ったらしい。
 MCで説明する途中、うっかり「当たり一面、365度の景色が」とビッケが言ってしまい、すかさず服部に「直角って何度か知ってる?」っと突っ込まれてた(笑)

 アンコールは一曲で終了、客電もついたけど拍手がやまない。
 嬉しいことにもう一曲、アンコールにこたえてくれた。
 近藤達郎が作った曲。すみません、曲名聴きそびれました。

 約2時間たっぷりな演奏にもかかわらず、もっともっと聴きたい気持ちがいっぱい。
 ほのぼのと歌を楽しめた、すてきなライブだった。

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