LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
02/3/24 吉祥寺 MANDA-LA 2
出演:Lonesome Strings、さかな
アヴァンギャルドよりはポップスを聴きたい気分。
そんなわけで、ひさびさにさかなのライブへ行くことにする。
店内はあいかわらずの超満員。立ち見がびっしりならぶ。
対バンのLonesome Stringsの熱狂的なファンも多いようだ。なんでも、北海道から来た人までいるとか。
毎回思うんだけど、混むのが予想される時はオールスタンディングにしてくれればいいのに。
さかな(19:50〜20:30)
(pocopen:vo,g、西脇一弘:g、pop鈴木:ds)
ちょっと時間を押して、メンバーが登場した。おもむろにギターアンプをいじり、準備をはじめる。
Lonesome Stringsのことをよく知らず、てっきりさかながトリだと思ってた。
冒頭は静かな雰囲気。ゆったりとエレキギターが弾かれ、リズムが重なる。
一声pocopenが歌い始めると、そこはすぐさま、さかなの世界。
<セットリスト>
1. Lepia
2. Blind Moon
3. Homeless フィービー
4. Summer Time<新曲>
5. Green Grass<新曲>
6. Smile
7. Subway
8. Crystal
*惑星&衛星さんのHPを参照しました。
転載許可ありがとうございます。
ほとんどの曲が、ゆったりとしたミドルテンポの曲だった。
いつもどおりpocopenがリズムパターンを刻み、西脇がフレーズを重ねていく。
西脇のギターはブライトさが基調の、ふっくらした音。
ギターソロをえんえん弾きこそしなかったものの、ボーカルをしっかり支える冴えたフレーズが多かった。
どの曲でも、生き生きした旋律でオブリガードを入れる。もう少し彼のギターもじっくり聴きたかったな。あっというまにソロが終って物足りない。
pocopenは、なんか緊張してたのかな。MCに不思議なパワーを感じた。
印象に残ってるのは、「自分の歌詞はわかりやすいんだ」と自慢してたとこ。(ちなみに歌詞がわかりにくい歌のときは、西脇に解説を頼んでいるらしい)
なお今後は「MANDA-LA2のカヒミ・カリィ」を目指すとか(笑)
さて、今夜のさかなはアンサンブルもすばらしい。
派手さはないものの、ユニゾンでブレイクをサクサク決めていく。
それとも最近のさかなは、こういうアレンジばかりかな。演奏全体が締まってた。
5曲目くらいのエンディングでpocopenが派手に間違い、そっと「ごめーん」とメンバーに謝っていたのはご愛嬌。
どう間違っていたのか、よくわからないけど。謝るそぶりが妙にキュートだったなあ。
先日父親になったというpop鈴木のドラムスも好演だ。
肘を高めに位置させ、かがみこむように叩く独特のスタイルで、柔らかめに演奏していた。
数曲ではブラシも使用。スネアに布を置いてミュートさせ、抑えた音色も使用する。
全般的にボリュームは小さく、彩りをつけるドラミングだった。
pocopenが「やっとノッてきた」と言ったのが6曲目のあと。
一番の名演がラストに演奏した曲かな。
ボーカルのドライブ感がすさまじく気持ちよかった。
ラストの曲では、西脇が間違えていたようだ。
エンディングを迎えた後でも、おずおずとギターで数音を弾く。
視線がステージ上で交錯、pocopenが「・・・終ったんだよ」と西脇につぶやいて演奏が終わった。
実質40分くらいか。あっというまだ。
今後の予定も月イチくらいなスケジュール。しかもぜんぶ対バンあり。
バディくらいのキャパで、じっくりさかなのワンマン・ライブを聴きたいなぁ。
Lonesome Strings(20:45〜21:45)
(桜井芳樹:g、田村玄:pedal steel,Weisenborn、原さとし:banjo、松永孝義:b)
彼らの演奏を聴くのは初めて。楽器構成からご想像のとおり、シンプルなアメリカ白人音楽を披露した。
音楽ジャンルで言えば、C&Wとかブルーグラスとかの流れ。
編成だけ頂いて、独特の演奏をしてるわけでもなさそう。もっともぼくはこのジャンルに詳しくなく、自信ないけど。
アメリカン・ミュージックへの愛情が伝わる好演だった。
ボーカルはほとんどの曲でなし。基本はインストで、ソロよりもメロディを交換するアレンジだ。
ソロは演奏の流れで披露するのみで、ジャズのように延々と弾きまくりはしなかった。
桜井はアコギやエレキを曲ごとに交換して弾く。エフェクターを操作し、電子の風みたいな音を流し始めたときは、わくわくした。ノイズ風に演奏が展開するのかなと思って。
アレンジの彩りだけで終っちゃったけど。うーん、残念。
田村と原は、基本的に座ったままプレイ。ぼくの位置からだと二人の演奏がほとんど見えないよぅ。
ペダル・スティールもワイゼンボーン(膝において、スライドで弾くアコギみたいな楽器)も、生演奏をみるのは初めてだったしじっくり見たかった。
もっともどっちも立って演奏するのは不可能な楽器だな。
ペダル・スティールは単純にマイクで音を拾わずに、エフェクト加工してたかも。
リバーブを効かせた音色が心地よかった。
バンジョーのちゃんとした生演奏も、今夜が初めてかもしれない。
ボディを叩きながらリズムを刻む奏法が新鮮だった。
バンジョーってああいう風に弾くものなんだ。ウエスタンとかで高音部をちゃらりら鳴らしまくる印象しかなかったもので・・・。
これまたセットリストはなしです。すみません。MCでちゃんと紹介してたから、メモとってたら可能なはずでした。すっかりメモしそびれちゃった。
「ラスト・ワルツのテーマ」から始まって、10曲くらい演奏したろうか。
ぜんぶカバーなのかな。数曲ではオリジナルを弾いてたかも。
冒頭で触れたとおり、このジャンルはほとんど聴いたことがなかった。
身もふたもないが、そもそもあまり好きじゃないジャンルだ(笑)
ビートが単調だし、脳天気なスタイルに深みを感じられなかったから。
なのでライブが始まった時、退屈するかと思ったら大間違い。とても説得力のある演奏だった。
松永のウッドベースが、まず音をしっかり支える。
派手さはないものの、響くグルーヴが気持ちよかった。
さらに他の3人が生み出すアンサンブルも楽しい。
誰かひとりがメロディを弾く裏で、サウンドに彩りを与えていく。
うまいミュージシャンが愛情を持って演奏し、聴き手もきちんと音楽に向き合えば、苦手なジャンルでも演奏を楽しめるんだな。しみじみ感じた。
そうそう。MCもこなれてて楽しめた。ほとんど桜井と田村が掛け合いでしゃべってたっけ。
Lonesome Stringsのステージもあっというま。約1時間くらいかな。
ラストは「夢で逢いましょう」。
ここまでインストばかりだったが、松永以外の3人によるボーカルで賑やかにまとめた。
拍手のなかメンバーがそでへ下がる。松永がマイクを避けて歩きそびれて、ハケるのに苦労していた。
店員がステージ中央へ椅子をいくつか準備する。さあ、アンコールの始まりだ。
アンコール(21:45〜22:00)
結局、松永がハケるまえにメンバーが再登場した。
準備された椅子は・・・なんと、さかな用。まさか共演するとは。
えらくpocopenは緊張してる。ギターは持たず、座ったまま歌い始めた。
popはボンゴを演奏。西脇はひたすらギターで刻んでいた。
したがって、演奏の中心はLonesome Stringsのほう。
カントリー仕立てのさかなってのも面白かったな。
さかなとの共演は一曲だけ。「真昼間の見知らぬトーン」を演奏した。
pocopenがハケぎわに「もう一曲やってくださいよ〜」とLonesome
Stringsの演奏を促し、最後に4人のみでもう一曲披露して、今夜のステージが終った。
どちらのバンドも音量はちょっと大きめってくらい。身体にそっと響く低音が心地よい。
演奏も文句なく楽しく、いいライブだったな。