LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/2/17  下北沢 レディー・ジェーン

出演:ふちがみとふなと
(ふちがみ:vo,etc.、ふなと:b)


 前日にマンダラ2でのライブを見て、ファンになっちゃった。
 レディー・ジェーンでワンマンをやると知り、いそいそ聴きに行った。
 固定ファンがついてるようで、レディー・ジェーンの狭い店内はほぼ満杯の盛況。
 20人強は入ったのかな。

 演奏前にふちがみが「もともと客が少ない居酒屋で演奏をはじめたので・・・コップの音とか、がんがん立ててくださいね」って謙遜してたのが面白い。

<セットリスト>
1.日曜日ひとりででかけた
2.あおぞら
3.ベンのテーマ
4.Go! Go! マングース
5.くよくよするなよ
6.アフリカのお手伝いさんのうた
7.妻の言い分
8.オー・シャンゼリゼ
9.ワイルドサイドを歩け
10.スキップ
11.バブの店さき
(休憩)
12.ありの話
13.ケ・セラ・セラ
14.さらばジャマイカ
15.おみせやさん
16.(?)
17.坂をのぼる
18.イワンの水
19.泣く女
20.007/ジェームズ・ボンドのテーマ
21.酒が飲みたい
22.日本娘さん
23.Fairly tale of New York
24.Smoke on the water
(アンコール)
25.しゃれ男
26.百万円

 MCでの曲紹介を中心にメモしたので、曲名間違ってたらごめんなさい。
 しかし、こうして書いてみるとずいぶん盛りだくさんなライブだったんだな。
 演奏時間は、休憩をはさんで正味二時間弱くらい。

 前日のレコ発的なライブとは対照的に、オリジナル中心の選曲だ。
 カバーはジャクソン5の(3)にディランの(5)はそれぞれフィンガー5や友部正人のバージョンをカバーしたもの。
 (8)や(20)、(23)、(24)は最新アルバム「アワ・フェイバリット・ソングス」に収録されている。
 (9)のルー・リードや(10)、(14)は1stアルバムに収録されたアレンジだ。
 (21)と(22)はバートン・クレインのカバー。
 (25)の「しゃれ男」は『俺は村じゅ〜で一番♪モボだっと言われーた男っ♪』のカバーです。これ、誰の曲でしたっけ?エノケンだったかな。

 簡素なベースのアレンジにのって、ふちがみは身体をこごめながらうたいだした。
 歌唱スタイルはまったく違うが、なんとなく戸川純を連想してしまう。

 数曲くらい歌ったところでペースを掴んだのか、みるみる歌がなめらかになった。
 ふわっとした雰囲気が店内に広がる。

 ステージ構成は、実に親切。
 ほぼ全曲、演奏前にMCを入れて曲紹介をする。だから初めて聴く曲も親しみ込めてライブを楽しめた。

 一曲目はけっこうマイクにエコーがかかっていたけど、響きすぎるのを嫌ったか生音に近い音へ変更してもらう。
 もともとアンプから出る音はかなり小さい。
 だけど小声でうたったり声を張り上げたりと、ボーカルのダイナミックレンジが広く、さまざまな表情で歌を歌っていた。

 2曲目の前くらいだったかな?
 「どんな風にマイクから聴こえてるか確かめたい」と言って、店内中央へふちがみが踏みこんで演奏をはじめた。
 本人はほんとに目の前すぐで歌ってるんだもん。新鮮だったな〜。

 2曲目のエンディングで、ふなとのベースソロ。
 ふちがみは「あとでいっぱいベース聴けますからね〜」と言ってたが、ソロらしきものは結局このときくらい。
 ふなとはほぼバッキングに徹していた。
 
 前日のライブみたいなエフェクターによる音飾処理は控えめ。
 ほぼ生音でウッドベースを弾く。スラッピングで指板の鳴る音が生生しく響いてかっこよかった。

 ライブは基本的にサクサク進行する。
 ふちがみは時折ピアニカを吹きつつ歌っていた。
 さらに、小物を使ったコミカルなアレンジも全開だ。

 (4)ではオモチャの怪獣をパーカッション代わりに使って、ふなとと掛け合いをさせる。

 「結婚式に呼ばれて歌うとき、しょっちゅうリクエストされる」という(7)では、夫婦喧嘩の騒音を模したのか、こまごました金物パーカッションを床にぶちまけ、片端からひっぱたいて賑やかな音で演奏を盛り上げた。
 
 ちなみにこの曲では演奏に熱が入り、指を切っちゃった。
 スタッフに貰ったばんそうこうを貼る時、観客がじっと見詰めてたから苦笑してたっけ。 
 
 最初のセットはアフリカの雰囲気漂う「バブの店さき」で終了。
 エンディングではふちがみが歌いながらカズーや各種ベルを次々持ち替え、素朴な音世界を作り上げていた。

 しばしの休憩で始まった第二部も楽しい楽しい。
 ゆったりしたテンポで、ちょっと暗めのメロディを聴かせる。
 ぼくが前日のライブでむちゃくちゃ気に入った「おみせやさん」も、ちゃんと演奏してくれた。嬉しいな。

 第二部の開始前に、ふちがみがマイクスタンドをちょっと前に出す。
 さらに腕をブンブン振り回して充分なスペースが確保されてるか確認した。
 そのスペースが活用された演奏は、ステージの最後までおあずけだったけど。

 ふなとがコーラスを入れたのは「さらばジャマイカ」と「おみせやさん」。
 か細いながら高めの音程でハモるふなとのハーモニーが、アルトのふちがみと見事に溶け合っていた。

 ふちがみが参加するバンド、ビジリバのレパートリーである「泣く女」のあとプレイした、「007/ジェームズ・ボンドのテーマ」がすごい。
 この曲は観客のリクエストだとか。
 ベースラインのみをふなとが担当し、あとはすべてふちがみがシャウトでまかなう。強引ながら、爽快なアレンジだ。

 本日リクエストされたのは3曲。そのうち「マイ・フェイバリット・シングス」は歌詞を忘れたそうで、今日はおあずけ。

 続いてバートン・クレインのカバーで観客が大笑いしリラックスさせたあと、「Fairly tale of New York」でしみじみする。
 MCによると、これはポーグスのカバーだそう。
 オリジナルもいい曲なんだろうが、大阪弁を巧みに取り込んだ歌詞のふちがみとふなとバージョンは、どこかさみしげな雰囲気が強調され素晴らしい。

 そしてこれもリクエスト。
 ディープ・パープルのカバー「Smoke on the water」をぶちかましてライブ本編が終了した。
 テンション必要な曲なので、ステージ最後に持ってきたそうな。
 ピアニカでリフをがしがしに吹きまくる。
 ステージのスペースをフルに使う大熱演だった。

 もちろん観客からはアンコールの拍手が飛ぶ。
 その間に、ふなとはしっかりTシャツを着替えていた。

 アンコールはとくに曲を決めてなかったようだが、観客からすかさずリクエスト。
 「ちょうど歌いたかった〜」と前置きし、「しゃれ男」を歌い上げた。
 ベースのみのシンプルなアレンジなだけに、メロディがしっかり味わえた。

 まだまだ拍手はやまない。この店は控え室ってないからなぁ。
 すぐ目の前にミュージシャンがいるから、気軽にアンコールをお願いしてしまう。
 おもむろにステージのスペースへ二人が戻り「短めねっ」とさらに1曲歌ってくれた。

 演奏終了は22時をちょっと回ってたろうか。
 色んな歌を楽しめた、実に充実したライブだった。
 シンプルな演奏と歌が、すっと耳の中に寄り添ってくる。そんな親しみやすさが心地よい。

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