LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/1/12  新宿 ピットイン(昼の部)

出演:外山・大儀見 DUO
 (外山明:ds,per、大儀見元:per)

 風邪でいまいち体調悪くほわわん状態の中、初めてピットイン昼の部へ行って来た。
 若手中心でいろいろ連日ライブをやってるけど、さすがに平日は行けないもんな。
 今日は外山明(元ティポグラフィカ。現マルハウス・Bozoなど)と大儀見元(現DCPRG)のパーカッションデュオだ。

 土曜の昼間ながら、地味な編成なせいか観客は約10人と控えめ。
 店内は通常の客席中央を演奏スペースにし、その周辺へ観客が並ぶ変則的特殊なステージ構成だった。
 ドラムセットとボンゴやジャンベが立ち並び、演奏者が向かい合う配置。
 ステージ・スペース横にはガムランで使うような木琴もセッティングされていたが、演奏には使用されなかった。
 楽器の周りにはマイクが林立。公開レコーディングなのかな。

 開演時間をちょっと押して、14時45分頃に演奏スタート。
 大儀見は携帯電話をマイクスタンドにぶら下げると、股の間にジャンベをはさみ、無造作にぱこぱこ叩き始めた。
 外山はドラムセットに座り、首からジャンベを下げる。

 まさに目の前で演奏しているので、パーカッションの細かな響きが生音で耳の中に飛び込み、すごく心地よい。
 まずは二人によるジャンベのデュオから始まった。
 
 演奏はすべて即興だろう。
 ビートのパターンを掛け合う構成は控えめで、二人はてんでにリズムを構築していく。
 冒頭は響きの強いジャンベが大儀見。外山はにぶく鳴らしていた。
 
 大儀見がジャンベを叩きつつ、目の前に並んだボンゴ類も組み合わせリズムを複雑にしていく。
 いっぽう外山はバスドラとハイハットを規則正しく踏み、打ち込みっぽいビートを提示した。

 今日は全て外山が座ったまま演奏。無表情で背筋をピンと伸ばしジャンベや、両脇においたボンゴを叩きまくる。
 メロディはどこにもない。
 ただ、微妙な音色の鳴り分けから生まれる素朴な音程の高低が、味のある雰囲気を生み出した。

 規則正しく、ハイハットが鳴る。
 力強く踏み込んだバスドラは、店内に低音を響かせた。
 パーカッションの音しかしないのに、まったく退屈しない。

 手数はさほど多くない。だけど決して単調にならないリズムが絡み合い、ぐいぐい緊張感があがる。
 大儀見は表情を豊かに変えながらパーカッションを叩いた。
 次第に二人とも興が乗って来たのか、視線を合わせてにやりと笑いあう。

 大儀見はいつのまにかジャンベを横におき、パーカッションを手のひらで乱打。
 鉄の共鳴板付きボンゴが、いい音色のアクセントになっていた。
 しまいには、椅子代わりにしていた木の箱を叩き出す。
 当初から大儀見は椅子を楽器として使うつもりだったんだろう。ちゃんとマイクも配置されていた。
 
 30分ほど経過して、外山がジャンベを降ろしスティックを握る。
 おもむろにタムやシンバルを散発的に叩いた。
 時にハイハットで刻みを入れるが、単純なドラミングはかけらもない。
 4/4をおぼろげに感じさせるが、しょっちゅうオカズが入る変拍子の嵐だ。
 アフリカンビートのように、うねるグルーヴは希薄。もうすこし硬質なノリに感じた。

 そのままぐいぐいテンションがあがったところで・・・。
 いきなり大儀見の携帯が鳴る。さっきマイクスタンドにぶら下げてたやつ。
 ふたりともがくっとこけて、唐突に演奏が終了した。
 どうやら、タイマーセットしてたみたい。

 自然発生的にテンポが上下し、かろうじて演奏の構成があったものの。
 けっきょく40分間、二人とも叩きっぱなしの演奏だった。
 ここでしばし休憩。第二部は16時頃始まった。

 外山は最初からスティックを握り、ドラムに徹する。
 リムショットを多用した、金属的なドラミング。
 いっぽう大儀見は、前半と同じように股の間へジャンベをはさんで叩いていた。  

 前半にまして、後半のテンションが高い。
 冒頭は外山のドラムへおかずを入れていく風な大儀見だったが、次第にフリーでひっぱたく。

 外山の手数は後半へ近づくにつれ、増える一方だった。
 リムショットを組み込みながら、猛烈にドラムを乱打する。
 目の前で叩いているから、強くフロアタムを叩いた時の鳴りがすばらしく心地よい。

 二人の額に汗がにじむ。
 ピットインの店内に、二人のビートが響き渡った。
 
 唐突に、またしても電子音・・・。大儀見のタイマー音かな。
 今回も二人はペースを崩されたか、どたばたっと手数が落ちて苦笑しあう。
 「どうする?もうちょいやろうか」
 「ここらいらへんに、しときましょうか」

 そんな会話が交わされたあと、二人はおもむろに立ち上がりお互いを紹介しあった。
 後半戦もちょうど40分くらい。
 思い切り自由奔放なライブ構成だ。

 地味な楽器編成ながらも、音楽の質は緊張感たっぷり。
 あっというまに時間がたっていた。

 外へ出ると、さすがに薄暗い。ちと涼しいかな。
 さて。・・・次のライブへ行こうっと。

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