LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
01/12/9 新宿 リキッドルーム
出演:The Isley Brothers
最新ヒットアルバム「Eternal」を引っさげての、アイズリー・ブラザーズ来日ツアーが行われた。
現在のアイズリーはロナルドとアーニーのみとなっている。
今日は東京公演の最終日だ。
リキッドルームは行くの初めて。ビルの7階にある。
せっかくエレベータで行ったのに、開場前は番号順で階段へ並ばされる。エレベータの意味ないじゃん。
ぼくの番号は300番台。公演間際にチケット取ってこの程度の番号なら、ガラガラかと危惧したけど。
ふたを開けると、フロア一杯にぎっしり人が入る盛況だった。
アイズリーって、こんなに日本で人気があったとは。
今夜はまずオープニングアクトから。
AI(18:00〜18:30)
彼女の歌(てか、名前も)は聴くのはじめて。日本語より英語のほうが流暢そうでした。
声量はそこそこあるが、歌唱力はいまいち。ブラック・ミュージックのうまいコピーにしか聴こえなかった。
彼女のHPによれば、アメリカじこみの歌唱スタイルみたいだが。
しかもいきなりバラード3連発。カバーとオリジナルを交互に歌ってた様子。前座で盛り上げる役なのに・・・のっけからしっとりした雰囲気になってしまう。
最後の曲はアップテンポだが、盛り上げ方はかなり強引。今後に期待です。
バックバンドは日本人四人で、per,key,g,tsといった編成。
keyのいかにもしっとりした演奏が、聴いててつらい。
飽きはしなかったが、盛り上がりもしづらかったです。
The Isley Brothers(19:00〜20:20)
さて、期待のアイズリー。結論を先に言うと・・・。
アメリカ・エンターテイメント界の底力を思い知らされたライブだった。
最新アルバム「Eternal」の曲を何曲も演奏し、コンパクトな構成のいわゆる「営業」ライブ。
なのに、ぐいぐいひきつけられる。
サービス精神旺盛に濃密なステージングをくりひろげ、短い時間で魅力を凝縮したショウだった。
30分くらいかけてゆっくりステージ・チェンジ。といっても、ステージ下手にギターをセッティングしたくらい。
舞台前面を広くあけた簡素な構成だ。セットらしきものは何もなし。
ただ、ドラムをパーテーションで区切っていたのが印象的だった。
19時になるころ、ステージの照明が落とされバック・ミュージシャンが配置につく。
続いてアーニー・アイズリーが登場。客席から歓声が上がった。
ステージの明かりは暗いまま。スタンバイするミュージシャンらがうっすら見える。
静かにイントロが奏でられ、舞台が明るくなる。ショウの始まりだ。
おもむろにロナルド・アイズリーが現れる。
続いてレオタード姿の黒人女性がずらずら登場。全部で7人いる。軽くダンスをはじめた。いきなりきらびやか。
リズムはほんのりアップテンポになり、いきなり「Between
the sheets」をロナルドが歌いだした。
ちょっとマイクバランスが弱いかな。惜しいことに声が聞き取りづらい。
黒人女性のうち、3人はバックコーラスへ。あとで「ジェイソン・シスターズ」と紹介された。アルバムにも参加してる人たちみたい。
みょうにあっけらかんとしたアレンジで「Between
the sheets」を歌っていく。
「いきなりこの曲かぁ」と思ってる間に、さっきのダンサーが一人下着姿風衣装で再登場。
ロナルドに絡みつき、見事なダンスを披露する。
ひとしきり踊って袖に消えると、今度は別のダンサーが・・・。
つぎつぎ登場し、最後は全員で一糸乱れぬダンスを踊った。
ポーズはセクシーだが、あまりにもぴしっとダンスが決まりすぎて凄さが先に立つ。実に勇ましい。
ほぼ全員のダンサーが見事な筋肉だったもん。
曲はメドレー形式で、「Footsteps in the dark」へ。この曲大好き。
冒頭からいきなり演奏してくれて、大喜びで聴いていた。
バックバンドはds,b,gにkey3人。さらに女性コーラスが3人。全員黒人だった。
演奏は可もなし不可もなしといったとこ。グルーヴィだが、さほど目立った華がない。
一曲はさんで(「Eternal」収録曲かな?すみません、わかりませんでした)、今度は「Who`s
that lady」。しょっぱなから飛ばしていく。
ここでやっとアーニーのギターが前面にでた。
アーニーはここぞとばかりに、ギターを頭の後ろに持ち上げて弾いたり、歯で弾いたり。あれこれアクロバット奏法を繰りだす。
再びダンサーが登場した。今度はボンデージ風のエナメル・レオタード。ロナルドにねっとりからみつく。
ロナルドがただのエロ親父に見えてきた(笑)
続いて「It`s your thing」、さらに「twist and shout」。
往年のヒット曲を連発だ。
「twist and shout」では、キーボードを弾いてた男がもろ肌で猛烈なツイストを踊りまくる。
えっらい迫力〜。パワフルさに圧倒された。
そしてロナルドのMC。アーニーへ一言二言話し「This
old heart of mine」を一節演奏する。
このあたりで気付いた。
今夜の構成はたぶんアメリカでやってる「営業」ライブとほとんど変わらないのでは。
MCもアドリブが皆無(おそらく。ぼくの英語力だから正確じゃないです)だし、全て英語で押し通す。
冷静に考えると、かなりそっけないステージングだった。
ところが個々の演出が素晴らしい。スムーズに次々展開する構成が見事。
「アリーヤに捧げる。」と言って歌い始めた「At
your best」。
バックコーラスの一人と掛け合いで歌う。
続けてロナルドが「バックコーラスを紹介しよう。フィリップス姉妹(だっけな?)だ」と喋り、そのままコーラス隊3人のアカペラへつなげる。
アカペラがうまいんだ、これが。
前座のAIには申し訳ないが、彼女の歌がかすむくらい。
きびきびしたダンサーたちといい、バックコーラスといい。層の厚さが感じられる。
ステージ中盤で「Eternal」から「Secret lover」など数曲歌う。
ロナルドのファルセットがとにかく気持ちいい。このあたりから、ロナルドの声もつやが出てきた。
続いて往年の曲から「Summer Breeze」。この曲も好きなんだよな〜、ぼく。
現代風リズムにアレンジされ、アーニーがギターをひたすら弾きまくる。
ギターリフを歯で弾いたりも。
レコードそのまま、甘酸っぱく伸びる音色を堪能できた。
その間に、ロナルドはステージ袖に去る。
さんざんアーニーが弾きまくった後、ダンディにスーツを着替えてロナルドが再登場した。
曲は最新アルバムから「Move your body」。女性ダンサーが露出度の高いスタイルでびしばしポーズを決める。
他には、これも「Eternal」収録曲の「contagious」。
歌う前にいろいろMCをするが、英語なのでいまいちわからない・・・。
バックコーラスとして、さきほど見事なツイストをみせた黒人男性(key)と、女性バックコーラスが一人づつステージ前面に登場。
ミュージカル仕立てで、ロナルドをはさみ歌い合う。ただ、いまいちストーリーが読めなかった。
ラストはアップテンポに。ダンサーらが全員登場し、バックコーラスの3人もステージ前面へ出てきて、客席のそこかしこをあおる。
しまいにはロナルドを先頭にずらりと一列にならび、ステージを練り歩き始めた。
アーニーはギターを弾き続ける。ピックを使わず、タッピングで弦を叩いていた。
ロナルドやダンサーはぐるぐるステージをうろつくと、そのまま下手へ消えていく。
アーニーはまだギターを演奏。キーボード奏者が客席をあおりはじめた。客席から歓声が飛ぶ。
アーニーがひとしきり弾いた後、ドラムがソロをはじめた。
パワフルではじけるビートが気持ちいい。
再びバンド全体で演奏。どかんとコーダを決めて、メンバーがステージを降りた。
当然アンコールを期待するでしょう。
観客から拍手が始まるが、味気ない終了の合図・・・。客電がつき、ステージではスタッフがバラシをはじめた。
わずか80分のショウ。アンコールすらなし。中盤で客席のノリがいまいち静かになったせいかなぁ。
全体を通した印象は、あまりにもパッケージされたライブだってこと。
演奏面で特筆すべき驚きはない。アドリブらしきものはアーニーのギターソロくらい。
ところが、物足りなさはほとんどない。計算されたステージングで満腹だったせいだろう。
アンコールがあれば完璧だ。
こういうライブを何百本も、アイズリーはアメリカでくりひろげてるんだろうな。