LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

01/11/10   吉祥寺 MANDA-LA2

出演:AREPOS
 (れいち:vo,ds、清水一登:p,cl、渡辺等:b、浦山秀彦:g)


 19時半きっかりに、いきなり客電が落ちた。
 れいちはドラム・セットにすわり、ヘッドセットをかぶる。

 清水一登の優しいピアノに導かれて、渡辺等の6弦ベースと、アコギを抱えた浦山秀彦はそっと音を重ねる。
 シンバルをそっと叩きながら、れいちは歌い始めた。
 
 AERPOSを聴くのは初めて。ネットでちょっと調べてみた。
 メンバーの過去の経歴から想像するに、はにわがきっかけかな。
 れいちと清水、二人だけでライブする場合もあるようだ。
 
 清水は元Killing Time。渡辺はSHI-SHONENやリアル・フィッシュに所属してたらしい。当時ノンスタを聴いてた人には懐かしいバンド名だ。

 れいちは着実にドラムを叩きながら、喉をふるわせる。
 AREPOSはもっとプログレっぽい音かと思っていたが。
 marsh mallow(れいちが参加)にも通じる、ほんわかポップスだった。

 ボーカルのメロディはほんのり日本風。ケイト・ブッシュが日本に生まれたら、こういう音楽をやっていたのかも。
 ドラミングは手数こそ多くないが、鳴りがきれいだ。よく叩きながら歌えるなぁ。
 
 一曲目が終わったところで、れいちがステージ前に歩いてきた。
 頭には真っ赤なベレー帽。肩には落ち葉を、ぺたっと貼りつけている。
 今夜のテーマは「小さい秋みつけた」とか。
 マイクスタンドやピアノ、天井の照明などにも、ちょこちょこ落ち葉がついている。
 なんでも前日の雨の中、れいちが自分で拾ってきたそうだ。

 二曲目以降はドラムレス。
 れいちはスタンド・マイクの前で歌いつづけた。
 アレンジはよく練られて楽しかったが、もっとれいちのドラムも聴きたかったな。

 けっきょく前半は冒頭の一曲のみ。後半も中盤で数曲叩いただけ。
 あまりハイハットの刻みを目立たせず、着実にフィルを重ねるドラムだった。

 清水のピアノは、派手な技を控えめ。
 とはいえドラムレスのバッキングでリズムとオブリを一人で引き受ける多彩な演奏は見事だった。

 浦山はアコギとエレキを曲によって持ちかえる。
 リフよりも、エフェクトでサイケな雰囲気をかもし出したのが印象に残った。

 渡辺は6弦ベースとエレクトリックのスタンド・ベースを使い分けた。
 ときおり披露する、手数の多いソロが聴きもの。

 そしてなにより、透き通ったれいちのボーカル。これがすごかった。
 とにかくハイトーン。ファルセットはほとんど使っていないはず。
 マイクの前にすっと立ち、腕や身体を曲にあわせユラユラ揺らす。
 穏やかでほんのりサイケ風味の曲が、れいちの歌声で膨らんで広がった。

 第1セット中盤では清水がクラリネット、渡辺がマンドリンを持つ。
 歌詞を英語で通した「AN ENGLISH COUNTRY GARDEN」。
 トラッド風味が心地よかった。

 れいちはMCも多く、フレンドリーに話していく。
 だいぶ観客は常連が多いようだ。店内は一通りうまり、多少立ち見も出ていた。

 前半は7〜8曲。あっけなく20時10分には第一部が終了。
 そのぶん休憩時間も短く、15分くらいしかなかった。

 まずは清水だけが登場しピアノ・ソロをはじめた。
 柔らかい雰囲気の曲調なので、AREPOSの曲かなと思いきや。キリング・タイムの曲だそう。曲名は不明です。すみません。

 続いてれいちを呼び「現代音楽コーナー」。
 ウエーベルンの曲を清水のクラリネット伴奏だけで、れいちが歌う。
 8月の前回ライブに演奏した曲の、リターンマッチだとか。

 ハイトーンをぐいぐい強調する歌だった。
 終了後れいちが「うまくできた?」と清水に尋ねる。伴奏が複雑なだけに、演奏してる清水しか、出来不出来が判断つかないみたい。
 ちなみに清水は「うまく行った〜」と喜んでいた。 
 
 ここからあとは、またメンバー全員による演奏が続く。
 曲調は前半セットよりも若干凝った構成な曲が多かったような。
 歌声はぐんぐん張りが出て、キュートに喉を震わせる。

 中盤で一曲、バックトラックにテープを使用。
 ガムランっぽいリズムに、バード・コールらしきSEを多用したテープにあわせ、メンバーが音を重ねていく。
 本日のライブで、いちばんアバンギャルドなサウンドだった。

 オーラスに演奏した曲がすばらしかった。曲名は残念ながら不明です。
 れいちはファルセットを多用し、幻想的に盛り上がるアレンジだった。

 後半セットは1時間くらい。10曲弱演奏したかな。
 アンコールには清水とれいちのみが登場。
「お・や・す・み」をしっとり歌う。
 エンディングでコーダにあわせて暗転、ライブが終了した。

 終了は21時半過ぎ。スタートが早かったとはいえ、もっとAREPOSの演奏を聴きたくなった。
 テンポいいステージ進行だったから、なおさらかも。

 余韻をふわっと残した、いいライブだった。
 次回ライブは同じMANDA-LA2で02/1/11にて。また聴きに行こうかな。
 
 ところで本日のベーシスト、渡辺等が12/18にMANDA-LA2で、12弦フレットレスギターのソロをワンマンでやるみたい。これも面白そう。

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