LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

01/9/29   西荻窪 アケタの店

出演MULL HOUSE
 (石渡明広:g、青木タイセイ:tb、林栄一:as、上村勝正:b、外山明:ds)


 セカンドアルバムの発売記念ライブ。彼らの演奏を聴くのは初めてだ。

 おっそろしく刺激的なライブだった。ショックを受け、休憩時間にすぐさまCDを購入してしまう。
 複雑怪奇な曲構成ながらダンサブルな演奏に、聴きながらわくわくしっぱなしだった。

 開演前にステージにあるグランドピアノ上へ、新譜のセカンドを飾る。
 とはいえ、CDだといまいちインパクト弱く残念。LPだったら目立ったろうに。

 観客はぞくぞく現れて、ほぼアケタは満員。20人くらい入ったろうか。
 始まるまで店の後ろで喋っていたミュージシャンは、8時過ぎくらいにステージへ向かった。

 林栄一や青木タイセイが楽器を準備している途中、いち早く構えた石渡明広が軽くギターを鳴らす。
 そこへドラムとベースが音を合わせ、ごくごく無造作に演奏が始まった。

 まっさきに耳が吸い寄せられたのが、外山明のドラミング。
 彼の演奏は生では初めて。とにかくインパクトあった。
 まず、冒頭2曲では立ったままドラムセットをプレイ。

 スタンディング用ではなく普通のドラムセットなのに、かまわず叩く。
 どかどかバスドラを踏み鳴らしつつ(さすがにハイハットは踏まなかった)、ランダムにスティックを踊らせる。

 ビートを刻むよりも、パーカッシブなドラミングだ。
 そのタイム感も実に微妙。
 ズレそうになるほどランダムに叩いても、ギリギリのところでリズムに引っかかる。
 シンバルを豪快にひっぱたき、かなり高めにチューニングしたスネアを猛然と乱打する。しこたまかっこよかった。

 この奔放なドラミングをがっしり支えていたのが上村勝正のベース。
 渋谷オーケストラでも聴かせていたとおり、今夜も柔軟なビートを確かなテクニックで支える。
 外山と上村ががっぷり組み合ってこそのグルーヴだった。

 そしてリーダーの石渡。彼のギターも大暴れ。
 バッキングとソロの区別はほとんどなく、かなりフリーにエレキギターを弾きまる。
 エフェクターとペダルで若干音を変化させていたが、きっちりフレーズで勝負。
 早弾きでギターが駆け抜ける瞬間は、かっこよさにたびたびゾクっときた。

 マルハウスはかなりフリーな音楽性みたい。
 林や青木がソロを取る場合も、普通のスタイルじゃない。
 お互いがソロをしてるあいだも、休まずひっきりなしにオブリが入る。

 ときにはまったく相手の音に絡まず、それぞれがソロを披露。
 そこへ石渡も参入し、ソロ三重連状態すらしばしばあった。

 曲構成はとても複雑。ホーン二人はめまぐるしいフレーズをユニゾンでまくし立てる。
 変拍子もかな。テンポがくるくる変わる。
 「Hot Brain」に代表されるような、メロディが急上昇する開放感が素敵だった。

 青木のトロンボーンは、軽快で歯切れいい。
 いっぽうで林は、音抜けがいまいち。PAのせいかなぁ。
 もうちょい爆発して欲しかった。

 外山は第一セット3曲目で座ってドラムを叩く。
 だけど曲によっては、また立ったまま演奏していた。ほぼ半々の比率か。

 今回はじめて聴くこともあり、セットリストは不明。
 石渡が、その場で次の曲を決めてたようだ。
 ぼそっと曲名をメンバーへつぶやくと、皆が楽譜を探し始めていた。
 第一セット、第二セットともに一時間くらい。
 ソロ回しは少なめで、各セットそれぞれ5曲くらいを演奏した。

 第二セットでは外山のドラムにハプニング。
 どうやらスネアの皮が破れるかして、シンバルとフロアタム中心のプレイをはじめる。
 店のスタッフが、店のスネアを持ってステージへ。
 外山が演奏中にそのまま、スネアを交換する荒業を見せた。
 
 ただ、そのスネアも調子悪いのか、一曲終わったところで外山がスネアの皮を張り替え始めた。
 石渡がギターを爪弾くと他のメンバーが合わせ、ゆったりした即興(?)が始まった。
 しばらく静かに続き、スネアの交換が終わるまで場をつなぐ。

 インプロが続く中、もくもくと外山は皮を張り替え。鳴りを確かめ軽く連打した。
 そのチューニングを、ぴたりと演奏の一要素にする。
 準備万端整ったところでそのまま、メドレーで次の曲へ突入した。
 
 第二セットは外山作のキュートな曲、「こころざしの高いへなちょこ」をアドリブ無しで披露し、猛スピードでさらに一曲が演奏されて終わった。

 ハイテンションで突き進み、大満足のライブだった。
 フリージャズが基調だろうか。聴きやすいのに、個々の瞬間は恐ろしく混沌としてる。
 
 次のライブは、10/2に新宿ピットインにて。
 仕事がなぁ・・・聴きに行きたいなあ。

目次に戻る

表紙に戻る