LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

01/9/21   西荻窪アケタの店

出演:緑化計画
 (翠川敬基:Cello、片山広明:ts、早川岳晴:b、石塚俊明:ds
  +ゲスト 立花泰彦:b)


 雨が強く降り、涼しい夜だった。
 そのせいか今日の観客は7人とさみしい。

<セットリスト>
1.  ?
2.イズミール
3.オホン
 (休憩)
4.コントアローン
5.ウズペ
6.フルフル

 19時半すぎくらいに翠川がチェロを持ってばたばたっと登場。
 楽器のセッティングをすませると、各自の譜面台に譜面を載せていく。
 翠川が全てのメンバーの楽譜を準備するんだ。
 てっきり、メンバー各自が持ってくるかと思ってた。

 本日ゲストの立花泰彦は、かつての緑化計画メンバーらしい。
 バンドを離れて長いみたいで、譜面を見て「なつかし〜」と言っていた。
 
 今回、早川は骨折のせいか小ぶりなエレキベース、Headway/Riverhead 1984(早川のHPに記載してる製品名)を使用。ステージ左に腰掛ける。
 いっぽう立花はウッドベースを持って、アケタのベーシスト定位置に立つ。
 二人ともステージに出ずっぱりの、2人ベース編成だった。

 まずは翠川が譜面をぱらぱら。
 「こっちのページの曲やろう」と、譜面をさしてメンバーに示す。
 曲名は不明・・・おもいっきりフリーな展開だった。
 チェロとウッドベースはどちらも弓弾き。二人だけの演奏になると重厚な音色になる。

 石塚はマレット、ブラシ、スティックと使い分け、静かに叩く。
 リズムキープよりも、パーカッションよりのドラミングだった。
 全員がフリーにノンビート、ノンメロディで盛り上がっては、スローに沈んでいく。
 一曲目からむちゃくちゃ面白い。

 続く「イズミール」は、一曲目の隣ページに譜面を入れてあるらしい。
 「そのとなりの曲やろう」と、いきなり選曲していた。
 このメロディはクレツマーとアラブ風かな。
 勇ましい感触なサウンドだった。
 片山のソロが最高!
 ぶっとく朗々と、美しい旋律をゆっくりと吹き鳴らす。
 素晴らしい演奏だった。

 1ステージラストの「オホン」は、このセットの中でいちばんオーソドックスなジャズだった。
 各人が魅力的なフレーズのソロをプレイし、次の人へ廻していく。
 全員がでかい音で演奏しだすと音量で埋もれがちな、翠川のチェロもこういうスタイルだとじっくり聴けて楽しい。

 早川は右手をほとんど動かさず、落着いた感触のソロを披露。立花へソロを受け渡す。
 そのあいだに石塚がハイハットをいじっていた。調子が悪くなったみたい。

 何コーラスかして石塚のソロの番になっても、まだ修理が終わらない。
 静寂が漂い、翠川に「はい、ソロだよ〜」とからかわれる一幕もあった。
 けっきょくここでは彼のソロはなし。テーマに再び戻って、第一部が終了した。

 第二部最初の「コントアローン」は比較的最近の作品だそう。
 望月英明(b)が緑化在籍時に、二人ベースを想定した曲だという。
 早川は演奏前にフレーズをおさらい。立花は構成がつかめず譜面を見て悩んでいる。
 翠川が見かねて「XXXでXXXで〜」と、曲構成をステージ上で説明し始めた。
 納得した立花に「(曲構成を)ばらすなよ〜」って苦笑い。

 まずは早川と立花のベースソロ。そして3度スケール風なテーマを早川が奏で、輪唱で立花がかぶさっていく。
 複雑な響きの曲だった。

 おもむろにチェロとサックスがテーマのメロディを吹く。
 この曲は前回ライブでも聴けたので、メロディが頭によみがえってきた。
 ソロの合間に、サックスやチェロがテーマのメロディをリフレインさせる。
 するっといいタイミングで、早川がソロへ雪崩れ込んだ。

 エンディングでは、再び二人のベースソロ。
 当然のことながら、冒頭に説明された構成のまま。
 ミュージシャンにとっては不本意かもしれないが、こういうのも面白いな。
 構成がみえてこその面白さってのもあったから。

 「ウズペ」もメロディがきれいな曲。静かに演奏が始まっていく。
 ここで素晴らしいセンスを聴かせたのが石塚。
 しっとり系のプレイの中、ごくごくたまにドラムを数度強打する。
 そのたびにびしっと曲が引き締まった。

 最後の「フルフル」でも多彩なドラミング。リズムがコロコロ変化した。
 緑化計画は暖かいグルーヴを基調として、奔放に演奏が展開する。
 そこでミュージシャンのノリに伴いテンポがコロコロかわるから、ビートを維持するセンスは石塚がかなり自由にできるみたい。

 第二部は22時10分くらいに終了。あわせて一時間半弱と、少々物足りないステージだった。もっといっぱい聴きたいな。
 こういうシンプルな緑化計画は、各メンバーの呼吸一発でがらりと風景が変化して本当に面白い。
 スリリングな展開には耳をそばだてつつも、基本的にはリラックスして音に酔える。すてきなフリージャズだった。

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