LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
01/9/19 新宿 ピットイン
出演:イースタシア・オーケストラ
(藤川義明:as、 吉田哲治,神村英男,小宮いちゆう:tp、佐藤春樹:Tb
梅津和時:as,cl,片山広明:ts、南川護夫:ts,堀切信志:bs、
翠川敬基:Cello、早川岳晴:b、小山彰太:ds、横山達治:per)
開演前、会場に流れていたBGMにまざって、パーカッションの音が小さく鳴る。
横山達治がステージ隅で、ずっとボンゴをタパタパと叩いてた。
メンバーは楽屋や客席で演奏開始を待つ。
早川岳晴は腕をカラフルな布でつっていた。あとで知ったが、右鎖骨を骨折してたとか。
20時になるとメンバーがステージに上がり、気負わずするっと始まった。
彼らのライブは4月以来になる。メンバー変更があり、時岡秀雄にかわって南川護夫が加わった。
<セットリスト>
1.FIO DENTAL
2.TATUZINHO
3. ?
4.KONA
5.NANA'S DREAM
(休憩)
6.Moonlight Mist
7.MACEIO BLUES
8.TANGO
9.PATE POTE
(アンコール)
10.DANCER'S IMAGE
まったりした演奏だった。
ずいぶん音色がリラックスしてるように聴こえたけど・・・ぼくの気のせいかな。
「FIO DENTAL」は金管と木管のアンサンブルがとてもきれいな、ブラジル風の曲。
この演奏は、シャープさよりもしなやかさを感じた。
二曲目冒頭では、藤川義明がその場でアレンジ構成を説明する。
曲の前半と後半では音の雰囲気が変わった。
中盤のチェロのソロでは、とても静かに。エンディングではアップテンポに盛り上がる。
一曲目では片山広明がソロの途中、梅津和時がカウンター的にメロディをぶつけていたのが面白かった。
二曲目になると、梅津のソロのときに片山が同じパターンで演奏にからんでいたっけ。
三曲目はすみません、曲名不明です。
このあたりから次第にテンションがあがってきた。
藤川の指揮っぷリも、見ていて飽きない。
ソロの途中でも細かくメンバーにハンドサインを送り、ソロにアンサンブルをぶつけてダイナミックな演奏を聴かせる。
もともとイースタシアの曲は構成が多彩なので、矢継ぎ早に展開が変わるあたりがスリリングだった。
ちなみにこの日は藤川がほとんどMCをしなかった。
曲の後で、ソリストの名前を紹介したくらい。前回のライブでもMCは控えめだったけど、喋らないことにしちゃったのかなぁ。
四曲目は前回ライブで初披露(?)された、佐藤春樹の曲。
ドラマティックな展開の演奏だった。
ステージ前半はてきぱきと進行する。
そして5曲目。勇ましく演奏が始まった。
まずは梅津の循環呼吸によるアルト・ソロ。
サックスの音がひとときも途切れず、延々とフレーズがつながって流れる。
続く小山彰太もビートをはたき込むような威勢のいいソロを聴かせた。
第一部はここで終了。
13人編成の大所帯にもかかわらず、演奏のボリュームは控えめで、個々の音使いがかなり細かく聴こえる。
第二部は前回ライブで初演された藤川の曲でスタート。
第一部よりも管が鳴って聴こえた。
横山達治のソロが楽しい。パーカッションを連打しながら、アフリカ風のボーカルを織り込む。
片山のフリーなソロもかっこよかったなぁ。
続く「MACEIO BLUES」が、演奏では今夜のベストトラック。
アップテンポで次々に魅力的なソロが続いた。
佐藤春樹のソロから始まり、テナーのソロではバックの演奏を横山のパーカッションだけに絞る。
シンプルなビートでサックスを思い切り目立たせたあと、神村英男のトランペット・ソロに突入。
そこへ早川が、猛烈なソロで煽り立てた。
二人が同時にソロを取る瞬間が、めちゃくちゃいかしてた。
そして最後はドラムソロ。素晴らしい演奏だった。
「TANGO」は基本的に翠川敬基のチェロを中心とした、ロマンティックな演奏。
ところが梅津が翠川のソロの途中、自分のおなかをぽんっとたたいて見せると、翠川もソロを「ぽんっ」っと弦をはじきコミカルにソロを終わらせた。
さて、最後の「PATE POTE」は横山のソロで開始。
ぼくはこの曲大好き。前回ライブでは演奏されなかっただけに嬉しかった。
ここで梅津のパフォーマンスが炸裂した。
マウスピースでメロディアスなフレーズを吹き、パルス的に一つの音を何度も差し込む。
吹くマイムでうろたえて見せ、楽譜をひっちゃぶいたりも。
周りのミュージシャンもすっかり楽しみ、ノーリズムになる瞬間も多々ある状態。
さらに梅津は藤川へソロを指示。
藤川はアンサンブルにのって、フリーなソロをほんの少しだけ吹き鳴らした。
あっというまにソロが終わって残念。もっと藤川のソロも聴きたいな。
すっかりリラックスした雰囲気で「PATE POTE」がえんえんと演奏されて、すでに22時半を軽く回っている。
ところが観客の拍手に応え、ステージを降りずにそのままアンコールをはじめてくれた。
アンコールの「DANCER'S IMAGE」は時間が押してたせいか、ソロは早川のみ。
しまいにディストーションを踏む、ワイルドなソロだった。
終演は22時50分くらい。
さまざまな要素をおりこみ、リラックスしたムードでボリュームたっぷりの贅沢なライブだった。
初参加の南川護夫のソロは、どちらかといえばフリーな系統だった。
片山のソロもフリーな瞬間が多かった記憶がある。
次のライブは1月頃らしいが、次はどんなイースタシアになるのかな。