LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

01/9/14  東京駅 Break

出演:Silver Lining
 (吉田治:ts,ss、p:小野塚晃:p、松山修:ds、水谷浩章:b)


 夕方の6時過ぎ。帰社する途中、東京駅構内の本屋に寄った。
 めあての雑誌を買って店の外へ出ると、軽快なリズムが聴こえる。
 どんなバンドかな、と軽い気持ちで覗いてみた。

 Breakは東京駅の新幹線改札口すぐそばの、こじんまりしたオープンスペースだ。
 そこで4人のミュージシャンがライブをやっていた。

 時間帯が夕方だから、かなり人通りが多い。
 数十客椅子が出て、座りきれない人は立ち見で並ぶ。100人近くいたんじゃないかな。
 この手のライブは普段、ちょっと聴いて通り過ぎちゃうけど。
 ステージを見ると水谷浩章が、にこにこしながらエレキベースを弾いている。
 とたんに興味が出て、つい最後まで聴いてしまった。

 Silver Liningはもともとクインテット。ここにギターが加わる体制らしい。
 本来はベースも違うメンバー。水谷が今日だけのトラとして参加している。
 ぼくが聴き始めた時はすでに演奏の途中だった。開始15分くらいたったのかな。
 彼らは軽快なサンバの曲をプレイしていた。 

 客層を意識してか、はたまた彼らの音楽性なのか。
 演奏はとにかく聴きやすい。普段フリージャズのライブをメインに聴いてるから、妙に新鮮だった。

 リズム隊がきっちりしてて、タイトなビートを安心して聴ける。
 吉田のサックスは若干音が細いのが惜しい。
 ソプラノを吹きまくり、明るいソロを延々と披露していた。
 ソロ回しはピアノに続き、吉田のハンドサインが水谷へ。
 「え、ぼくも?」って意外そうな表情をひらりと見せると、笑いながらエレキベースを持ち替え、ソロに突入してたっけ。
 
 ひとつの曲が終わると、きっちりMC。
 ぼくは3曲聴けたが、全て吉田治のオリジナルだった。
 ちなみにこの日は一回三十分を3ステージの構成。6時からが最後のセットだった。

 続いては「タイムズ」というバラード。たっぷり10分くらい演奏していた。
 そうとう聞きごこちがいい。テナーに持ちかえ朗々と吹く。
 松山がブラシでビートを膨らませ始めた。

 メインのソロは、サックスとピアノ。
 時間を気にしてか、強引にピアノソロを終わらせていたような・・・。
 背中でさんざん人が行き交う落着かない環境だったせいかな。
 いまいち演奏にのめりこめず残念だった。

 「最後の曲はにぎやかな曲です」
 こんなMCで始まったのが「サンド・タワー」。
 アップテンポのモダンジャズだった。
 微妙にリズム隊がキメを入れ、歯切れよく演奏を回していく。
 この曲がいちばん素直に聴けた。

 和音をぐいぐい差し込むピアノのバッキングに、カウベルを混ぜたリズムパターンでドラムがあおる。
 ベースはビートよりもグルーヴに専念。
 幅広い音域で、多彩なカウンターメロディを入れていた。
 椅子に座って聴いていた熱心な観客も、何人かは身体を揺らしながら演奏に聴き入る。
 
 きっちりエンディングを決めて、あっさりとミュージシャンはステージを降りた。
 残念ながらアンコールはない。
 しめて30分くらい。ちょっと押して演奏したようだ。

 今日はバディでKIKIのステージがあったが、体調がいまいちでパスしたところ。
 なのに、思いがけずライブ演奏を楽しめるなんて。
 たまにはこんなふうに偶然、居合わせるってのもいいな。

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