LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
01/8/4 吉祥寺 Star Pine`s Cafe
〜ヒカゲノム(オゾンホール浴)〜
出演:ヒカシュー+イノヤマランド
(ヒカシュー:巻上公一:vo,cor、三田超人:g、野本和浩:sax,b-cl、坂出雅海:b、
トルステン・ラッシュ:sampler、新井田耕造:Drs,Per、吉森信:key
イノヤマランド:井上誠:key、山下康:key)
スタパへ到着すると、テレビ撮影が始まっていた。
テレビ・カメラを担ぐ人に、音声や照明の人が立つ。
並んで開場を待つ人へ近づき、インタビューを始めた。
なんだなんだ?とりあえず近づかない。遠巻きに眺める。
場内に入ると状況が判明した。
どうやらこのライブ、11月ころにBSだかCSだかで放送するようだ。
あちこちにどかんとカメラが林立し、おちつかないことおびただしい。
なにより、一階席が禁煙とは。まいった。
フロアは照明こそ明るいが、すでにぐるぐるミラーボールが回っている。
BGMは民族音楽っぽいテクノだったかな。どうも落ち着かないぞ。
さて、ぼくはヒカシューを聴くのはまったく初めて。
ほんとは今夜、渋谷でやってたDCPRGを聴こうと思ってたが、諸般の事情でこちらに変更した。
要するに・・・立って聴くより座って聴きたかったのさっ。
フロアは予想通り、全て椅子席。
ひととおり埋まって、100人近くいたのかな。
思ったより若い人が多いのには驚いた。
てっきり、当時のニューウエーブ好きな人が大半かと思ってたのに。
ライブは10分押しくらいでスタート。
ミラーボールが消され、客電が落ちる。
袖のライトで青白く光るステージへ、メンバーが登場し楽器を構える。
最後に巻上が現れ、口琴を静かに演奏し始めた。
<セットリスト>(注*)
1.口琴〜レトリックス&ロジックス
2.何もない男
(全員MC)メンバー紹介
3.サンラはピアニスト
4.ハイアイアイ島
5.SAXインプロ〜ピアノのリフ
もったいない話
6.うわさの人類
7.日本の笑顔
(休憩)
イノヤマランド
1.丁重なおもてなし
2.夢植物
(MC)
3.シーラカンス
4.鯉とガスパチョ
5.イノヤマランド
6.アルタネイティブサン
7.何故かバーニング
8.ドロドロ
9.びろびろ
10.パイク
(アンコール)
プヨプヨ
注*巻上オフィスにご教示頂きました。誠にありがとうございます。
セットリストはあえて公開せず「思い出せないからいい」がモットーとのこと。
「その考えもいいなぁ」としみじみしてしまいました。
にもかかわらず曲順をご教示下さる優しさに、心から感謝します。
今夜は2部構成。前半は45分くらいだったろうか。
新井田のシャープなドラミングが気持ちいい曲ばかりだった。
ヒカシューの曲は一曲も知らないので、選曲についてコメントできず。すみません。
まず強烈に目を奪われたのは、巻上の歌。
大げさに変化する表情、身振りの一つ一つが、見事にきびきび決まる。
ときどきアクセント的に、コルネットを高らかに吹き鳴らす。
七色の声を駆使して歌う姿は、存在感のかたまり。
ボーカル・スタイルは、予想以上に演劇的だった。
メロディは一筋縄では行かないものばかり。
もうちょっとポップなほうがぼくの好みだけど。
リズムパターンはコロコロ変わり、変拍子っぽいところもある刺激的なサウンドだった。
二曲終わったところでMCが入る。
これが荒業のMC。巻上、三田、野本、坂出が同時に別のことを喋りだす。 もちろん誰が何を言ってるのか、さっぱりわかりゃしない。
こういうネタが恒例かどうか、わからないのが悔しいな〜。
バンドの演奏はテクノっぽさを微妙に感じさせるアレンジだった。
基本のビートを新井田が決めるから、肉体性もじわえる。
キーボード関係だけで四人いるから、誰がどの音を出してるかさっぱりわからないのが残念だった。
特に不明なのが、イノヤマランド(元ヒカシューのキーボード奏者による、二人組のテクノ・ユニット。YENでデビューかな?)の演奏。
ひたすらうつむいて、淡々と機材をいじっているだけ。とにかく地味だった。
音楽の即興要素は、たぶんほとんどなし。
きっちり決まった構成で、前半は7〜8曲やったのかな。
しばしの休憩をはさんで、後半はイノヤマランドの演奏から始まった。
アンビエント・テクノの要素を前面に出した、静かなプレイ。
最初はさまざまな電子音を積み上げ、ゆっくりと音の表情を変化させていく。
そしていつのまにか、くっきりしたテーマが浮び上がった。
思い出したようにメロディーを数度繰り返し、曲が完結。
15分くらいの演奏だったろうか。
イノヤマランドによるMCはまったくなし。
第二部の中盤でも5分程度、彼ら二人による演奏シーンがあったけど。
特に彼らを盛り立てるような紹介もなし。
シンプルにサポートメンバー的な扱いだった。
後半になって、巻上のアクションがますます派手になる。
腕を激しく振り回すだけでなく、カンフーのような型まで織り込んできた。
ぴょーんと飛び上がり、ステージに後ろ向きに倒れこむ。
いままでコブラで静かにプロンプターを務める巻上しか、見たことなかったからびっくり。
第二部は1時間くらいかな。フルステージで全部で十数曲演奏したと思う。
セットリストは書けないけど。
『サン・ラへ捧げる歌』「シーラカンス」「アルタネイティヴ・サン」などを演奏したようだ。
(MCやサビの連呼からの推測です)
観客のノリは最後まで静かなもの。
おとなしく座って、ぜんぜん盛り上がらない。普段もこんなかな。
アンコールは「ぷよぷよ」。ごく初期のナンバーらしい。
そういえばこの曲の途中、演奏してるのに野本は次々楽器を片付けていた。 なんだったんだろう・・・。
アンコールはこの一曲だけ。客電もついたが、まだ一部の観客がしつこく拍手を続ける。
しばらくして、巻上だけが登場。
押しすぎて、これ以上は演奏できない旨告げると、ホーメイを始めてくれた
ウィィ〜・ウィィ〜・・・と倍音たっぷりな声が響く。
これがホーメイなんだ。サウンドを初めて聴いたけど面白かった。
一節唸ると、さっと巻上はステージ奥に去る。
ぼくが今熱心に聴いている音楽とは、ちょっと違うジャンルだけど。
長いキャリアを誇るだけあり、見どころがいっぱいのライブだった。
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