LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

01/6/24   高円寺 SHOWBOAT

 「コアの方舟」vol.1〜変拍子にもほどがある〜

出演:ルインズ、マッハデシリットル、O-NE、マニアオルガン、Qwangle Wangle


 マッハデシリットル企画による、変拍子主体のバンドだけを集めたイベントに行って来た。
 ルインズ以外は若手のバンド。たぶん、メンバーはほとんど20代前半くらいじゃないかな。
 そんな若手のバンドを積極的に聴いたりしないから、新鮮な体験だった。

 観客もぐっと年齢層が若い。ぼくが浮くこと、浮くこと・・・。
 なんだかんだで動員もよく、開演の頃にはぎっしり満席だった。
 フルスタンディングだったから、ちょっとしんどかったなぁ。とほほ。 

Qwangle Wangle(18:50〜19:20)

(青田康史(g)、三輪貴生(b)、高橋結子(ds))


 しょっぱなは男一人。女二人のトリオ編成なバンド。
 タイトにリフを決めていくシンプルなプログレって感触だった。

 きっちり縦の線をそろえる腕前はあるけど。
 ぼくの好みだと、もうちょいインプロを織り込んでくれたほうが好き。
 これは今夜出演した、ほかのバンドにも言える。
 即興よりも譜面を重視して、きっちり構成された変拍子を楽しむってイメージなサウンドが主体だった。

 さて、Qwangle Wangle。
 リフの手数は多く、ひょいひょいリズムパターンが変化する。
 えらくドラマティックなアレンジだなぁ、と思ってると。
 MCをするたび「16曲メドレーでした」(5分くらいの演奏で)とか、「次は6曲まとめてやります」とか。
 さまざまな曲をぐしゃっとつなげたアレンジで演奏してたらしい。おやまぁ。

 一番気持ちよかったのは、終盤にやった4/4+4/4+6/4の譜割りによるリフで構成された曲。
 ヌケのいいリフをギターで鳴らす、涼しげな曲だった。

マニアオルガン(19:30〜19:40)

 インパクトの固まりみたいな演奏だ。

 彼らはドラムとベースの二人組。
 もくもくとセッティングしている途中に、ベースアンプからすさまじいハウリングノイズが撒き散らされた。
 かまわずに二人は準備をする。
 
 ベーシストはストラップやシールドのところへ、抜け落ちたりしないようにガムテープをベタベタに貼り付けていた。
 豪音が鳴り響く中、唐突に演奏がスタート。

 ノイズ風でもあり、ハードコアパンク風でもあり。
 絶叫しながら高速のフレーズをぶちこむけれど、ハウりまくってなにがなんだかわからない。
 音が固まりになってぶちあたってくる。

 激しいパフォーマンスの合間に、一瞬ブレイク風に間を置く。
 とはいえ、それはほんの一息。すぐさま猛烈な音の渦に巻き込まれる。

 観客をそれほど意識するわけでもなく。怒涛のパフォーマンスをひとしきり続け、唐突に演奏をストップ。
 そのままベースを足元に投げ捨て、袖に消えていく。

 MCもなんもなし。ひたすら弾き殴って去っていく、あっというまのステージだった。

O-NE(19:50〜20:20)
(NEITA:b,vo、AKEMI:ds,cho,per)


 これが、今日の一番の収穫。初めて聴いたけどかなり楽しめた。
 O-NE(お・ねと読むらしい)女性二人組みのユニット。
 ドラムはパッドを合わせたセッティングで、メロディアスなフレーズをリズムの合間に挿入するところが効果的だった。

 基本はかなりハード。せわしないビートで、ころころ曲のリズムを変える。
 ただ、全般的にポップな肌触りがした。
 ドラムのビートにまとわりつくように、ベースがリフを刻みつつソプラノで喚くように歌っていく。
 
 ドラムのAKEMIが、手数多く叩きながらコーラスを乗っける。
 二人の声がピタリとハモった時が、かなり気持ちいい。
 スピード感と親しみやすさのバランスがとれたバンドだった。

 演奏はたぶん、1曲づつ区切りを持って演奏していたと思う。
 その場で買ったデモCD−Rに入ってた曲、「12」も確か演奏してたはず。

 ワンマンで聴くには、もう一歩インパクトが欲しいけど。
 彼女らの演奏があっというまに終わったように感じるほど、音にのめりこめた。

マッハデシリットル(20:35〜20:55)
(スギ(b&Vo)、ミヤマ(g)、ウキ(ds))


 本日の主催者。てっきりトリを飾るかと思っていた。
 ルインズに敬意を表した格好か。

 ギターがエフェクターを通し、シンセ風の太い音を使ってたのが、まず印象に残った。
 
 ルインズを除けば、本日のバンドたちの中で一番ステージ馴れしていた。
 ベースはステージをあちこち駆け回りながら歌い、表情一つも気を使っているのがわかる。
 
 音は整然とリズムを決めていき、コミカルな要素が強いバンド。
 ただ、そのギャグセンスがいまいち僕には合わなかった。
 なんとなく、内輪ウケっぽいおちゃらけに見えちゃって。ごめん。 

ルインズ(21:10〜21:35)
(吉田達也:ds、vo、佐々木恒b,Vo)


 さて、やっとこさぼくの最大の目当て、ルインズの登場。 
 吉田がステージに登場し、念入りにタムのチューニングをはじめる。
 鳴りを確かめつつ叩くドラムの手数がすでに多い。
 タムのピッチはカンカンに上がっていく。

 佐々木はいつもの5弦ベース。小学校で使うような椅子にエフェクターを積
む、シンプルな配置。
 ぐいぐいライブへの期待が高まって行った。
 
 冒頭に吉田が「トラブルがなければ、20曲続けて演奏します。聴きたくなかったら別ですけど・・・」って、ボソッとつぶやく。
 演奏はしょっぱなからトップギア。
 二人の音がショーボートのなかを埋め尽くした。
  
 最初の曲は「クラシック・メドレー」。
 冒頭のMCどおり、次の曲へそのままノンストップで突っ走って行った。
 本日のバンドたちと比べても、やっぱり手数が一番多い。

 めまぐるしくタムを叩き、ハイハットを刻む。
 シンバルを片手でミュートするしぐさすら、めちゃくちゃかっこよかった。
 音量はさほどでかくないけれど、ちょっと音が回ってたのかな。
 細かいタム回しが聞こえづらかったのが残念だった。

 結局最後まで、ひとときも休まずライブが続いて行く。
 「Pallaschtom」「Snare」「Schvostess」などをやってたっけ。
 他に聞き覚えある曲もやってたけど、曲名がぱっと頭に浮かびませんでした。
 「Schvostess」ではシャウトを折込むなど、よりハードに、よりタイトにアレンジを変更していた。

 もちろんまったく聞き覚えのないフレーズが続くときもある。新曲だといいな〜。
 途中、互いに視線を交錯させ、探り合うようなコール&レスポンス式でプレイする瞬間もあった。
 もしかしたら、インプロを折込んでいたのかも。

 今夜は二人のシャウトが控えめ。
 そのぶん猛烈なテンションで、ひたすら音をばら撒きつづけた。
 吉田の額から汗が噴出す。だけど手数はまったく変わらない。
 終盤までまったくペースが変わらぬ、恐ろしい迫力のライブだった。

 エンディングを迎えたとたん、さっと二人はステージを降りる。 
 アンコールを期待したけど、そもそも観客サイドからの拍手もなかった。
 ルインズはそのままバラシをはじめてしまう。
 一時間きっちり位演奏してもらえると思ってただけに、ちょっと拍子抜けだった。

 そんな感じで、今夜のライブは終了。
 最後までスタンディングだったから、体力的にはしんどいもんがあったけど。
 ずうっと続く変拍子のビートで頭の中の雰囲気もしゃっきりし、いい気分転換になったライブだった。

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