LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

01/5/20   調布 GINS

出演:ドンバ
 (泉邦宏;as,ss、不破大輔:b、植村昌弘:ds、関根真理:per)


 観客がとにかく少ない・・・総勢四人。まさにプレイヤーと一対一状態。
 これってプレイヤーはしんどいだろうなあ。
 もっとも僕は演奏が始まるなり、あっという間に夢中になってしまった。
 そのくらい、この夜は気持ちいい音楽だった。
 こんな動員だったのに、すばらしいライブをしてくれたメンバーへ心から感謝したい。

 ぞろぞろとステージに降りていった(このライブハウスは、店の半地下がステージになっている)のは、8時ちょいまえ。
 ギターのさるへんは欠席。
 泉はぎっくり腰とかで、身体を曲げるのも辛そうだった。

 まずは鳴りのいい音で、リズム隊が邦楽っぽいリズムを叩く。
 泉は竹の縦笛を持って、ぴーひゃらソロを吹き始めた。
 ベースはいまいち音が小さめで残念。

 しばし軽快な邦楽風リズムでセッションして、おもむろに泉がアルトサックスを持ち、テーマのメロディを吹き始めた。
 一曲目は「おまつり」。

 ぷくっとふくよかで張りのある音色のサックスが鳴り響く。
 びたびたっとタイトにテーマを決め、サックスソロに雪崩れ込んだ。
 この瞬間がしこたま気持ちいい。

 叩き物の二人は、対話のように細かなフィルを交互に繰り出す。
 ビートはくっきり提示され、次々におかずが変化する。
 その二人を、不破ががっちり低音でフォロー。
 派手なソロこそないが、指は休みなくネックの上を動き回り、すさまじくノリのいいグルーヴを作り出していた。

 その上で泉がひとときも休まずにサックスを吹きまくる。
 彼の音色は透き通っていて豊か。
 あまりサックスを軋ませもせず、なめらかな旋律が零れ落ち続けた。
 途中で泉は縦笛に手を伸ばす。
 さまざまな笛をとっかえひっかえ。時には二本吹きも披露していたっけ。

 リラックスした演奏なのに、聴いていて一瞬たりとも息を抜けない。
 全員が常に見せ場を作りつづける。どこもかしこも聴き応えあるプレイだった。
 視覚的には、やっぱり関根のパーカッションかな。
 ずらりとまわりにさまざまな太鼓を並べて、矢継ぎ早なつるべ打ちがかっこいい。

 「おまつり」だけで30分近くやっていたと思う。
 続いては「Party in the basement」。この演奏も最高。
 泉は不破と交互に口で合いの手を入れつつ、テーマを吹いていた。

 植村・関根のリズムは微妙にベースとアクセントをずらし、複合リズムになって多彩に泳ぐ。
 ぼくが座っていたのは、関根のすぐ横。
 細かなパーカッションの鳴りも比較的聴こえ、よけい楽しめた。

 この曲では植村が確かソロを取ったはず。
 小さ目のタムふたつに、フロアタムとスネア。
 どの太鼓もきれいに鳴って、メロディアスなソロだった。

 植村はハイテクニックのわりに、あまりテクニックをひけらかすようなソロを取らない。
 そのかわりさまざまなリズムパターンがどんどん変容していくドラムソロで、えらくポップ。

 この曲も20分くらい。前半はわずか二曲だったが、そのぶん密度の濃いプレイだったと思う。

 休憩をはさんで一曲目は、これまた泉の曲でfO!GO!」。
 演奏前に泉がリードを交換する。
 その間に不破がエレキベースを遊び弾きし、植村と関根がそっとあわせていった。
 泉もマウスピースをネックにはめ、演奏に加わる。 

 しばしフリーにどがちゃがプレイした後、テーマへ展開。
 この曲ではテーマの途中でリズムをくっきり変化させ、後半部分には怒涛の連打で突き進むアレンジだ。

 泉のソロになっても不破と植村の目配せ一つで、ビートは唐突に激しい四つ打ちで突っ走る。
 リズムが変わるたびに泉はサックスからホイッスルに持ち替え、高らかに吹き鳴らしていた。
 急なリズムの変化で時に戸惑いつつも、さらりと演奏にのっていく関根はさすが。
 ヘヴィーにタムと二枚重ねのハイハットをがしがし叩く植村を見ながら「植村が今度やる予定のデスメタルって、こんな感じかな〜」とぼんやり思っていた。

 この曲は、アレンジのせいもあってスリリングだったなぁ。
 泉は途中でソプラノサックスに持ち替えて、さらにかろやかにソロを披露していた。

 次の曲は聴き覚えがあるものの、曲名が浮かばない・・・。
 ミドルテンポのとぼけたメロディだったような。
 ここでの聞きものは、不破のベースソロ。

 ソロを続けていた泉がフレーズを変化させつつ「聖者が街にやってくる」のメロディにつなげた。
 泉がふっとマウスピースから口を離す。
 瞬間、植村と関根のリズムがピタッと揃ってブリッジ。
 そこへ不破のベースが滑り込む。
 早弾きは控えめだったが、ぶんぶん唸る低音が生き生きしてすばらしいソロだった。

 後半は各曲、15分くらいの演奏。
 最後の曲も曲名不明です。
 今夜のステージ中、一番ジャズっぽいメロディだった。
 中盤の植村・関根二人によるパーカッション・ソロが一番の聴き所かな。
 あるときは交互に、あるときは揃って。リズムの応酬が、とびきりいかしてた。

 最後は各自のタイトなフレーズが折り重なって大団円。
 メンバー紹介のあと、あっさりライブが終了した。
 アンコールも聴きたかったけど・・・さすがにこの人数じゃアンコールをお願いするのは、ミュージシャンに失礼だろう(苦笑)

 こんなにかっこいいサウンドのに。なんでドンバは動員がないのやら。謎だ。
 渋さ知らズだと、あれほどメチャ混みになるのにな。
 たった4人で聴くのがもったいない、充実したライブだった。

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