LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

2001/2/17  赤坂 ブリッツ

出演:J Mascis + The Fog,ナンバーガール

 ブリッツに行くのは初めて。寒空にえんえんと待たされるのはつらかった。
 たぶん600人以上入ったんじゃないかな。一階席はびっしりだった。

 今回はフルスタンディング方式。
 みんな開場したときはビールを飲んでくつろいでいる。
 僕の整理番号は280番台だったけど、その気になれば充分に最前列をキープ可能。
 ところが、なんかやな予感がして、一ブロック後ろのスペースを確保。
 (そして、予感は見事に的中)
 
 ぼけっとフロアで待っていると、開演するまでひまでしょーがなかった。
 みるみるうちに、最前列のブロックが埋まっていく。みんな軽装。
 ぼくもめずらしく、上着と荷物をロッカーにぶち込む。
 普段は終演後の混雑がいやで、ひざに抱えているんだけど。

 そうこうしているうちに、開演時間。
 時間きっかりに、ナンバーガールが登場した。

ナンバーガール(19:00〜19:45)

 いきなり観客が熱狂。人気あるバンドとはいえすごいなあ。
 ぼくは聴くの初めてなので、観客の毒気にぬかれてしまった(苦笑)
 ギターが「福岡からきたナンバーガールです」と挨拶して、いきなり演奏になだれ込む。
 最前列の客がぴょんぴょん激しく跳ね始めた。
 かぁなりボリュームがでかい。終わったときにはすでに耳鳴りしてたもの。
 シンプルなパンク・ギター・バンドだった。

 ライティングは、かなりこっている(Jのステージ以上かも)。
 曲の編成に合わせかなりひんぱんに、かつ効果的に切り替えていた。
 主役はg&vo役の向井。
 ギターをかきむしりながら、きびきび見得を切る。
 ステージ馴れしてるなあ、さすが。
 顔をゆがめて絶叫するスタイルは、たしかに目を惹きつけた。

 ボリュームがでかいせいか、歌声はよく聴こえない。
 どんなメロディか、いまひとつわからなかった。
 それにしても。他のメンバーは、かなり印象が薄い。
 向井のワンマンバンド、って感じだ。
 ・・・と冷静に書いてるけど。演奏中は、どしゃめしゃに暴れまくるファンから身を引くのに忙しかった。
 ラッシュ状態なのに、がんがんぶち当たってくるんだもん(笑)
    
 ナンバーガールは曲間をほとんどあけず、立て続けに曲を演奏しつづける。
 全部で10曲くらいやったんじゃないかな。
 間延びせずあっというまに時間がたつ。
 一曲目から観客はヒートアップ。すぐにダイブまで飛び出した。

 ほぼMCもなし。さんざん観客を盛り上げて、さっと引く。
 見事なオープニング・アクト振りだった。
 スポンサーの名前までしっかりMCで織り込み、Jの登場を煽り立てたあと、観客にびっと指を突きつけステージを後にした。

J Mascis + The Fog(19:15〜20:40)

 のそのそっとJが登場。あとはベースとドラムのトリオ編成。
 こけおどしの演出はなにもない。
 ひたすら音を叩きつける、シンプルなステージだった。
 一曲目から、すさまじい勢いで観客が暴れまくる。
 ボリュームはステージ最初こそ控えめだったけど。
 尻上がりにばかでかくなっていった。

 Jは一曲ごとにギターを交換。
 音色を変えるだけでなく、カポをはめたりはずしたり。
 そのたびごとに、袖からローディがギターを持ってくる。
 マメさが妙に微笑ましかった。

 新譜だけでなく、ダイナソー時代の曲もプレイ。
 カバーもあったようだが、僕が知らない曲でした。
 すっごい混乱で、いまいち記憶があいまい・・・とほほ。

 Jの喉は、ライブで聞くとかなりしっかりしている。
 へなへななのは間違いないけど、ピッチはそれほど気にならない。
 さすが、ライブで鍛えてるだけあるなぁ。

 ベーシストもパワフル。
 音はもこもこで聴こえなかったけど、何曲かでボーカルを取る。
 数曲ではJの着実なギターにのって、熱唱していた。

 いまいちだったのはドラム。とにかくリズムがとろい。
 ハイハットを多用するから、高音ばかり耳につく。
 たぶんPAのせいもあると思う。 
 だけど、明らかにテンポがどたばた遅れていくから、しまいにはむかついてきた(苦笑)

 Jはノリでテンポを揺らせる。レコードよりも、あきらかにアップテンポな展開が多かった。
 曲によっては演奏中でもどんどん突っ込んで、テンポが速くなっていく。
 ワンコーラスごとに短くギターソロも挿入、つねにギャンギャンとギターをうねらせてくれた。
 
 とまあ、冷静に聴いていたぼくを尻目に、観客はどんどんテンションを上げていく。
 つぎつぎダイブが飛び出し、混沌としていた。
 意外だったのは、こういうライブだとだれも拍手しないんだね。
 曲が終わっても拍手はぱらぱら。
 腕をつきあげたり、吠えたりはするけど・・・。

 Jは観客の熱狂など、どこ吹く風。
 ほとんど煽りもせず、淡々と曲を演奏していた。
 ベーシストにボーカルを任せて伴奏してたときは、楽しそうにギターを弾いてたなあ。

 ぼくが一番楽しみにしていたのは、Jの豪音ギター。
 ダイナソーのシングルのカップリングで聴けるような、でっかい音でメロディアスなノイズを垂れ流すところ。
 その点からみると、前半のギターソロは控えめで物足りなかった。
 
 一番堪能したのは、エンディング近くに演奏した「アマリング」。
 えんえんとギターから爆音を引き出し、メンバーとアンサンブルで盛り上がっていく。
 あの瞬間が、ぼくにとってはハイライトだったな。

 ステージが終わっても、観客からのアンコールの拍手は少ない。
 大騒ぎしていたのに、腕組みしてつったってるだけ。
 かえって、静かに聴いていた人のほうが、ちゃんと拍手していた。
 最近のライブの観客はこうなのか、と驚きだ(ああ、オヤジくさ・・・)

 しばらく待たせて、Jが再登場。
 ギター以外に、首からキーボード(シンセかな)をぶらさげた。
 最初は鍵盤が下を向いた状態で準備する。
 どうやって弾くのかなあ、と思ったら。
 単純に方向を間違えてるだけだった(笑)

 首に再度キーボードをぶらさげなおして、仕切りなおす。
 ツマミをねじって、ホワイトノイズを噴出させた。
 爆音がブリッツの中に広がっていく。

 そこへ新たにステージへ、金髪の男性が登場。
 いきなりギターを弾き殴る。ふたつのノイズが混ざり合う。
 最初は彼がだれだかわからず、ぽかんと見てたけど。
 途中で正体に気がつき、大喜びで彼の演奏を聴いていた。

 Jはギターとキーボードを交互に弾く。
 飛び入りギタリストはJにあわせるでもなく、髪を振り乱しながらひたすら暴れる。
 エフェクターでぐしゃぐしゃに変形させた音色を、休みなくノイジーに吐き出していた。

 演奏が終了すると飛び入りは、さっと袖にひっこんでしまう。
 それまで彼がいた空間を指差し、Jがさりげなくメンバー紹介。
 「サーストン・ムーア!」

 さらにアンコールの演奏は続く。
 ダイブ大会となり、すさまじい盛り上がり。
 どしゃめしゃにノイジーな音を振りまき、ステージは終わり。
 大迫力の演奏だった。

 ロッカーへ向かってみると、汗みどろな観客が目に付いた。
 耳は豪音でキンキン言っている。
 ここんとこ座って聴く機会が多いし、演奏以上に観客の盛り上がりが新鮮なライブだった(笑)
 演奏はもうすこし、じっくり聴きたかったな。

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