LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

01/1/23   西荻窪 アケタの店

出演:緑化計画

   (翠川敬基(vc)、片山広明(ts)、早川岳晴(eb)、石塚俊明(ds)
    ゲスト:長見順(G)、北陽一郎(Tp)
    飛び入り:岡地曙裕(Dr)芝草怜(P))

 緑化計画のライブを聴くのは、半年ぶりくらいかな。
 リハを終えてどこかに行っていたメンバーは、8時くらいにのっそりとアケタに戻ってきた。

 おもむろにステージに上がり、演奏が始まったのは8時15分くらいかな。
 片山はビール、翠川は水割りらしきものを横に置いて、リラックスした雰囲気でライブはスタート。

<セットリスト>
1.ウズペ
2.フルフル
3.オホン

(休憩)

4.コントアローン
5.メノウ
6.ナナ
7.イズミール

 まずは「ウズペ」。翠川のチェロ独奏で、おごそかに始まった。
 最初は弓でロマンチックなメロディを奏でる。
 ひとしきり弾いたあとに指で弦を爪弾き始め、バンドのメンバーが音を重ねていった。
 おもむろに、片山のソロ。かっこよかったなぁ。

 このしょっぱなに演奏した「ウズペ」が、今夜のステージの中で一番僕の耳にぴったりきた。
 それぞれの楽器が互いに絡み合い、すばらしくふくよかなムードを作り出す。
 フリーだけれども、フレーズには旋律感を常に感じさせた。
 てんでに演奏を重ねながらも、互いのメンバーの音に反応して微妙に演奏が変化する。

 ひりひりするような熱いテンションで、盛上げていくのとは違う。
 ステージのまわりに音を漂わせ、ふんわりと浮かび上げていくようなサウンド。
 どんなふうに演奏が展開していくのか予想できず、耳を離せない刺激がいっぱいだった。

 石塚はドラムセットの横に、ドラムパッドをセッティングしていた。
 どちらかといえばパッドをメインに叩き、多彩なサンプリング音を鳴らす。
 したがって、リズムのメインは早川のベースだ。
 低音でどっしりとしたメロディを鳴らし、ビート感を持続。

 そこに石塚が突っ込みがちなテンポで、パーカッション風のリズムでちょっかいをだす。
 さらに片山と翠川が、きれいなフレーズで音を巧みに踊らせていた。
 北はやはり控えめな演奏。
 もっと前面に出てソロをとってもよかったのでは。

 長見はピックを使わずに、エレキギターを爪弾く。
 彼女が音を鳴らしたとたん、サウンドがフリーよりに傾いていたっけ。
 アンプの音が大きいせいで、バンド全体のバランスが崩れる瞬間があり残念。

 今夜は翠川のチェロの音が、くっきり聴こえてうれしい。
 以前聴いたライブでは、かなり音が小さかく物足りなかったから。
 とはいえ他の5人が音を同時に出すと、さすがにチェロの音は埋もれてしまった。

 二曲目では中盤でフリーに。
 翠川は弦だけでなく、チェロのスタンドまで弓弾きしていた。

 第一部の演奏は45分ほど。もう少しいっぱい演奏して欲しいなぁ。
 緑化計画の音は、長時間聴けば聴くほど気持ちよくなれそう。
 
 第二部には飛び入りが二名。
 ピアニストの芝草は、長見のバンド仲間らしい。
 ドラムに岡地が座った為、石塚はドラムパッドのみをピアノの横に引っ張り出す。

 演奏が始まると、もはや石塚は自由奔放な状態。
 リズムを刻むのは、ほとんど他のミュージシャンに任せる。
 スティールドラムの風の音色で、「どうだ〜!」ってニコニコしながら、メロディ的なソロも叩いていた。

 ピアニストの芝草は、フリージャズを弾くのが初めてとか。
 そのけいか後半一曲目は、かなり自由な構成の曲だった。
 まずはベースがソロでテーマを提示する。
 あとはてんでにミュージシャンがソロを重ねていき、どしゃめしゃに展開していった。

 もうだれがメインのソロで、誰がバッキングなのかわからない。
 リズムすらポリリズミックになる。
 混沌とした演奏は、20分くらい続いたんじゃなかろうか。

 次に演奏した「メノウ」は、逆に短め。5分くらいかな。
 そのかわり翠川が自分の音世界へ、力技で持っていく。
 チェロのソロを全面的にフューチャーし、幻想的でいかした演奏だった。
 僕個人としては、こういう演奏をいっぱい聴きたいな。
 翠川の優しい音と、片山の力強いソロの対比が心地よいから。
 
 三曲目の「ナナ」は長見の持ち歌。
 立ち上がって、ギターをかき鳴らしながらコケティッシュに歌う。
 ムードはジャズっぽい。ウィスパーボイスで、英語の詞をのせた曲。
 中盤で芝草とハモるところが耳に残っている。
 そういえば、この曲だけバンドの音が一変。
 ここまでのフリーな演奏は曲が始まったとたんに、音が急にかちっと上品にまとまってたな。
 
 ステージの最後は、再び翠川の曲で締める。メロディが中近東風の曲。
 ここに来て3人のリズム隊による、ビートの対比を凄く感じた。
 岡地のドラムは、重たく引きずるリズム。
 石塚はマイペース。突っ込み気味でドラムパッドを派手に叩く。
 そして早川がきっちりジャストなビートで、ベースを弾いてるように聴こえた。

 だから自然に、ビートがポリリズミックになる。
 とはいえ聴いていて、リズム感が混乱して戸惑ってしまった(苦笑)
 片山が北に合図しながら、なんどもなんどもテーマをリピートして、曲を盛りあげる。
 そのおかげでメリハリが効き、楽しめるプレイになった。

 芝草もフリージャズの雰囲気に慣れたのか、チャンスを捕らえて演奏に参加していたかな。
 ピアノの音が小さめで、ちょっと聴こえづらかった。  

 後半のセットも一時間くらいで終了。
 5月あたりには、総勢30人くらいの緑化を予定しているとか。
 それも面白そう。だけど4〜5人での音も魅力的だよなあ。
 緑化は月に一回、アケタで定期的にライブをやっている。また聴きに行ってみようかな。

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