LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

00/12/27  高円寺 ペンギンハウス

出演:赤天+知久寿焼(from たま)
   
(吉田達也:ds、Key、etc.、津山篤:b,g,etc.)

 
今日ははじめて行くライブハウスで、開演時間のタイミングがよくわからなくて困った。
 たいがいライブハウスって「開演時間」の30分押しが相場だけど・・・。

 いちおう開演時間の19:30に到着を目処にして、仕事をなんとか終わらせる。
 観客はぎっしり満員。30〜40人くらいいたのかな。立ち見まで出ていた。
 ルインズの佐々木も観客として登場。
 店の奥からステージを、ビデオで撮影してたっけ。

 吉田は一度食事か何かで、外出していた。
 戻ってきたときには、大根を一本ぶら下げている。
 「お〜。買いたてほやほやの楽器だ〜」ってワクワクしながら見ていた(笑)
 
 演奏が始まったのは、結局八時くらい。
 二人はのそのそと、観客席からステージに上がった。
 まずは赤天の二人だけで演奏を始める。
 
 第一部は比較的短い曲が中心。
「メッセージ:結婚編」「中央線快速編」を口火に、どたばたと始まった。
 吉田はドラムセットの左側にフロア・タムを置く。
 スペースが空いた右手には、キーボードやサンプラーを置き、バスドラの上にはエフェクターのようなものを置いていた。

 津山は曲ごとにベースやギターを持ち替える。
 基本のMCは津山が話すが、うつむき加減でぼそぼそ話すので、なんとも脱力気分。
 ぼやき漫才みたいな、のんびりした進行だった。

 赤天は、ぴりぴりしたムードで聴くもんでもないだろう。
 ビールでも飲みながら、リラックスして聴くのがぴったりだと思う。
 とはいえ今日は混み混みだったので、観客もほんのり真剣モード。
 津山自身に「いや、そんな真面目に聴かんでもええですよ。もともと吉田さんのリフレッシュで再結成したバンドですし」とか苦笑してたっけ。

 「卵めん」「セミ」と続き、「レコードカンパニー」で打ち込みが登場。
(吉田達也いわく「打ち込みでは変拍子がやりにくい」とか)
 「百貨店」では、そごうに捧げられた。
 「高島屋〜♪そごう・そごう・そごう♪」って、三拍子にブレイクするところがめちゃくちゃ面白い。

 ライブの進めかたは、いたってのんきなもの。
 「次なにやろうか?」って相談しながら、いいかげんに決めていた。

 第一部の聴き所は、「大根おろし」「歯ブラシ」「カメラ」の「日用品楽器シリーズ」三連発。
 「大根おろし」は、吉田が差し出した大根を、津山が頭突き一発でへし折る。
 大根おろしにマイクをつけて、すりおろす音をパーカッション代わりに演奏が始まった。

 ところが、短めに折れたほうの大根で演奏を始めたから、歌っているうちにみるみる大根が短くなってしまう。
 こまめにすりおろす位置を切り替えながら演奏していたが、どんどん白いところがなくなっていく。
 曲が終わる前に全部すりおろしちゃうんじゃないかと、ちょっぴりはらはらしながら聴いていた(爆)

「歯ブラシ」は、歯ブラシに、マイクをくっつけた。
 エフェクトで加工して、アナログレコードのスクラッチみたいな音を作り出す。
 吉田は前歯だけでなく奥歯もきちんと磨いて(笑)、高速リズムを奏でていた。エフェクターのツマミをいじり、ピッチをちょこちょこ変化させる。
 津山は用意の水でうがいをして、彩りを添える役。
 素早いタッチの歯磨きが、しこたまいかしてたなあ。

「カメラ」はシャッター音がかなりでかく響いて、ちょっと耳ざわりだったのが残念。
 やっぱり生音+αくらいの音量で、ささやかに聴きたいな。

 最後にニューアルバムから「味噌」、セカンドから「ガムラン」を演奏して、第一部は終了。
「ガムラン」で演奏のベースとなる、リズムボックスのテンポは高速テクノだった。
 従いあわせる二人の手数も自然と多くなる、にぎやかでいい演奏だった。

 休憩時間には「吉田製麺謹製:卵めん試食会」が催される。
 といっても、紙コップに一玉くらい。腹いっぱいに出来るほどはないけどね(まあ、当然かぁ)。

 第二部は比較的演奏時間を長めに取った曲が多い。
 まずは「ワイン」で開始。当然のことながら、本物のワインを準備。
 サンプラーで栓を抜く音や、グラスに注ぐ音をシンクロさせる・・・はずが、いまいちずれていて笑いながら演奏していた。

 吉田の演奏するリズムパッドに乗って、津山はくぴくぴ飲みながら歌っていたっけ。
 大阪で数日前に演奏したときは、飲みすぎてべろべろになったとか。

 続いては「野鳥」シリーズ。去年アメリカでツアーしたときにうけたという、英語版のMCで演奏した。
 ホトトギスは「ジミヘン版」で演奏し、イントロで津山が派手なギターソロを奏でる。
 で、いきなり演奏を止めて「・・・なんて鳴くんだっけ?」。全員が大爆笑していた。
 あ、ジミヘンらしく歯でギターも弾いてたなあ。

 「そろばん」は「一級編」。なのにいきなり二人とも、「三級編」で演奏を始めしまい苦笑してたけど。
 最後の「ご破算で願いましては」の質問に、観客席にいた知久が答え、ステージに上がっていった。

 まずは「海」で三人体制の赤天が始まる。知久は「海の馬鹿やろ〜」とか「ざっぱ〜ん。・・・東映」とか細かいギャグを入れていた。
 続いては知久の持ち歌で「らんちう」。
 イカ天時代に、たまの演奏を聴いたことある気がする・・・。
 吉田はダラブッカ(プラスチック製のジャンベみたいな楽器。底が抜けてて、手を突っ込んでピッチを変化させられる)やリズム・パッドで伴奏していた。

 そして第二部の聴き所「ペットボトル」。
 吉田は細長いペットボトルでリズムを奏でる。これが素晴らしい演奏だった。
 指先で軽く叩いているだけなのに、多彩なリズムが流れてびっくりした。
 津山は3本くらいのペットボトルをガムテープでくくりつけ、パンフルートみたいに吹きながら歌っていた。

 圧巻だったのが知久。
 小さ目の紙箱に発泡スチロールを糊付けして、ペットボトルの蓋を3個ほど突きさす。
 その手作り工作に、コードをくっつけた楽器(?)だった(笑)
 大阪のイベントへ出演時に、周りのミュージシャンがエフェクターのつまみを操作していたのがうらやましくて、自分でもやってみたかったらしい。

 コードは鼻や耳の穴に差込み、口で「みよ〜ん」「どばばば〜ん」「ぎゅおーん」と歌っていた。
 ペットボトルの本体も差し込んで、テルミンよろしく手を近づけては「びゅお〜」「ずば〜」とかも言ってたなあ。

 ところが、演奏に熱がこもるとコードがぽろぽろ抜け落ちる。
 そのたびに慌ててコードを拾い上げて、鼻の穴に差し込んでいたっけ。
 しまいに楽器(?)からぼろぼろ蓋が落っこちて、破壊状態になっちゃってたけども。

 ふたたび知久の歌「いわしの子守唄」(吉田のブラシ演奏がかっこよかった)を挟み、「ジッパー」につづく。
 共演が決まったとき、知久がまっさきにやりたがった曲だそうな。

 だぼだぼなズボンのファスナーに、知久はマイクをくっつけてプレイする。
 吉田がエフェクターのツマミをいじりながら演奏しているのを見て、知久が「またツマミが・・・」と、ぼそっと言ってた(笑)

 三人赤天のラストは中央線。
 吉田と知久がアヴァンギャルドにわめく、にぎやかな演奏だった。
 最後は津山と吉田で、即興を一曲演奏。
 津山はギターとベースの、吉田はドラムとキーボードの同時演奏だ。
 テンション高くワイルドな即興を、最後にどかんとぶちかましてくれた。

 アンコールには、知久も加わって「水洗便所」。
 これはちょっと・・・リズムがとっちらかって、めろめろの演奏だったなあ。

 赤天ははじめて見たけど、いや〜、面白かった。
 ギャグ満載でおふざけすれすれの演奏は、とにかく楽しいです。

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