今お気に入りのCD(番外編)

CDじゃないけれど、見に行ったライブの感想です。

2000/10/17   新宿 新宿PIT-INN

 
Lunatic Fringe!!
 <さがゆきバースディ・スペシャル2000>

 僕がさがゆきを知ったのはボンデージ・フルーツのメンバーとして。
 現在は脱退してしまったが、鬼怒無月と勝井祐二による迫力ある演奏にまったく引けを取らずに朗々と歌声を聞かせていたのが印象に残っている。

 今回は誕生日スペシャルということで、変則的な編成でのライブを開いた。
 Vox3,Drx2,Gx1,Saxx1。・・・それに女性コーラス隊が14人。
 もしかしたら、オペラチックなプログレを聞かせてくれるのでは、って今日のライブを楽しみにしていた。
 編成から言っても、一回こっきりのライブだろうし。

 ちょっと仕事が揉めてるから、無事に行けるか心配だったけど。
 なんとか都合をつけることができたよ。
 とはいえ、なかなか綱渡りだったな。19:30開演で、新ピに着いたのが19:35くらい。最後は半分駆け足で新ピへ向かった。
 「頭の部分は聴き逃したかなぁ」
 悔しがりながら階段を下りていったら・・・まだ開場すらしてなかった(笑)
 
 客の入りはそこそこ好調。コーラス隊が多いし、身内がかなりいるのかも。
 もっとも僕はひとりで行ってたから、すかさず前から三列目の席を奪取。
 すきっ腹でビールを控えてた上に、タバコを切らしてたから開演まで間が持たなくて困った。

 チラシを眺めたり、ステージを見つめたり。
 そうそう、開演前のライディングがかっこよかったな。
 ・・・まずはステージ中央に真っ白なピンスポットがすぱっと刺し込む。
 すぐにライトが切り替わり、赤のピンスポットがステージ上手を照らす。
 
 こんどは下手へ、一筋の青く切り替わった明かりが振られる。
 一筋の明かりが、色を変えながらステージのあちこちを順番に照らし出し、最後にゆっくりと青い明かりが二本、ステージ壁を映し出す。
 そしてそこには「PIT−INN」のロゴ。
 ・・・同時に客電が落ちて、ライブが始まった。
 
 さて、第一部の編成はこんな感じ。
 さがゆき、東京ナミイ、久保田安紀(以上、Vo)にイトケン、植村昌弘(以上、dr)に原田仁(g)がステージに上がる。
 
 Voの三人が人間リズムボックス風に、スキャットでリズムを歌い始めた。
 音程はぴったり合って気持ちいい。歌声が絡み合い、複雑なビートを奏でる。 
 さがの合図でバックも静かに加わっていった。

 今回のライブは、すべて新曲だそうだ。
 二曲目は「テラ・インコグニタ」。原田はステージに座り込んで、ディジリドゥを吹き出す。
 ここからサックスとして早坂紗知が加わる。
 この曲では、ソプラノサックスを吹いてたっけ。
 
 第一部は、けっきょく7曲くらいやったのかな。
 ヴォーカルは基本的に歌詞がない。のびのびと喉から声を出している。 
 残念だったのは、三人とも前に譜面台を置いていたところ。
 顔が隠れてしまうのと、声が通らなくなってしまうから・・・。
 ここで一番ステージ映えをしていたのは東京ナミイ。
 今は活動の拠点をサンフランシスコに置いているとか。
 ポーズの一つ一つがびしっと決まっていて、ステージ馴れをしみじみ感じた。

 演奏で面白かったのは、4曲目にやった「ヴォーカル・ドライブ」(だったかな?今ひとつ記憶が・・・(苦笑))。
 静かでなめらかな演奏を、サックスをバックにゆったりと歌っていく。
 ところが、さがのハンドキューでフリーな演奏が爆発。
 さらに合図一つで、また静かな演奏にすぐさま変化する。
 静と動のメリハリを効かせた曲は楽しめた。

 全般的にメロディはあるものの、それよりもヴォーカルの雰囲気で聞かせる曲が多かったように思う。
 バックの演奏の音が小さくて、迫力に欠けてしまったのは残念。
 一部の最後は、ドアーズの「ハートに火をつけて」のサビを高速に繰り返すアレンジを施したカバーで終了。
 ちなみに最後の曲は、半分オリジナルかも。MCで「東京ナミイが作詞した」って言ってたし。
 正味45分ほどのステージだった。

 30分ほどして、21:15頃に第二部開始。
 こんどはステージ左右にずらっとコーラス隊が並ぶ。
 ただ、いかにも素人っぽい子が多かった。
 まずはフロントのヴォーカル三人をフィーチャーした曲。
 楽譜と首っ引きで、ゲール語(?)の歌をめまぐるしいスピードで歌う。

 読み終わった楽譜をかたっぱしから、さがが歌いながら床にほおり出していたっけ。
 コーラスの面々はカズーで参加していた。
 10人以上がカズーでメロディを吹き鳴らすのは、なかなか迫力あったな。 
 続いては、歌詞無しの歌声でゆったりしたメロディをコーラス隊も加わってハモっていく。ブルガリアン・ヴォイスのような不協和音を、ピッチをそろえて見事に合唱していくのは素敵な瞬間だった。
 
 で、ここからステージの雰囲気がのほほんに変わっていく・・・(^^;)
「知ってる人もいるんじゃないかな?三曲続けてやります」ってさがのMCで始まった演奏は、思わず苦笑してしまった。
 一曲目が「狼少年ケン」のテーマ。
 二曲目が「どろろ」で、三曲目は「ガボテン島」だったかなあ。
 後半二曲は初耳なので、いまいち記憶があいまいだけど。

 アレンジこそひねったタイトなものだったので、単なるアニカラになってはいないけど。
 なんとも中学校の学芸会みたいな、お気楽なムードが流れてしまう。
 耽美的なプログレを期待してた僕は、どうにも腰砕け状態だった。

 しかし、コーラスを操るさがは見ていて楽しい。
 単純にコーラスさせるのではなく、ハンドキューでタイミングよく演奏や歌を止めたり動かしたり。 
 コーラス隊やミュージシャンに、きっかけのハンドキューをぐるりと見せては振り下ろす。
 そのタイミングにピタリと合って音楽が切り替わっていく様は、コブラを思い出させた。

 第二部もあっというまに終了。一時間もやってなかったと思う。
 拍手を送っていると、めずらしくアンコールが始まる。
 演奏を始めたのは・・・「ひょっこりひょうたん島」のテーマ(笑)
 最後の最後まで、ほのぼのムードで攻めたライブだった。

 アンコールが終わり、さがが楽屋に引っ込もうとすると、コーラス隊がスティーヴィー・ワンダーの「ハッピーバースデイ」を歌いだす。
 袖からはバースデー・ケーキが差し出され、さがにはいっぱい花束が贈られる。
 そんないかにもバースデイ・パーティみたいな一幕もあったっけ♪

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