今お気に入りのCD(番外編)
見に行ったライブの感想です。
00/9/19 江古田 バディ
出演:フェダイン
ニ・三日あいまを置いただけで、またもやフェダインのライブに行った。
先日のナマステはリラックスしたフェダインだったけど、今回のフェダインはフル装備だ。
以前にここ、バディでフェダインを聞いた時と、基本的に編成は変わらない。
ドラムは1タムのシンプルなセットだけど、ベースはエレキとアルコの二本が置かれ、サックスはテナーにソプラノ、そのうえエレクトリックヴァイオリンも準備されている。
7時半の開演時間を20分くらい遅らせて、三人が舞台に上がってきた。
開演時間をきっちり30分遅らせて始めるのがフェダインの流儀だと思っていただけに、意外だったなあ。
まずは手慣らしのような音色のテナーをひとしきり吹く。音が鳴り始めたな、と思った頃に「梅六個」のリフが聴こえてきた。
不破はエレクトリック・ベースをひざに乗せる。
今日のフェダインは、どこか演奏がさびしい・・・。
手数は少なくないし、3人の演奏にも特筆するほど変わったところはないはずだけどね。演奏を聴いていて、距離を感じた。
二曲目では川下がエレクトリック・ヴァイオリンを手に取った。きらきら弾む弦を弾く音が、つぎつぎエフェクトをかまされて歪んでいく。しまいにはボトル・ネックを取り出して、ギター風のノイズをひとしきり聴かせた。
そして、第一部の聴き所が「カプリソ」。
曲の中盤で流れた不破のソロが、しこたまかっこいい。
大沼のタイトなリズムキープにのって、猛烈なソロを聴かせた。
長いフレーズは使わない。ドラムのリズムキープにのって、適時ソロを挟み込んでいく。
二小節リズムを聞いては、次の二小節で指を激しく弦で踊る。
不破はソロを引く瞬間では顔をゆがめ、唸りを上げながらベベベベベッとベースの弦をひっぱたいていた。ある瞬間は、まるで打楽器を演奏しているような、ハードタッチの音を響かせる。
僕はぐいぐい演奏に引き込まれていた。
一部の終わりは「TOKI」だ。
大沼がドラムセットを素手で、パーカッション風に叩くところから始まる。
二本吹きのテーマ・リフを高らかに川下が決め、ドラム・ソロへと雪崩れこんだ。このソロも手数が多くてかっこいいんだ、これが・・・。
きっちり30分休憩して、第二部が始まった。
不破はアコースティック・ベースに持ちかえる。
まずは、僕が大好きなフェダインのレパートリー、「海」から始めてくれた。
何度聴いても、混沌としたサックスのソロからリフに入っていき、ドラムのブレイクでテーマになだれ込む瞬間が、すばらしく刺激的だ。
中盤ではサックスの無伴奏ソロに切り替わる。
川下が激しく身体を前後させて吹き始めると、不破がおもむろにタバコに火をつける。
そういえば不破が足元のキーホルダーを取って、パーカッション代わりにちゃらちゃら鳴らしてたのが、妙に印象的だったなあ。
しばしの無伴奏ソロのあと、おもむろに不破がタバコを捨てる。
不破がさりげなく大沼に指で合図を送る。
指二本。ダンダンッ。指一本。ダンッ。
不破の指の合図で、ブレイクで川下のサックスソロを煽り立てる。
指二本。ダンダンッ。
そして不破が指でリズムをとり、するるっとリズム隊が演奏にハイスピードで滑り込む。
三人がそれぞれの楽器を駆使して、手数の多い音を溢れさせていた。
川下のサックスも、ステージが終盤に行くに従って太く甘くなっていた。
音をタンギングで区切らずに流れさせる奏法は相変わらず。音がつきつぎ流れる中で、ある瞬間にビブラートがとてつもなく美しく響く。
エレクトリック・ヴァイオリンに持ち替えたときもすごい。
エフェクトを何重にもかけて、ヘヴィなエレキギターの音とまちがうばかりだ。
やさしい音色から、フィードバックかリバーブのノイズにまみれた音にいつのまにか切り替わっていく。
エレクトリック・ノイズを響かせたままのヴァイオリンを無造作に床において、その残響音をバックにサックスに持ち替えていたりもしたっけ。
ステージの最後は、川下が再びエレクトリック・ヴァイオリンを手にとる。
弓引きをしながら、メンバー紹介をしてエンディングとなった。
こうしてみると、先日ここバディで聴いたライブと、基本的な構成はいっしょだ。曲順も似てる気がする。
だからこそ、その日のテンションによって、ステージの出来がだいぶ変わるだろうな。
そういうあいまいさがあってこそ、ライブは面白いんだけど。