今お気に入りのCD(番外編)
CDじゃないけれど、見に行ったライブの感想です。
2000/5/6 新宿 新宿ロフト
「Ethics For Further Midnight〜深夜の倫理〜」
出演:NULL、DIFFRANCE、MERZBOW、PSY−DOLL、RUINS、YBO2
5/6(土)21:00の開演時間を20分ほど押してステージは始まった。
新宿ロフト「Ethics For Further Midnight〜深夜の倫理〜」。
GWの最後を飾るにふさわしいすさまじいライブだった。
今回のライブの目玉は1986年頃に一世を風靡した、第二期YBO2の復活(Vo.b:北村昌士、ds:吉田達也、g:NULL)だ。これにゲストとしてメルツバウの秋田昌美がKEYで参加。
もっとも僕は、YBO2が正直言うと趣味じゃないので、今日の目当てはあくまでメルツバウであり、ルインズだったけども。
ロフトに入ったら、8月にリリース予定のルインズの新譜「パラシュトム」を早くも販売している。まよわず購入。このままライブを聞かずに、家にすっ飛んで聞きたくなったくらいだ。
今回は若い男女を中心に100人くらい来てたかな。客層が予想以上に若いから驚いた。往年のトランスギャルはほとんど見当たらなかった。
今日の観客はいったい誰が目当てなんだろなあ。
ステージ後にはDJブースがあり、開演前からでかい音でジャーマンテクノ(?)を流す。今日の僕の耳がどうなるか、早くも心配になってきた。
NULL(21:20〜21:50)
まずは黒のタンクトップに白のエレキギターを抱えたNULLの登場。初めてNULLを見たが、筋肉もりもりの巨漢だったとは。
いっきなりでっかい音で演奏が始まった。
ステージ中央にサンプラーのようなものを置き、バックでテクノ風の重たいビートにのって身体を揺らし、ノイズを撒き散らす。
ピックのかわりに音叉を持ち、ピックアップや弦を叩きながら滑らかな高音のノイズをばらまく。
ぎざぎざの鉄板の上を、300人くらいがいっぺんにワイヤーを巻きつけたスケートですべりまくる感じ。
つぎつぎ繰り出すノイズで、はやくもロフトの壁がずしんずしん揺れるのがわかる。もっともリズムがくっきりしてるせいか、ポップに感じる面も多少あり。
30分であっさり終わったステージの後、早くも僕の耳は耳鳴りが・・・(笑)
DIFFRANCE(22:20〜23:20)
えっらく長い時間をかけて、バンド転換が終わった。
次に登場したディファランスは、聞いてる最中は予備知識が無いバンドだった。
帰って調べたら、YBO2の北村昌士が率いる最新Gらしい。
もっともちょっと聞いたら僕の趣味じゃなかったので、つい雑に聞いてしまった。
Gが二本にds、あとは紅一点のリコーダーという、とっぴな編成。
とにかくvoがヘタ(よく考えたら、彼が北村のはずだ)だし、リコーダーはリズムもピッチも合ってないので、しばらく聞いたらイライラしてきた。
アイディアは面白いのに、テクニックが追いついていない感じかな。
3曲目かな?フォルクローレ風の曲はけっこう面白かったけども。
中盤からNULLがgとvoでゲスト参加。フランスやらイギリスの民謡をグランジ仕立てで歌っていたっけ。
正直、あんまりいい印象はもてなかった。
MERZBOW(23:40〜0:15)
上のバンドが終わったDJタイムで、曲はいきなりノイジーになる。
早くもメルツバウの雰囲気を盛り上げる。
そして客電が落ちる間もなくステージの幕があき、唐突にノイズがぶちかまされた。
僕はメルツバウを見るのは初めて。期待していたが、予想以上に凄かった。
今回のステージは秋田昌美一人だけ。
ステージ中央にスタンドを立て、黒いノートのマックを置く。
まったくの無表情。客席を見もしない。
たんたんとマウスを動かし、時に激しくクリックする。
どんなソフトを演奏してるのかは想像もつかないけども。
とにかく、ストイックなプレイだった。
音はとにかくものすごい!馬鹿でかくて耳が吹っ飛ぶほど。
しかも音はいつものメルツバウ印。
台風のど真ん中にいるようなハーシュノイズだ。
メロディもテンポもハーモニーも無いエレクトロのわめき声が吹き荒れる。
耳にノイズが突き刺さり、痛みすら覚えてきた。
数分毎に秋田のクリックによってノイズの表情が変わる。
ロフト全体に充満したぎざぎざの騒音が鋼鉄製の万華鏡となり、充満する。
めちゃくちゃ刺激的で面白かった。もうすこし音が小さければなあ。
最初はステージの前で見ていたが、スピーカーから流れ込んでくるノイズの音圧に恐怖を感じて、店の隅に避難する。とはいえ、この音のでかさじゃあ、どこにいても逃げられやしなかったけども。
そしてノイズは唐突にやみ、秋田は一礼してノートマックを閉じると、ステージを降りた。一言も喋らない。クールでいかしたステージだった。
PSY−DOLL(0:30〜1:10)
このメルツバウのステージで、もう僕の耳はキンキンに鳴りまくり。帰ろうか真剣に考えていた。気持ち悪くなりかけてたしね。
だけど、ルインズが見たいから我慢してた。
おまけにDJが調子に乗って、デス・テクノをかけ続ける。いい加減うんざりしてたところに、このバンドのステージが始まった。
予定ではNULLの第二部のはずだから、とまどってしまってたっけ。
このバンドも僕の趣味じゃない。
ノイズまみれのメルツバウより、ポップなこっちのバンドの音楽を聞くのが苦痛だった。メロディが甘ったるくて、気色悪かったからだろう。
なんかおもしろいな。ノイズよりポップのほうが聞いていて嫌になるなんて。
バンド編成はperとgの男2人がやかましく演奏する中、女の子のvoが歌う、というもの。
メロディは歌謡ポップみたいだし、voはへたくそだし。
コンセプトもテクニックも演奏もなにもかも中途半端なので、早く演奏が終わらないかなあと思ってた。
しかも音がでかいんだ、これだ。たまらんかったな。
RUINS(1:20〜2:00)
PSY−DOLLの演奏が終わって、やれやれと一息ついてると。
幕のうしろから、吉田がタムを叩いて調整する音がもれ聞こえてくる。
こりゃ完全にステージ順が変更になったなって、わくわくしながらステージの始まりを待っていた。
このバンドが聞きたくて、今日もライブに来たんだから。
今日を逃すと、海外ツアーに出ちゃうしね。
幕間は10分程度。幕が開くと同時に二人のヴォーカルで演奏が始まる。
僕はステージ最前列にすっとんでった。
今回のライブは、最新アルバム「パラシュトム」からのナンバーが中心。
「ブリムガス」から始まって、一曲一曲区切る丁寧なステージで演奏していた。
最前列のかぶりつきでルインズを見たのは初めて。
マックの林檎を5弦ベースに貼って飛び跳ねる佐々木も、スティックをささくれ立たせて(?)ドラムをたたく吉田もくっきり見れて大満足。
特に今回は細かいハイハットやバスドラを踏むビーターの動きまで見えて面白かったな。
吉田のドラムはあいかわらず激しいが、今回は曲の主導権を佐々木のベースに任せて、リズムキープに回ってる気がしたっけ。
ふっと周りを見回すと、やはりルインズ目当ての客が多いのか、ステージ前は鈴なりだ。むっさい男ばっかりなのが、ちょっといやだけど(笑)
音量はこのバンドも馬鹿でかい。
耳をつんざくベースの音は団子になって、ヴォーカルはほとんど聞き取れない。
だけど逆に、最前列で見てるからドラムの生音が聞こえてきて、轟音もきにならなかった。・・・耳は痛くなってたが(^^;)
ああっというまにステージは終了。ふっとうしろを振り向くと、何人もの客がテープレコーダーをいじってたのが(録音してたってわけね)印象的だった。
NULL(2:05〜2:35)
もうこの時点で、僕のお目当てのバンドは全て完了。
もっとも、最後のYBO2で吉田がドラムを叩くし。それにだんだん増えてきた女性客がきゃ〜きゃ〜言うさまも見てみたくて、なんとなくライブハウスに残ってた。
再度登場したNULLはサンプラーのようなものをいじりながらノイズを展開する。
だけど、メルツバウを聞いた耳にはポップに聞こえて仕方ない。
しかも退屈だったし。今度は「ドボヂヂ」って低音が中心だったかな。
ぼんやりしながら耳を傾けてた。
YBO2(3:00〜?)
やっとこさトリの登場。観客がとたんにステージ前に押し寄せる。
僕は逆に、いつでも逃げ出せるようにドアの近くに位置を変えたけど。
すぐうしろで、ルインズの佐々木が立ってステージを見てたから、妙に緊張したっけな。
ぼそぼそいう北村の英語のMCでステージはスタート。このあとの海外ツアーを意識してるのかなあ。
メンバーはこの日記の冒頭に書いたとおりの構成。
一曲聞いてみたが、どうも良さがわからない。ヴォーカルはヘタだし、演奏もかみ合ってないし。2曲目の途中で、我慢できなくなってライブハウスを抜け出した。
てなわけで、最後は尻きれトンボで逃げちゃったライブだけども。
轟音で耳鳴りがしたことを除けば、けっこう楽しめたかな。
2000/5/19 市川 りぶる
出演:フェダイン
今日は仕事をさっさと切り上げて、ライブハウスへ。なんと市川りぶるでフェダインがライブをやる。昼休みにネットを見てて気がついた。
ところがりぶるに入ったとたん、だれも客がいない(笑)
中にいるのは3人。ようするに、今日の演奏者だけだ。不破(eb、ab)に大沼(ds)に川下(ts、ss、e-vln)が思い思いにくつろいでいた。
結局、演奏が始まってもお客は4人。ほぼマンツーマン状態で演奏が始まった。
僕はフェダインを聞いたのは、今日が始めて。演奏の凄さにぶっとんだ。
三人が三人とも手数が多く、音を次から次へと繰り出してくる。
フリーな部分ももちろんあるけど、不破が渋さ知らズで聞かせるような、日常感にあふれた親しみやすいメロディをベースにしている。
オーソドックスなジャズというには、あまりにもスピードが速い。
3人ともほとんどアイコンタクトを交わさないのに、ビタビタ演奏が決まっていくのはさすが。基本的に3人とも音を出しつづけたまま。時に演奏を休んでソロプレイになったりもするけども。
大沼はシンバルを多用した嵐のようなドラムを鳴らし、不破はベースの上で激しく指を動かす。川下は身体を揺らしながらサックスを吹き、ときにエフェクトまみれのエレクトリック・バイオリン(エレキ・ギターなのかな?)でメロディを奏でる。
大沼が小節感を感じさせないリズムを叩いて、不破のベースでもってビートを作り出してるように聞こえた。とにかく3人ともすさまじい演奏なので、夢中になって聞いていた。
お客は途中で一人来たけど、結局5人しかいない。なのに休憩をはさんでみっちり二時間弱、テンションの高い演奏を聞かせてくれたフェダインに感謝したい。
こんなかっこいい演奏を、あんな少ない人数で聞けたのはとんでもない贅沢だけど、とてつもなくもったいないなあ。
また時間を作って、彼らのライブに行ってみたいな。CDが4枚ほど出てるはずだから、それもさっそく探しに行かなきゃ。