今のおすすめCD

最近気に入ったCDを中心に感想を書いてます。
したがって、特に新譜だけってわけじゃないですが、お許しを。

June/Swan Dive(2001:V2)

 スワン・ダイブはビリー・ディメイン(g,key,vo)とモリー・フィルダー(vo,glockenspiel,vibes)の男女による、ポップ・デュオ。ナッシュヴィル出身らしい。
 この「June」が4枚目のアルバムになる。
 
 繊細でいて、暖かい。昼さがりにリラックスするのに最適な盤だ。
 60年代のポップスやボサノヴァが好きな人には、きっとグッとくるはず。
 けっして作りこみすぎず、隙間を残した透明感あふれるアレンジがいとおしい。
  
 スワン・ダイブはこのアルバムしか聴いたことなく、それまでの彼らの作品と比較できない。
 だけど本盤にはアコースティックな肌触りを生かした、すばらしいポップスがつまってることだけは、よくわかる。
 ひさびさにポップスの新譜で、しっくり耳に馴染む盤を見つけた。
 
 収録曲の多くはミドルテンポ。ほんわり優しく弾むメロディが多い。
 多重録音でパーソナルな音世界をきちんと作り上げている。

 アルバム全体に統一感があるのに、どの曲もきちん個性がある。そこが気に入った。
 なのに押し付けがましさは微塵もない。

 ふたりとも、喉を張って歌い上げるスタイルじゃない。
 ボーカルはささやくようにメロディをなぞり、たいがいはそっとエコーで優しく包みこまれた。
 だからときたま生々しくミックスされた声が、ぞくりと身体を気持ちよく震わせる。

 スワン・ダイブは本来ビリーが作詞、モリーが作曲の分担らしい。
 ところが今作は外部へ曲を全て発注した。
 その作家連の中にはジル・ソビュール、さらにはブー・ヒューワディンの名前すらある。うれしい。
 
 真っ白なジャケットの中央に、モノクロの写真が一枚。喫茶店でスワン・ダイブの二人が語り合っているようだ。
 日本盤も出ているし、比較的手に入れやすいのでは。
 もしかしたら本盤は、日本がエグゼクティブ・プロデューサーとなって製作したのかも。クレジットの謝辞には長門芳郎氏らの名前もある。

 なんとなくジャケ買いして、ピタリとぼくの好みにはまった。
 オーソドックスながらも、丁寧に作られたポップスの好盤だ。

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