今のおすすめCD
最近気に入ったCDを中心に感想を書いてます。
したがって、特に新譜だけってわけじゃないですが、お許しを。
Solitaire/川下直広(2001:マネキネコ商会)
怒涛の3ピース・ジャズをぶちかましたフェダインに参加し、現在も不破大輔らと共演し、猛烈なサックスを吹き続ける川下直広。
彼が自主制作したCD−Rを紹介します。
これは01年の4月16日に博多の「ニューコンボ」で行われたライブを収録したもの。
鳴っているのはテナー・サックス一本だけ。まったくのソロ・ライブだ。
川下の足踏み・・・かな?かすかなノイズが数曲で、そっとリズムを刻む。
収録曲はスタンダード中心。「オール・オブ・ミー」「ストレート・ノー・チェイサー」など7曲を収録している。
「プップー.1」と「ディキシー」がオリジナルかな。
川下のサックスは、一度聴いたら強烈に印象に残ると思う。
体を前後にゆすりながら、果てしなく音をサックスから搾り出しつづける。
サックスは軋みながら音を震わせ、いつしか太く膨らんでいく。
サックスの軋み音がまず印象に残る。
音色が他の楽器と溶け合わない、まったくのソロ演奏だからだろう。
時にノイジーに、ピッチの振り幅大きくぶるぶる震える音色は、素晴らしく切なくていとおしい。
キイキイ叫ぶサックスのサウンドが好きな人には、たまらない好盤ではないか。
もちろん、ソロそのものもすばらしい。フリー・ジャズよりだけど、豊かな旋律を堪能できる。
テーマを意識しつつも崩しつづけ、自由自在にメロディが展開していく。
「セント・トーマス」ではテーマのフレーズを部分部分だけ提示し、点描画のような演奏を披露した。
ビートルズの「イエスタディ」は、まず朗々とメロディを吹き鳴らす。
そしてそっとメロディを崩し、そのまま果てしないソロへ雪崩れ込む。
タンギングをほとんど使わず、フレーズがかたっぱしから流れていく瞬間に、どこか優しさが残る。
パワフルで暖かいサックスを味わいたい人にお薦めします。
フェダインでの緊張感を求めると、少々物足りないかな。
さて、本盤を聴きたくなった方へ。発売元のマネキネコ商会の連絡先(HP)はここです。
でも、この盤はラインナップに載ってません・・・なんでだろう。更新してないだけかな?
ちなみに。川下の武器はテナー・サックスだけじゃない。繊細に響くソプラノもある。
忘れちゃならないのがエレクトリック・バイオリン。
エフェクターで音を歪ませ、猛烈なソロを弾く瞬間がたまらない。
次はぜひ、全て川下のオリジナル曲で固めたソロや、エレクトリック・バイオリン中心のアルバムを聴いてみたいな。