Merzbow Works
V.A"Wohlstand" (Human wreckords Germany)
ドイツのレーベルからリリースのコンピ盤で、副題が"German-Japanese Noise
compilation"。
ただしミュージシャンの選択基準はあいまい。
ジャンル設定がかなり大雑把だ。したがってぼやけた印象のコンピなのがいなめない。
努力を買うべきか、勉強不足に苛立つべきか。それとも故意のユルくしたコンセプトと判断して苦笑すべきか。さて、どれだろう。
日本人で選ばれたのは、こんな顔ぶれ。
メルトバナナ、ゼニゲバ、Space
Streakings(Nullのプロデュース)、UFO or Die(ボアダムズの別ユニットか)、Ground
Zero、Null、Ruins、想い出波止場、暴力温泉芸者、そしてmerzbow。
海外でも活躍するアンダーグラウンド系のメンバーがそろっているが、ノイズとくくってしまうには乱暴だ。Ground
ZeroとかRuins、メルトバナナとかね。
灰野敬二やインキャパシタンツあたりが抜けてるのも気になる。Nullの人脈で設定した顔ぶれなの?どうも詳細が分からない。
ちなみに全てが新録ってわけでもない。クレジットがいいかげんで、完全にはっきりしないが。
ルインズは増田隆一時代の音源で、"Hyderomastgroningem"を提供。TZADIK盤と同じ音源っぽい。
なお、ドイツ側のメンバーはKissfreak
Steven,Trickbeat,Knochengirl,Party Diktator,Sielwolf,Mutter,Funf,Dead
Chickens,H.P.Neidhart
Surrogatが音源を提供してる。
不勉強で、ドイツ側はどのバンドも知らない・・・。
こっちがせめてノイズ系なら、統一感取れたろうに。実際はハードコアやグランジ、テクノっぽいバンドまでいて、どうも雑多な印象が拭えない。
詳細ライナーはなし。バンド名とタイトルだけ、日本語のマヌケな翻訳がついている。
ゼニゲバを「銭ゲバ」と訳したり、「思い出波止場」や「バイオレント温泉芸者」と誤記するのは、はたしてわざとかなー。日本人の監修者を入れたらいいのに。
Knochengirl"1234 ihr"をクノッヒェンガールズ(骨少女)"1234あんた"としるす、いかにも直訳なセンスは面白かった。
だがアルバムとして積極的に聴くようなもんじゃない。ファンが話の種に買うべき一枚じゃないか。
他の収録曲も、たいして面白くない。残念ながら。
NULLの曲くらいかな。耳を劈くギター・ノイズ(たぶん)は、きれいで良かった。
<全曲紹介>
ここではメルツバウの音源だけ記します。
6.Ooga Booga(5:26)
All sound hunting by Masami
Akita
Recorded at ZSF Produkt studio on 6 Jarnuary 1994
たぶんこのコンピ盤でのみ聴ける音源・・・だといいなー。
"sound
hunting"ってクレジットが目立つ。サンプリング中心ってこと?
冒頭から凶悪なハーシュノイズがぶちまけられる。
こぽこぽ言う音がアクセント。複数の鋭い蠢きが、微妙に違うビートで重なり合った。
小細工抜き、真っ向勝負で金属質のノイズが沸き立つ。
うねりがかっこいい。
こぽこぽ音は左右のチャンネルを気が向くとパンしてみせ、あんがい存在感あり。
中盤でブレイクを入れ、透き通る音とハムノイズにいったん整理する。
だんだんとノイズが噛み合い、インダストリアルな雰囲気も。
そしてハーシュの衣をまとい、再び立ち上がった。
視界は晴れ、隙間が多い。右チャンネルで聴こえる、金属の鎖を揺らすようなノイズがきれいだな。
この音、フィルターノイズをかけて加工されてしまう。
限られた時間にアイディアを詰め込んだ佳作。
最後は唐突なカットアウトで、強引に幕を下ろした。
(2004.1記)