Merzbow Works

"Turntable Solos"(1999:AMOEBiC/valve)

 本盤はターンテーブルに焦点を当てたコンピレーション。総合プロデュースは大友良英がつとめた。
 
 発売元のAMOEBiCとは大友良英とSachiko Mによる個人レーベルの集合体だそう。97年から01年までの活動だろうか。2006年現在の活動状況は、ネットで探しきれなかった。
 なお、本盤にはレーベルのサイトとおぼしきURLが記載されてる。が、すでにアクセスしても何も無い。

 AMOEBiCの中にValveが位置し、大友良英の個人レーベルとして機能した。自作を中心に8枚までのディスコグラフィーはネットで確認できた。
 本盤は4枚目のリリースにあたる。

 レコードを使ったターンテーブル操作もあれば、あくまでノイジーなサウンド、など収録曲のアプローチはさまざま。あえて統一感は避けたか。
 共通なのは、どこか透き通った視点。陰にこもらず、突き抜けた清清しさを感じた。

 メルツバウとは別次元で、聴いて損はない一枚。クリスチャン・マークレイをはじめとして、世界各国のターンテーブリストが参加してる。

 メルツバウは一曲を提供したが、大友良英が編集を施したテイクで参加。もしかしたら秋田昌美は、本盤へほとんど関与せず、かもしれない。

<曲紹介>
11.Merzbow - Batztoutai:
 The Nightingale's Song (Short version) (8:59)

Composed and performed by Masami Akita
Recorded at ZSF Product studio in Tokyo, 1985
Originally released as "Batztoutai with Memorial Gadgets" (2-LP set, 1986, RRR, USA); re-released as "Batztoutai with Material Gadgets" (2-CD set, 1993, RRR, USA)
Re-mastered from the original tapes in 1993
Re-edited from the CD version by Otomo Yoshihide at A-102 Studio in Tokyo, 1999

 上記のクレジットで、情報を伝えつくしたかもしれない。
 極初期の作品、"抜刀隊"(1986)からの1曲を93年にリマスターし(CDリイシューのためだろう)、さらに本盤のため99年に大友良英が再編集を施した。

 賑やかなファンファーレが性急に回転し、後ろでころころと軽快に小物パーカッションが弾んだ。回転を変えながらコミカルさを漂わせ前へ進む。
 軍艦マーチの骨組みだけが、骸骨状態で鳴った。

 豪腕ノイズに変わっても、高音を強調したミックスのためか、風化した空虚さが鮮烈に轟いた。全体的に軽やかな空気が漂う。   (2006.5記)

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