Merzbow Works

Tinker compilation  (Tinker Recordings:)

カナダのレーベルからリリースされた、ノイズ系コンピレーション。
メルツバウは一曲を提供している。
本稿ではメルツバウのみコメントを書くが、CDの概略も紹介します。

クレジットは表1がうさぎ(?)のイラスト、中を開くとわけのわかんない落書き。かろうじて裏表紙にクレジットが載っている。
編纂の意図みたいな記載は無論なし。もうちょい丁寧なつくりにしてほしい。

ネットで調べても、いまいちこのコンピの正体はわからなかった。
収録曲一覧はこのとおり。

1.Pork Queen/Guitar Strike
2.Merzbow/Iro Moyo 2(Colour Decola2)
3.Staked Plain/$ Orca legs and arm
4.Climax Golden Twins/Thanks Scott Colburn
5.Blowhole/On the Fly
6.Angst Hase preffer Nase/The Talons of lunozmyerts
7.Noggin/Turn about is beter fairplay
8.Superconductor/Tough mentalness(What the world needs)
9.Deerhoof/Potaystus
10.Roughage/Aerobics PT 1-3
11.Twerdoccleb/Incarnadine Sweep
12.Maji/いぬいンガス

クレジットには12曲しかないが、曲は13曲入ってる。どこかでぼくが一曲抜かしてるかな?
知らないミュージシャンばかりでコメント不能です。すいません。

オリジナル盤のクレジットもなく、数曲はライブ音源を収録してるとこからみて、このコンピのために発表した曲ばかりではないかと推測する。
(9)と(12)がライブ音源らしい。
(12)は日本のバンドで、94/11/11に大阪のベアーズで収録された。

ほとんどがごおっごおっと、うねる静かめなノイズ作品。響きはけっこう面白い。
だが聴き手を意識した視点が見えないことや、こじんまりと内省的にまとまり、繰り返し聴くにはつらい。

やってる本人は音を出してて楽しいと思う。しかしその快楽を聴き手に共有させるのは難しそう。ふとそんな思い浮かんだ。

2.Merzbow/Iro Moyo 2(Colour Decola2)(5:00)
 
Masami Akita - Noise
Recorded and Mixed at ZSF Produkt studio 3 Oct 95

 95/10/3の録音、とだけ記された、あまりにもそっけないクレジットがさみしい。
 この時期だと、発振機が中心の多重録音なのかな。
 
 冒頭でテクノ風のビートが提示され、低音が震えながらかぶさる。
 しだいにビートはかき消され、じっとりとハーシュノイズが前面に出た。

 あまりに淡々と噴出すフィルター・ノイズ。
 中心を感じさせず、数本のノイズがY軸方向へほぼ平行に入り乱れる。
 左右のチャンネルから、同時に電子音が震えた。
 きっちり左右のチャンネルは音像が別れ、厚みを出すと同時に不安な気持ちにも。
 だって中央がすぽっと抜けて、空虚に聴こえるんだもん。

 ラスト一分くらいで、ほんのり混沌さがふくらんだ。
 しかし耳ざわりはほんのり優しい。

 特大ボリュームで聴いたら印象が変わるだろう。
 だが普通の音量で聴くと激しさこそ確かにあれ、遠慮してるような気がしてしまった。
 孤高に突き抜けず、どこか迷いを感じる作品。

(02/12/28 記)

一覧へ

表紙へ