Merzbow Works

V.A"Sadomachinism"(Misanthropic Agenda:1999)

 どういう背景のコンピか不明。日本からはKK.NullやAubeなども加わった。
 ジャケは紙を折り曲げたシンプルなもの。オリジナルは金属トタン板によるジャケットだそう。
 中古で買ったため、なぜ二種類のジャケが存在するかわからない。
 2ndプレスが紙ジャケだったという可能性と、トタン板が捨てられた中古盤を買ったって可能性の、両方あるからなー。

 中には各ミュージシャンの連絡先がそっけなく記されたのみ。各曲の録音クレジットなどなにもない。
 もしかしたらレーベルのサンプラーなの、これ?

 メルツバウが極上のノイズを提供した。

 他に気に入ったのは、ハイスピードなCarthageや広がりが心地よいKK.NULL、ミニマル・テクノなKid-606、アンビエントなNever presence forever、ハーシュのSeason of discontent、ゆったりしたテクノ・ビートが心地よいPsywarfareなど。
 だけどどれもメルツバウほど、過激に変貌しないんだよ。なぜだろう。

 全体を概説すると、ハーシュとインダストリアル・テクノが混在した盤。悪くはないが、いまひとつコンセプトのピントが定まらない。個々の曲は悪くないのに。
 いずれにせよたぶんセコハンでしか手に入らないと思う。ノイズ好きな人は、レコード屋で見かけたらぜひ聴いてみてください。

(各曲紹介)
 ここではメルツバウの曲についてのみ書きます。

5.Fireball(6:08)

 メルツバウはこの一曲を提供した。たぶんこのコンビ用の新曲だと思う。
 アルバムを通して聴いてたら、この曲になって急に音圧が上がって驚いた。
 高音を猛烈に強調した打ち込みビートがイントロ。そのあとも甲高いノイズがせわしなく飛び交う。
 このころはすでにコンピュータで音を作ってる頃だろうか。
 ときたまエコーを加え、時にはループさせる。
 
 リアルタイムで音像操作を行ってるはず。あまり多重録音はせずに、二つのノイズを操っているようだ。
 咆哮が交錯し擦り切れる。
 3分弱で低音っぽい成分も加わり、ガッと迫力を増した。

 めまぐるしく場面が変わり、あっというまにエンディングまで持っていかれた。
 オーラスは鈍い金属音が左右を睥睨。

 スピード感もスリルも申し分ない。前半以外はノービートなんだが、クラブでも似合いそう。
 高速BPMを足したら、すごく乗りのいいトラックになるだろう。
 名曲だ。

  (2003.12記)

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