Merzbow Works
The rebirth of fool vol.1 (Dual Plover :1997)
オーストラリアのレーベルからリリースされたコンピ盤。いちおうここで、レーベルはまだ機能している(2005年3月現在)。
レーベルだけじゃなくプレス屋もやってるみたい。よくわからないHPだ。
vol.1と銘打たれたこのシリーズ、第二弾までは出た。こちらにはメルツバウの参加は無い。
全20バンド収録だが、なぜかトラックは40にも区切られる。かなりいいかげん。
メルツバウ以外のミュージシャンは不勉強で知らない。雑多なコンピでノイズ系から脱力ポップ、テクノっぽい音楽などが無造作に詰め込まれてyた。
ビーチ・ボーイズ"Wendy"のへなちょこなカバーには、聴いててへたり込んだ。
エジプトあたりのオブジェをジャケットに使い、スリーブにはルネサンス調のフラスコ画。ミュージシャンのクレジットだけで、録音情報などは皆無の、不親切なつくり。
マニア向けのコンピかも。入ってる音楽も玉石混交だし。聴き返したいと思う曲は、あまり無い。
ここではメルツバウのみ紹介します。
<曲紹介>
10〜11. audio pubic(8:48),(0:03)
裏ジャケでは6番目に、メルツバウがクレジットされてるが・・・たぶん、このトラックがメルツバウ。この盤のみに収録されてる新曲ではなかろうか。
軽快なキーボードを叩くような音が左右へ飛び交い、しばしメカニカルなビートを重ねる。
一呼吸置いて、豪快なハーシュノイズ。このまま突き進むかと思いきや、冒頭のキーボード・ノイズに再度戻った。
しかし繰り返しでは鈍く凶悪な響きの電子ノイズも乗っかり、次第にメカニカルな音世界を侵食した。
鈍く響く低音。カットアップで頻繁に画面が変わった。
メルツバウにしては明るめの音だ。豪快な金属音まで入り、バラエティに富んでいる。
明確なパーカッション・ノイズだが、ビートのイメージは希薄。空間を叩きのめすかのごとく、さまざまな配置でランダムにうごめく。
スピード感はあるけれど、どこか浮ついた感じ。複雑な音世界を平然と混在させる音世界は、メルツバウらしいのに。
思いついたアイディアをとにかく片端から詰め込んだようなトラック。大傑作とは言いがたいな。
いつの間にか単一のフィルター・ノイズに収斂し、唐突に終わる。
(11)は鈍く唸るハムノイズの上で、響きを変調させた子供の声が"Please enjoy your
ti・・"と喋り、ブツ切れる。
ここまでがメルツバウの作品と推測する。たぶん。
CDでは直後の曲が、能天気なシンセのコード弾きをイントロに持ってくるため、聴いててあまりの落差にくじけてしまった。
(2005.3記)