Merzbow Works
Hanin Elias"No Games No Fun"(Fatal Recordings:2004)
ハニン・エリアス(でいいのかな?)はドイツのシンガー・ソング・ライターらしい。詳しい経歴は分からない。
どぎつい化粧で唇をひん剥く写真は、なんだか演劇的だ。
歌ははっきりいってうまくない。パンクを経由した、ダークな80年代テクノっぽい音。
曲も一本調子で、正直なとこ退屈。
ノイジーな音像を目指してるようだが、今ひとつものたりない。ライブでは映えるかもしれないな。
ささやいたり叫んだり声に工夫はしてる。こういうとこも演劇っぽい。
本盤のプロデュースはC.H.I.F.F.R.E.なる人物。詳しくは知らない。
ゲストでJ・マスシス(元ダイナソーJr)、アレックス・エンパイアなどが参加。さらにメルツバウも。いったい、どういう人脈なんだろう。
メルツバウ至上主義の観点で聴くと、すごく物足りない。
積極的にメルツバウが参加を要望したとは考えづらい。
もしかしたら音源を送っただけで、後は一切関与してないかも。いや、逆にそうだと信じたい。
ライナーを見ると、ゲストはみなハニンのレコーディングに参加して録音した様子が伺える。
しかしメルツバウの写真だけは明らかに合成だ。
ちょっと輪郭をぼやかせた、うつろな表情の写真がちょこんと載っている。
<各曲紹介>
8.Rockets against stones
メルツバウの参加した曲のみ、紹介します。
クレジットは"Music written by
Merzbow(Noise),P.Virus(guitar)"とある。
低音のハム・ノイズがチラッと蠢き、スクラッチっぽくハーシュ・ノイズが乗っかる。
エレキギターがかき鳴らされ、ハニンがエキセントリックにわめく、そんな曲。
バックの演奏はほとんど変化ない。ギターはときおりコードを変えるが、まったくかまわずにノイズは淡々と続く。
たまにシンセっぽい音が閃くが。
メルツバウの音楽にしては、かなり単調だ。
マルチの音源送って、それをプロデューサーがサンプリングしたようにも聴こえる。
唯一の個性らしきものは、右チャンネルで吠えるハーシュのみ。
逆に言えばメルツバウのエッセンスを流用し、自分の曲に仕立て上げたハニンのセンスを褒めるべきかもしれない。
歌そのものはシンプル。ひたすらハニンが叫ぶだけなので。
もしかしたら歌詞が刺激的なのかもね。ぼくは歌詞に興味ないので、訳してませんが。
(2004.8記)