Merzbow Works

Chicken Switch (2009: Ipecac)

 メルツバウ目当てで購入、メルヴィンズについてコメント不能なことはお許しを。

 本盤はメルヴィンズのリミックス集で世界各国のノイズ系ミュージシャンに、リミックスを委託した。特徴は一曲のリミックスでなく、アルバム単位の音源を自由に混ぜてくれ、のコンセプトだそう。Wikiにそれぞれの楽曲がどの音源をもとにしたか一覧あり。

 本リミックス集にはメルツバウのほかに、日本から山塚アイと河端一が参加した。メルヴィンズを聴いたことが無い。グランジもしくはハードコアを軸に自由な音像を作ったバンドだそう。87年から現在まで活動を続けている。

 アルバム全体を聴いた印象は、とっ散らかった電子音楽集な面持ち。特にリズム強調や強引なノイズ志向なわけでもない。ただしあくまでも素材はロック。ノービートではない。
 オリジナルの音源へ、どの程度リミキサーが音を足してるかもわからないけれど。そのうちメルヴィンズを聴いてから、改めて本盤を楽しんで見よう。

 ここではメルツバウが参加した楽曲のみ、個別の感想を書いておく。

<曲感想>

7.SNOW REM REM IBVZ (5:56)


 元の音源は8thアルバム"Stag"(1996)とある。むやみに長尺へせず、コンパクトにまとめた。どういういきさつでリミックスに至ったのか、メルツバウとメルヴィンズの関係は不明。

 ここでは意外とDJ的なアプローチをメルツバウが行っている。

 リズミックなフレーズを抽出してミニマルにループさせる。轟音ギターをダビングして重厚さを増したが、あくまでもループを重ねたかっこうだ。タイミングをズラしてポリリズムを作った。
 メルツバウにしてはさほどハーシュの味わいも無い。むしろスカムに素材を並べてるだけ。コミカルなほどのビートを出す。安っぽくもざらついた音色で。やっつけとは言わないが、わりにシンプルな出来上がり。

 4分過ぎにアナログ・シンセのランダムなメロディが登場した。空虚かつ無意味に旋律が踊り、そよいでる。倍テンポのリズムボックスなビートが加わる。安っぽくて混沌なノイズ世界が無造作にこじんまりと広がった。そして、あっさりと幕。ずいぶん軽い。
  
(2016/5:記)

一覧へ

表紙へ