Merzbow Works
CD for
the Unstable Media (1992:V2)
92年に発売された、当時のノイジシャンを1トラックの長尺にまとめたコンピ。
ここに本盤を紹介する公式のページが残っている。
http://v2.nl/archive/works/v212
本盤発売のレーベルV2が自らの10周年を記念して、「本は不安定なメディアである」「CDは不安定なメディアである」の本とCDの二種類をリリースした。
92年はデジタル・メディアが発展途上であり、期待が持たれてた時代。本は旧遺物の象徴かな。ウィットとしてのコンセプトと受け取るべき。
CDの収録曲と順番は後述の通り。トラックわけがなされておらず、どこまでが誰の作品か識別も区別も不可能な作りになっている。Voicecrack、The
Hatersなどを筆頭に、世界各国からのノイジシャンが集められた。日本からはメルツバウのみ。
不安定さを象徴にノイズ系を選ぶあたり、本レーベルの先鋭さもしくはサブカルチャー狙いがわかる。
この時代はデジタル・ノイズがまだ未発達なはず。それぞれがアナログでノイズを出している。金属質な打擲音や、フィードバックなどの軋み。モーター音などの蠢きなど、それぞれアイディアをひねった。
パワーノイズ一辺倒でなく、静かなミュージック・コンクレートや素朴なエレクトロ、コラージュなども。盛りだくさんだ。
メルツバウの音源は正確にわからないため、ここでは個別の感想は割愛します。「V2 Live
(excerpt)」とあるので、ライブ音源の抜粋らしいが詳細は不明。
49:43〜57:55の10分弱。鈍く蠢く金属質でスケールの大きいハーシュ・ノイズが、メルツバウの音源だと思うけど。エッジの高さは今に通じる鋭さだが、密度やスピード感が緩やかでのどかさも感じる。
いちばんありそうなのが、"Dutch Tour
1989"と銘打ち、本レーベルから92年にカセット二本組で発売された音源からの抜粋。
もしそうならばカセット1のA1音源が、「"V2
('S-Hertogenbosch) September 23rd"」と題された55分から選ばれた。発売レーベルもタイトルも似てるので、これかな。
ならば秋田昌美、Reiko
A、水谷聖のメンバーで88年9月23日に蘭スヘルトーヘンボスでのライブ音源となる。メルツバウとして海外ツアーを始めた極初期の貴重な音源だ。
しかしインターネット恐るべし。ぼくは本盤を入手したのは90年代後半だが、こんなリリース情報はどうやっても探せなかった。あれから約20年。情報の入手性はずいぶん変わったなと痛感する。
なにせ、そのカセット音源すらもYoutubeに上がってた。逆に公式盤で入手のほうが困難だ。MP3配信は見つからず。
https://www.youtube.com/watch?v=JkEsD2FQd-c
https://www.youtube.com/watch?v=u6c1uByOtBg
<収録曲>
Runzelstirn und
Gurgelstock (CH): Zur Autodestruktion
THU20/Gregory Whitehead (NL/USA): I
Prefer To Talk To The Dead
Voicecrack (CH): Ballistics of the Wild Turkey
Radio Subcom (A): Intransit (excerpt)
The Haters (CN/USA): Final
Dick
Raaijmakers (NL): Ideophone I (1971)
DFM Radio (NL): Excerpt
Entre Vifs
(F): Slavium Fornikant
Ad van Buuren (NL): The Clock
The Hafler Trio
(UK/NL): Untitled
Chris Mann/Warren Burt (AUS): Anyway You Can Always Put
Language Down To Experience
Merzbow (J): V2 Live (excerpt)
Strafe fur
Rebellion (D): Die Zahl Pi
(2016/12:記)